↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6.この場所について

「おら!てめえ調子乗ってんじゃねえぞ!」


その言葉とともに、辺りに乾いた音が響く。


「ここじゃあ、俺達兵士に逆らうな!」


 また乾いた音が響く。



 



 あの後、兵士さんにすんごい怒られて、懲罰室って所に入れられた。村の説教部屋みたいなものだと思っている。


『アハハハハハ!面白い遊び思いついたぜ!ケラ!てめえは俺の指示通り動け』


 そして頭の中では魔王がすんごい上機嫌で笑っている。聞けば、今までの流れが大層お気に召して更に面白い事を思いついたようだ。僕は別に遊んでいた訳じゃないんだけどなあ・・・。



 懲罰室に入れられた僕は、そこでは兵士から武器を使って攻撃されているんだけど、当然魔王の体に効きはしない。だから手枷足枷されて僕はされるがままだ。兵士さん達の気がすんだら、戻してもらえると思ってたんだ。村ではそれで何とかなったから・・・。


「取り敢えず今日はここまでだ!明日も貴様が反省するまで続けるからな!ハハハハ!」


 僕を攻撃していた人じゃなくて、その上の人が笑いながら懲罰室を後にしていった。その後ろを疲れ切った兵士さんが続く。


「お疲れっした!!」


 その背に魔王の指示で僕は声をかけると、兵士さん達からすんごい睨まれた。


『ハハハハ!見たかケラ!あの顔!やべええ!めっちゃおもしれええ!よーし明日も揶揄って遊ぶぞ!』

『えー。最後の言葉もしかして煽ってたの?』

『魔王流煽りって奴だ!「お疲れですね?まあ俺は全然疲れてませんけど?」って意味が込められている。あいつらそれをちゃんと分かってやがった!アハハハハハ!』


 ・・・・魔王が楽しそうならいいかな。それよりもだ。


『夕食は出ないのかな?パンが出ると思ってわくわくしてたんだけど』


 どうも夕食は持ってきてくれる気配がない。かといって朝の食堂に連れて行ってくれる気配もない。


『腹減ったなら収納石から出せ!多分街一つが10年持つぐらいの食い物は入っているはずだ』


 ふーん、と思いながら耳を触り食べ物一覧を出すと、すんごい数が並んだ。パッと見ただけでも高そうな料理や食料が並んでいる。


 うわ!凄い高そうな料理・・・うわ!こっちは凄い肉の塊だ・・・・え?これ竜の肉って書いてあるけど・・・・


 流石にここでこんな料理は食べたら怒られる・・・・というより奪われる。


 これって安い順に並ばないかな・・・・お!出来た!ああ!これこれ!こういうのだよ


高そうなものばかりだったので、安い順に並べって思ったら、その通りになり、僕でも見た事や処理した料理や素材が並ぶ。


 けど、さすがにここで料理とかは駄目だろうな。って事で、一覧にあったパンと羊のミルクを飲んで今日の夕食とした。



 翌日からは昨日の兵士より更に屈強な兵士さんがやってきて、僕を攻撃したけど、当然ダメージはなく、昨日と同じで最後には疲れて帰っていった。そしてその日のうちに僕は懲罰室から出されて、3班に戻される事になった。


「ただいま戻りましたー」

「うお!36番!お前大丈夫か?」

「・・・おい、こいつ全然変わってねえぞ」

「懲罰室で拷問されなかったのか?」


 戻った僕を班のみんなが温かく迎えてくれた。こういうのは初めてだ・・・・何かいいね!


『いや、これ別に温かく迎え入れてねえだろ?ただ驚いているだけだ』


 魔王はちょっと見方がおかしいと思うよ。僕を心配してくれるなんて、村じゃいなかったからね。この班のみんな良い人達ばかりだ。


「拷問?ああ!朝夕のご飯が出なかった事ですね?あの美味しいパンが食べれないとかきつかったですよ」




・・・・・・・




僕の答えにみんな押し黙った。あんな美味しいパンを食べれない辛さみんな分かってくれた。




「ど、どうなっている?懲罰室行だったよな?」

「爪も剥がされてねえし、手足も潰れてねえ」

「あそこ行った奴って顔パンパンになって帰ってくるよな?」

「パン食べれないのは辛いけど、懲罰室ってそんな温い拷問じゃねえはずなんだけど・・・」

「36番は何であんな普通なんだ?もっと疲れたり、やつれたりして帰ってくるだろ」




 戻った僕を無視して班のみんなが隅で相談している。多分僕が聞いたら駄目な話なんだろう。ヒソヒソ話は盗み聞きしたら殴られるからね。

 神父さんの事はみんなの話が終わってから聞こう。それまで暇だな・・・そうだ!お腹すいたからご飯食べよう!


『魔王、料理道具とか借りるね』

『あ?俺そんなの持ってたか?・・・・ああ!そう言えばフィロスが持っておけとか言ってた気がするな・・・ってお前まさか、ここで料理始めるのか?アハハハハハ!馬鹿だ!こいつ馬鹿だ!』


 魔王は何がおもしろいのかまた大笑いしだす。村にたまに大事なお客がくる時は、半魔の僕がいては見苦しいからって、牢屋で数日生活する事があったから、牢屋で料理って別に珍しくないんだけどなあ。


 って事で収納から必要なものを出して雑草スープを作り始める。っていうか火打石や薪とか木の削りカスとか、魔王らしからぬ物まで持っているのには驚いた。これもフィロスさんに言われて収納していたそうだ。フィロスさんってこうなる事も考えていたのかな?・・・・いや無いな。


「おいおい!あいつ何か料理始めたぞ・・・・料理?」

「え?あいつどこに鍋とか隠してたんだ?」

「いや、そもそも食材があるのがおかしいだろ!」

「あれって食えるのか?どう見ても雑草だよな」

「・・・・・・」

『みんな戸惑ってやがる。何だあいつらの間抜け面!おもしれええ!』


 班の人で分かってない人がいるなあ。これは見た目雑草でも食べられる雑草なんだ。そもそも魔王は何でこんなもの持ってるんだろう。


『俺もスラム出身で腹減った時にその草食ってたんだ。魔王になって食うのに困る事は無くなったけど、たまに喰いたくなるから、集めてたんだ』

『ええ?魔王って最初から魔王じゃなかったんだ?』

『そんな訳ねえだろ。最初はフィロスや仲間とスラム暮らしよ。そこからオヤジに拾われて、敵対勢力潰したり、内部抗争で勝ち上がっていって魔王になったんだ』

『へえー。魔王も苦労していたんだ。・・・あ!お肉少しもらっていい?』

『・・・・・お前、俺の話に全然興味ねえだろ』


 魔王と話をしていると雑草を入れたお湯が沸いたので、魔王から貰ったよく分からないお肉を手でちぎって鍋に入れて塩を少し入れたら完成だ。早速スープを一口頂く。


 うーん。いつもと違って塩で味つけしたから美味しい!しかもお肉入り!うん?なにか班のみんながこっちを見ている。夕食食べなかったのかな?


「おい、36番。す、少しだけ、俺にも分けてくれねえか?」

「班長ずるい!俺も!俺も食いたい!」

「「「俺も!」」」


 みんなお腹空いているのかな?


『食わせてやれ。腹が減って辛い気持ちは俺もよく知っているからな』

『いいの?まあ、魔王が言いださなくても、あげたけどさ』



 って事で雑草スープを更に作って、パンと一緒に班のみんなに渡すと、みんなむしゃぶりついて食べ始めた。みんなお腹空いてたんだな。


 そうしてみんな食べ終わったら、揃って僕に頭を下げてきた。


「すまん。助かった。久しぶりに肉のあるスープ・・・美味かった」

「肉入りスープとか食ったのここに入る前だぜ」

「いつものカス具材しか入ってないスープに感覚麻痺してたけど、やっぱりいつものスープ不味いよな」

「あー。美味かった」


 みんなご飯を食べ終わると僕に頭を下げてきた。そして頭をあげると代表して班長がお礼をいってくれた。最初から思っていたけど、みんな髭も髪も伸び放題でボサボサで、しかもやせ細っているから、あんまり見分けがつかない。けど班長だけは目の圧が強いから何となく見分けがつくぐらいだ。他の人は背の高さで判断しないとちょっと分かんないかな。


「その礼と言ってはなんだが、36番はまだここに来たばかりで分からない事ばかりだろう。何か聞きたい事があれば分かる範囲で俺達が教えてやるぞ」


 班長のその申し出に、僕は成仏の事、魔王の事、この場所の事、仕事の事等色んな事を聞いた。


「魔王うんぬんってのは信じられねえが36番がおかしな体しているのは分かった。それで成仏の仕方か・・・・ここの神父じゃ無理だったなら、やっぱりデカい街じゃねえか?デカい街の教会にはアンデッドに効く魔法使える奴がいるはずだ。稀に教会に所属してなくてもその魔法使える奴もいるって話だけどな。そこは街の情報屋使って調べればすぐに分かる。何にしても浄化魔法ならデカい街に行くのが確実だな。仕事については明日から俺達がしっかり教えてやるから心配すんな。そんで・・・この場所の事か・・・ここは隠し鉱山って言えば分かるか?」


 分かんない。


「鉱山だけど、ここの領主が国に報告してない鉱山って事だ。国にバレたらマズイ鉱山だって思っておけ。それで俺達の半分はお前と同じで強制的に拉致されて来た奴だ。残り半分は元奴隷で売られた奴らだ」

「半魔ばっかりなのは?」

「俺達半魔ってのは、いなくなっても誰も気にも止めねえ。真面目に働いていてもあっさり手放される・・・そんな扱いなんだ。だから死ぬまで出られない隠し鉱山で働かせるのに都合がいいんだよ」


 半魔は嫌われているとは聞いてはいたけど、思っていた以上に扱いが酷いな。僕も大概だったけどね。

聞けば僕みたいな奴隷の半魔はいなくなったら飼い主は少しは探すそうだけど、すぐに諦めるそうだ。大抵は見つからないし、見つかってもボロボロで役に立たない状態で見つかるらしい。それならまだ新しい若い奴隷を買った方が早いそうだ。


『魔界じゃこういう所で働くのは犯罪者だぜ。人族にも犯罪者はいるだろ。けどここじゃ全く見ないぞ』


 いわれてみれば、食堂で少し見ただけでもみんな半魔だった気がする。


「人族の犯罪者はいないんですか?」

「いない。人族の犯罪者はちゃんと刑が執行されたか、国から査察が入るからな。更に不当な扱いされていないか、投獄期間もしっかり守られているかもな。だから国に秘密のここに連れてくる事は出来ねえんだとよ。だからここにいるのは、身分が最下層の半魔だけだ」

『やっぱりこっちでも半魔の扱いは酷いな』


 魔界と比較したのか魔王が呆れている。ずっと村で育ってきた僕には、どう酷いかがよく分からない。


「それでここはどこかってのは分かんねえ。けど、みんなの話を聞いた限りだと、ここはチューマ領だろう」

「チューマ領?」

「チューマって奴が治めている土地だ。36番もレビの街で捕まったんだろう?そこもチューマ領だからな」


 へえー。全然知らない。そういえばスグ村ってみんな知っているのかな?


「・・・いや、聞いた事ねえな」

「悪い。俺も知らねえ」

「・・・・悪い」


 って感じで班の人は誰も知らなかった。けど班長は何とかスグ村の手掛かりを探そうと僕に質問してきた。

 

「せめて何領とか近くのデカい街の名前とか知らねえか?」

「・・・・・いえ、何も知らないです」


 言われて気付いたけど、僕ってスグ村の外の事何も知らないんだ・・・。いや、帰るつもりは無いんだけどね。


 取り敢えず他に聞きたい事が思い浮かんだらまた教えてくれるって事で今日はもう休んだ。ずっと地面か干し草の上で寝ていた僕は、ベッドで寝れて大満足だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。