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首吊り死体が呪う村、痣のスミレの狂い咲き  作者: 藤野
第六章 戻らない日常
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「香寿君、スミレちゃん、ちょっといい?」

 家を出て傘をさしていると、瀬戸さんに呼び止められた。


「……この前香寿君、お墓のところで縄垂らしを見たって言ってたでしょ」

「は、はい」

「それ、千愛ちゃんだと思うの」


 えっ……。


「野辺送りのとき、私実はこっそり後をつけてて。……千愛ちゃんの足、ちょっと擦りむけてたんだよ。それと、着物の裾のとこがちょっと汚れててね」


 僕は昨日のことを思い出した。

 確かに、砂埃のような汚れがついていた。


 もしそうなら、昨日それを指摘した時のあの驚き方は、新品に汚れが付いてると勘違いしたからではなく、そこから僕に、隠している何かを暴かれることを恐れたからだったんじゃないか。



「香寿君が見た縄垂らしは女の人だったんでしょ。それ、千愛ちゃんじゃないかなあ。考え方は二人と同じで、今日しか無いと思って鍵を盗みに行った。ただ香寿君と違ったのは、()()()()()()()()()()()()()縄垂らしの格好をしたこと。

 これが例えば竹園家の人達なら、体が大きくてあの木には登れないだろうからね。擦り傷と着物の汚れはおまけの証拠みたいな感じ。

 あとは、千愛ちゃんがその日学校を休む、または遅れていたのが分かれば、決定的だろうね」



 いつの間にか階段のふもとまで来ていた。


「壮一郎さんの件だけど……。これで竹園家の線が色濃くなった」


 なぜなら壮一郎さんが亡くなった今、松園家と竹園家は入れ替わるから。今の竹園家が松園家となり、一番の権力者となる。


「梅園徳郎さんが亡くなってから、二日。その間は殺人が起きていない。この間が計画的な物だった場合、考えられる理由はおそらく二つ。お通夜や葬儀で忙しくなるからか、人が死んですぐなので、犯人を嗅ぎ回っている警察に見つからないためか」


 雨が降っていると言うのに、瀬戸さんの声はハッキリと耳に届いた。


「そしてこの間が計画的な物では無く、突然起きた異常事態によるものだった場合。そしたら、まず思いつくのが、私が来たことかな」


「瀬戸さんがですか?」


 そう聞くと、瀬戸さんはにっこり微笑む。


「だって、私は警察以外で、この事件を嗅ぎ回っている邪魔な人間でしょ? かと言って、他の場所から来た人間を殺す程深い動機は、この村の人達には無い。だから、もし私を殺せば、()()()()()()()()と周囲に言っているようなものだと思うの。

 殺すほど私が邪魔だった理由を考えると、


一、次の標的は桃園茂だった。

二、次の標的は桃園鈴子だった。

三、犯人がその二人のうちどちらかだった。


 と考えられる。今言った三つの理由があって、私を殺す訳にもいかない場合は、やむを得ず計画を延期にしたのかもしれない。……ま、これは妄想でしかないんだけどね」


 そう言って苦笑すると、黙ってしまった。

 赤い鳥居が見える。紫首神社だ。


「……ねえ二人とも、二人はこの神社に、毎日……参拝してるんだよね?」


 僕達は頷いた。毎日毎日、参拝している。


「そう。……それならいいんだけど」

 お辞儀して鳥居を潜る前に、瀬戸さんは帰ってしまった。

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