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魔法を否定した天才物理学者、異世界で魔法の神になる  作者: 月城宮 雅仁
第二章 学院の異端児

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第19話 重力魔法

古代術式によって鉄塊の重量が変化することを確認してから、十日が経った。


その間、私は第三実験場へほとんど毎日のように通っていた。


最初に確かめたのは、前回起きた現象が鉄だけに限定されたものではないかという点だった。


実験台には鉄、石、木で作られた三種類の立方体が並び、それぞれの重量は事前に測定してある。


隣ではリーナが研究ノートを開いていた。


「鉄、一・二〇。石、〇・六一。木、〇・一八」


「ありがとう。じゃあ始めよう」


「今日はどこまでやるの?」


「材質による違いを確認したら、次は大きさと重量を変える。そのあと術式の出力も上げてみる」


リーナがこちらを見る。


「結構やるね」


「せっかく広い実験場を借りてるからね」


今回は小さな鉄塊だけではない。


実験場の端には、学院の訓練設備から借りてきた大型の石材や鉄板まで並べられている。


グレアムも最初から実験規模を抑えるつもりはないらしく、魔法陣学の教師に加えて魔道具科の研究員まで呼んでくれた。


未知の現象だから何もしないのではなく、測れるだけ測る。


その方が私にはありがたい。


「始めます」


古代術式へ魔素を流す。


淡い光が走り、中央に置いた鉄塊の重量が一・二〇から一・三三へ変化した。


魔素供給量を一定に保つ。


数値も止まる。


次は石。


〇・六一から〇・六八。


木は〇・一八から〇・二〇。


どれも変化した。


「材質は関係なさそうだね」


リーナが数字を書き込みながら言う。


「少なくとも鉄だけに起きる現象ではないね。ただ、増加割合が完全には揃ってない」


「術式の誤差?」


「それもあるし、重量計の精度かもしれない。私の魔素供給も完全に同じとは言えないから、まだ分からない」


そこで終わらず、今度は大きさの違う鉄塊を並べる。


一キログラム。


五キログラム。


二十キログラム。


五十キログラム。


実験を繰り返すほど、机の上の紙が数字で埋まっていく。


私は魔素供給量と重量変化を比較しながら、ノートへ線を引いた。


「……比例じゃない」


「違うの?」


「少なくとも単純な比例ではないね。同じ魔素を流しても、元の重量によって変化の割合が少し違う」


「じゃあ失敗?」


「逆」


私は笑った。


「分からないことが増えた」


「それを嬉しそうに言うの、アルくらいだと思う」


そうだろうか。


分からないなら、調べるものがあるということだ。


研究では、それが一番面白い。


小型物体で十分なデータを取ったあと、実験場中央へ大きな石材が運び込まれた。


学院の訓練用に使われている、約三百キログラムの石塊だった。


人が一人で動かせる重さではない。


「いきなり大きくなったね」


リーナが石を見上げる。


「小さい物だけで成立して、大きな物には成立しない可能性もあるから」


「それで三百キロ?」


「ちょうどあったから」


少し離れた場所で、グレアムが腕を組んでいる。


「アル。出力は好きに上げていい。ただし数値は記録しろ」


「分かってます」


「あと実験場そのものを沈めるなよ」


「そこまでやりませんよ」


多分。


いや、今回は本当にやらない。


大型重量計の上へ石塊を置き、私は古代術式へ魔素を流した。


三百二・四。


三百十五。


三百四十。


数値が増えていく。


石は動かない。


見た目も変わらない。


ただ、地面へ押し付けられる力だけが明らかに強くなっていく。


「三百七十」


研究員が読み上げる。


私はもう少し魔素を増やした。


四百。


四百五十。


五百を超える。


そこで、石の下にある木製の支持板から音がした。


ミシッ。


「止める」


すぐに魔素を固定する。


術式は安定している。


石も壊れていない。


壊れかけているのは、その下だ。


「術式より先に台が負けるの」


グレアムが呟く。


「それもデータですね」


「嬉しそうに言うな」


魔素供給を切ると、表示は元の三百二・四へ戻った。


五百キログラムを超えていた石が、何事もなかったように元へ戻る。


リーナが石を見つめていた。


「……本当に重くなってるんだ」


「少なくとも、地面を押す力は確実に増えてる」


今までの小型実験なら、何らかの念動魔法が混ざっている可能性も考えられた。


だが、三百キログラムを超える物体でも同じ現象が起きる。


しかも、物体そのものへ直接魔素を押し付けている感覚はない。


仮説はかなり強くなった。


だが、これだけではまだ足りない。


古代文献には『引く』だけでなく、『退ける』という記述があった。


重力のような現象を強めることができるなら、弱めることもできるのではないか。


問題は、どうやって逆向きの作用を作るかだった。


数日後。


「術式を逆にしたら?」


研究室で魔法陣を睨んでいた私に、リーナが言った。


「逆?」


「この辺。魔素を分けたあと、最後は全部同じ方向に流してるでしょ?」


リーナが古代術式の一部分を指差す。


「じゃあ、その流れを逆にしたらどうなるのかなって」


私は魔法陣を見る。


単純な発想だが、悪くない。


「試してみよう」


「すぐ?」


「もちろん」


「一回考えない?」


「考えてから試すよ」


「どれくらい?」


「今から」


「ほとんど同じじゃん」


リーナは呆れていたが、私と一緒に術式を確認し始めた。


単純に入口と出口を入れ替えるだけでは駄目だ。


古代術式の一部は魔素が流れる方向を前提に構成されているため、そのまま逆転させれば内部で魔素が衝突する。


私は紙の上で経路を組み替え、作用部分はそのまま残しながら、魔素の流れを反転させていく。


「ここ」


リーナが指を差した。


「この二本、ぶつかると思う」


「どこ?」


見る。


確かに、ほんの僅かな区間だけ、魔素の経路が重なっている。


「……本当だ」


「ここだけ外に回したら?」


「それならいける」


私はすぐに線を修正した。


やはり、リーナはこういうところが異常に強い。


理論そのものを組み立てるのは私の方が得意だが、魔素が実際にどう流れるかを見る精度なら、彼女の感覚は頼りになる。


翌日。


第三実験場。


今度は最初から三百キログラムの石塊を使った、前の実験で術式の挙動はかなり分かっている。


確認したいのは、反転させた経路が本当に逆方向へ作用するかどうかだ。


「始めます」


魔素を流す。


重量計は三百二・四。


変化なし。


もう少し。


三百。


「下がった」


リーナが言う。


さらに魔素を増やす。


二百九十。


二百七十。


二百四十。


確実に軽くなっている。


周囲にいた教師たちも、今度は誰も口を挟まなかった。


百八十。


百二十。


三百キログラムあった石が、今では半分以下の重さになった。


私は魔素をさらに増やした。


八十。


五十。


三十。


巨大な石塊なのに。


少し強く押せば動きそうなほど軽くなっている。


「アル」


リーナが興奮した声を出す。


「これ、持ち上がるんじゃない?」


「やってみよう」


実験場に置かれていた長い金属棒を石塊の下へ差し込む。


通常なら、私の体重程度ではびくともしない。


だが、今は違う。


押すと石が動いた。


「……動いた」


もう少し力を加える。


三百キログラムの石塊が。


ゆっくりと傾いた。


研究員の一人が思わず声を上げた。


「三百キロだぞ……」


「質量そのものは三百キロのままだと思います」


私は棒から手を離す。


石は重量計へ戻る。


「慣性まで消えてるわけじゃない。横へ動かすときは、それなりの抵抗を感じる」


つまり。


物質そのものが軽くなったわけではない。


地面へ引かれる力だけが変化している。


前世の知識と一致する。


少なくとも今のところは。


「もっと下げます」


私は魔素を増やした。


重量計の表示が下がる。


二十。


十。


五。


一。


そして。


ほとんどゼロ。


三百キログラムの石塊が僅かに揺れた。


「……浮く」


誰かが呟いた。


次の瞬間。


石と重量計の間に。


ほんの僅かな隙間ができた。


数ミリ。


それだけ。


だが、三百キログラムの石が床から離れている。


「うそ……」


リーナが口元を押さえる。


私は答えられなかった。


目の前の現象から目を離せない。


上向きに押していない。


風も使っていない。


念動魔法で持ち上げてもいない。


少なくとも私の感覚では、石を支える力を作っているのではなく、石が下へ落ちようとする力そのものがほとんど消えている。


私は魔素を少し増やした。


石塊がさらに浮いた。


一センチ。


三センチ。


十センチ。


三百キログラムの巨石が、音もなく空中へ浮かぶ。


実験場全体が静かになった。


「……すご」


リーナの声だけが聞こえた。


私は石へ近づき、横から指先で押した。


動く。


ただし、予想通り軽く押しただけで勢いよく飛んでいくわけではない。


質量は残っている。


重力だけが弱くなっているなら。


当然だ。


「これ……」


グレアムが浮かぶ石を見上げる。


「現代の浮遊魔法とは違うな」


「はい」


浮遊魔法なら。


この石を空中へ維持するために、石を上へ押し続ける力が必要になる。


重い物ほど、必要な魔素も増える。


だが、今の術式は石を持ち上げていない。


石が落ちる原因そのものへ干渉している。


だから、一度重力を小さくしてしまえば、空中に維持するための追加制御は驚くほど少ない。


「これなら、大型の物でも……」


輸送。


建築。


採掘。


巨大構造物。


重い物を動かすという行為そのものが変わる。


さらに。


もし人間に使えるなら。


飛行。


いや、それだけではない。


方向まで操作できれば、落下する方向を変えられる。


壁へ落ちる。


空へ落ちる。


軌道を作る。


用途は。


いくらでもある。


「アル」


グレアムに呼ばれた。


「はい?」


「その顔を見る限り、今ものすごい数の実験を思いついただろう」


「三十くらい」


「多いな……」


「まだ増えてます」


グレアムが笑った。


「なら全部書き出せ。実験場は使わせる」


「本当ですか?」


「ああ。ただし、私にも結果を見せろ」


「もちろんです」


……その答えかなり好きだ。


そこから数日。


実験規模は一気に大きくなった。


百キログラム。


三百キログラム。


五百キログラム。


学院の資材置き場から運び込んだ、重量一トンを超える石柱まで使った。


古代術式へ流す魔素量を増やせば。


石柱の重量も変化する。


一・二トン。


八百キログラム。


四百。


百。


そして。


ほぼゼロ。


本来なら複数人と運搬用魔道具が必要な巨大な石柱を、数人の教師が手で動かせるところまで軽くできた。


逆に作用を強めれば、同じ石柱は地面へ深く沈み込み、訓練場の石床に亀裂が入った。


「……床」


リーナが呟く。


「これは重力が強くなった証拠になるね」


「そうじゃなくて!」


あとで修理することになった。


だが、データは十分だった。


小さい物体だけではない。


材質も。


大きさも。


重量も。


変えて。


同じ種類の現象が起きる。


私は少しずつ確信を強めていた。


しかし、一つ気に入らないことがある。


今使っているのは古代術式だ。


私は古代人が作った魔法を操作しているだけ。


これでは、重力魔法を使えるとは言えても理解したとは言えない。


夜。


寮の机へ古代術式の写しを広げた。


巨大で、複雑。


三重の術式、大量の線、古代文字。


今までの実験結果と照らし合わせる。


魔素入力。


対象指定。


作用量。


方向。


安定化。


必要なのは本当に全部か?


私は一つずつ切り分けた。


この線を消す、意味なし。


ここを止める、作用低下。


ここは対象指定、この部分は出力調整。


ではこれは?


古代人が安全率のために入れたのか。


複数物体を同時に扱うための機能か。


それとも。


私がまだ知らない何かに使う?


消して。


試す。


戻す。


書き換える。


また試す。


学院の実験場と寮の机を往復する日が続いた。


リーナも手伝ってくれた。


「アル、これ昨日より半分くらいになってない?」


「いらない部分が多かった」


「また消したの?」


「うん」


「これも?」


「それは残す」


「なんで?」


「そこ消したら石が横に飛んだ」


実験場で小型の石が三十メートルほど飛んだ。


別に怪我人はいない。


むしろ、方向制御へ繋がりそうなかなり重要な失敗だった。


そこからさらに十日。


机の上には、古代術式とは似ても似つかない魔法陣が出来上がっていた。


大きさは約十分の一。


三重だった円は一つ。


古代文字もほとんど残っていない。


必要なのは。


対象。


作用量。


作用方向。


そして魔素入力。


「……これだけでいいはず」


翌日。


私はその魔法陣を持って第三実験場へ向かった。


グレアムへ見せる。


「これは?」


「重力魔法です」


「古代術式の改良ではないのか?」


「違います」


私は首を振った。


「古代術式は使ってません。実験結果から必要な機能だけを抜き出して、最初から作り直しました」


グレアムが紙を見る。


「これだけで、一トンの石を浮かせられるのか?」


「分かりません」


「……分からない?」


「まだ使ってないので」


グレアムが笑った。


「なら試すか」


話が早い。


「一トンから?」


「君はそうしたい顔をしている」


「はい」


今回は当たっている。


第三実験場。


中央には、前回使った巨大な石柱が横たわっていた。


重量。


約一・二トン。


その下に、私が作った新しい魔法陣を描く。


古代術式はない。


初めて、完全に私の術式だけ。


リーナが少し離れた場所で見ている。


教師たちも。


グレアムも。


誰も喋らない。


私は魔素を流した。


魔法陣が光る。


何も起きない。


少し増やす。


石柱が僅かに震えた。


さらに魔素を流す。


一・二トン。


一トン。


八百。


五百。


重量計の数値が。


落ちていく。


「……動いてる」


リーナが呟いた。


三百。


百。


五十。


十。


そしてゼロに近づく。


石柱が、ゆっくり床から離れた。


十センチ。


三十センチ。


一メートル。


巨大な石柱が。


私の目の前で。


空中に静止した。


私はしばらく動けなかった。


成功。


古代術式ではない。


私は古代人の魔法を再現したのではない。


彼らが残した記録を読み。


仮説を立て。


現象を測定し。


必要な機能を一つずつ調べ。


自分で作った。


「アル」


リーナが呼ぶ。


「これ……成功?」


私は浮かんでいる石柱を見る。


「うん」


魔素を少し下げる。


石柱がゆっくり降りる。


上げる。


また浮く。


「成功だ」


声に出した瞬間。


胸の奥から。


何かが込み上げた。


前世では、重力は計算するものだった。


観測するものだった。


人間が利用することはできても。


直接、意思によって変えるなど夢物語だった。


でも、今私はそれに触れている。


魔素を通して、世界の法則の一つへ干渉している。


グレアムが浮かぶ石柱を見つめたまま言った。


「アル」


「はい」


「名前は?」


私は少し考えた。


古代では、第七属性。


ある時代には、重圧術。


別の時代には、失われた魔法。


そう呼ばれた。


だが私にとって。


これは属性ではない。


火が燃焼という現象であり、風が空気の運動であるように、これも世界に存在する現象の一つだ。


だから、名前は最初から決まっていた。


「重力魔法」


グレアムが聞き返す。


「重力……魔法」


「はい」


物が大地へ落ちる、星が空を巡る。


その原因となる力。


前世で私は、その名前を知っていた。


そしてこの世界で初めて、それを操る魔法を作った。


実験はそこで終わらなかった。


私は術式の作用量を調整する。


石柱をさらに高く。


三メートル。


五メートル。


十メートル。


巨大な石が、実験場の上空へ浮かぶ。


周囲から声が上がった。


その状態で今度は、作用方向を僅かに傾ける。


石柱が。


横へ動いた。


「……!」


リーナが目を見開く。


ゆっくり。


右へ。


止める。


左へ。


戻す。


下。


上。


つまり。


重力を弱めるだけではない。


落ちる方向そのものを、ある程度変えられる。


私は笑った。


古代文献の『退ける』あの記述。


やはり、強さだけではない。


方向も操作できる。


「アル」


グレアムが言った。


「次は何をする?」


以前なら、止められる前提で聞かれた質問。


だが、今の声は違う。


完全に研究者へ向ける声だった。


私は浮かんでいる石柱を見る。


「もっと大きなもの」


「どのくらいだ?」


「学院で一番重いもの」


魔法陣学の教師が吹き出した。


グレアムも少し笑う。


「探させよう」


「あと」


「まだあるのか?」


「移動速度を上げたい。複数物体も同時にやりたい。それから、作用範囲そのものを空間指定できるか試したい」


「分かった」


「あと――」


「一度に言え」


研究項目はいくらでもある。


重力を強くする、弱くする、消す、方向を変える、複数へ作用させる、一定領域だけへかける。


もし、それらを自由に制御できるようになれば、できることは浮遊などという言葉では収まらない。


その日の夜。


私は寮へ戻ると、研究ノートの新しいページを開いた。


『第七属性=重力?』


以前からずっと残していた疑問符。


私はようやく、そこへ一本の線を引いた。


その下に新しく書く。


『古代人が第七の力として伝えた現象は、重力と極めて近い性質を持つ』


完全な証明ではない。


この世界の重力が、前世と全く同じ仕組みなのかはまだ分からない。


魔素がどのように干渉しているかも分からない。


だから研究はこれからだ。


ただ、一つだけ確かなことがある。


私は今日、新しい魔法を作った。


六属性のどれにも属さない、古代術式の模倣でもない、物理現象そのものへ魔素で干渉する魔法。


『重力魔法』


ペンを置く。


机の上には一枚の紙。


そこに描かれた小さな魔法陣。


一・二トンの石柱を浮かせ、空中で自由に動かした術式。


私はそれを見ながら、子供の頃を思い出していた。


前世。


まだ、物理学者になるより遥か昔。


私は魔法使いになりたかった。


火を出したい、空を飛びたい。


そんな子供の夢。


そして、七十四年間一度も叶わなかった夢。


私は窓の外を見る。


夜空、星、月。


その全てが、重力によって動いている。


ならいつか、私はそこまで届くのだろうか…


「……やってみたいな」


小さく呟く。


重力を自分自身へ使えば空を飛べる。


そんなことはもう分かっている。


だが、今の私が考えているのはもっと先。


空を飛ぶだけではない。


もっと高く。


もっと遠く。


この世界の空の向こうまで。


もし重力を、本当に自由に扱えるようになったなら、前世でロケットに頼らなければ届かなかった場所へ、魔法だけで行けるかもしれない。


私は研究ノートの最後へ新しい一行を書いた。


『次段階――重力場の制御』


そして。


その横へ、小さくもう一つ。


『飛行』


書いた瞬間。


少し笑った。


七十四年越しの夢としては悪くない。


しかし、私はまだ知らなかった。


このとき作った重力魔法が、やがて空を飛ぶためだけの魔法ではなく。


戦場を押し潰し、巨大な城塞を宙へ持ち上げ、さらには世界そのものへ干渉するための最初の一歩になることを。

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