第十三話「中学校麻雀競技選手権 県大会②」
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※今回は大会編のため麻雀の描写が展開多く御座います。
麻雀が分からない方は終局まで流して頂けますと幸いです。
準々決勝 後半戦が始まり、
各卓でサイコロが振られる。
乾いた音が場内に響く。
緑は静かに配牌を整える。
対面ではタトゥーの女の子がニヤッと笑っていた。
その目は完全に獲物を狙う目だ。
(私だって負けられない......!)
緑は小さく息を吸う。
前半戦と同様、
卓を引っ張っていたのは九頭龍とタトゥーの女の子だった。
ツモ。
ツモ。
ロン。
点数が動くたびアガるスピードはお互いに早くなっていく。
九頭龍は守っているのにいつの間にか点数は増えている、そんな感覚に緑は驚いていた。
それが確固たる九頭龍の強さの真髄なのだろう。
しかし後半戦は完全に守り切れる展開ばかりではなかった。
九頭龍も競り負けている局面がある。
待っている牌が顔を出さない。
その隙を狙ってタトゥーの女の子にアガられる。
点数差が少しずつ縮まっていく。
南三局終了時点。
後半戦のこの局順位。
一着 タトゥーの女の子
二着 緑
しかも10,000点近く、トップから離されている。
準決勝進出は九頭龍もほぼ確実と言っていい。
無理に押す必要はない。
それでも九頭龍もタトゥーの女の子もそんなことは一切考えていなかった。
二人ともこの局でトップを取るためだけに、
今ここで牌を握っている。
そんな空気に他の二人は圧倒されていた。
オーラスの南四局。
タトゥーの女の子が先にリーチを入れる。
一位なのに守っていては捲られると、
そう感じているのだろうか。
「……」
九頭龍は手牌を見る。
打点は高い。
待ちも広く、追いかけても問題ない手だ。
それでもリーチはかけなかった。
巡目が進む。
場が張り詰める。
そして、
「――ロン」
緑の声が静かに卓へ放たれる。
タトゥーの女の子がしてやられたと天井を見上げる。
「12,000点!」
順位な変動する。
一着 緑
二着 タトゥーの女の子
「……あとちょっとやったのに!」
タトゥーの女の子が悔しそうに机を叩く。
他の二人は終局してもなお、
タトゥーの女の子と緑に、その麻雀に圧倒されていた。
二着で準決勝進出を決めたタトゥーの女の子の方が、
準々決勝で敗退が決まった選手より悔しさを滲ませていたからだ。
自分たちとは目指している次元が違うのだと、
そう痛感させられたのだろうか。
緑はモニターを見つめたまま、
ゆっくり息を吐いた。
ギリギリ。
本当にギリギリだった。
でもトップ通過。
これで一回戦から、
全てトップ通過だった。
観客席からは凄い人がいると少しざわついている様子だった。
間もなくして、もう一つの卓でも対局が終了したのが分かった。
そして準決勝の卓へと案内される。
Aブロックの決勝戦。
さすがに観客の数も増え、緑も今までに味わったことのないくらい多くの人から麻雀を打つ姿を見られる事になる。
この会場で残っている人数はたったの四人だ。
緑は静かに決勝卓へ近づく。
まだ誰も卓には座っていない。
すると後ろから走ってきて、
緑より先にタトゥーの女の子が牌を表にして席に座った。
「いやー」
椅子へ背中を預けながら楽しそうに笑う。
「緑と今日四回も勝負できるん嬉しいわ」
「……随分余裕なんだね」
緑は小さく返す。
タトゥーの女の子はニヤッと笑った。
「ここまで来たらもう運ちゃうな」
「緑の実力を認めざるおえん」
タトゥーの女の子は視線をBブロックの会場に向けて続けた。
「決勝は緑との対戦を楽しむ余裕はなさそうやからな。」
「この局では勝たせてもらう。」
相変わらずの発言だ。
しかも決勝は絶対行けるという絶対的な自信。
負けることを一切疑っていない。
その真っ直ぐさが今の緑にはとても羨ましかった。
私は九頭龍に打ってもらってもなお、
不安で押し潰されそうなのに。
緑は小さく息を吐く。
「……まぁお互い頑張りましょ」
当たり障りのない返事。
それしか出来なかった。
その時だった。
誰かが卓へ近づいてくる気配。
緑は反射的に顔を上げる。
そして、
心臓が止まりそうになる。
黄色に近い明るい髪。
長いポニーテール。
見慣れた顔。
「……海里」
喉が詰まる。
言いたいことは、
本当はたくさんあった。
雀荘に顔を出せなくて。
連絡を返せなくて。
大会参加を伝えられなくて。
.......海里から逃げて。
色んな感情が胸の中で混ざっていく感触。
そのどの感情も寒色な感情だった。
息を吐けない。
頭と体が上手く噛み合っていない感覚。
海里は緑の下家側へ座る。
椅子を引く音がやけに大きく聞こえた。
そのまま牌へ視線を落としながらぽつりと呟く。
「……緑も今日の大会出てたんだね」
「知らなかった」
少し低い声。
昔みたいな軽さが無い。
緑の胸が痛む。
海里は卓へ座りながら続ける。
「.......言ってくれれば良かったのに」
「……」
緑は視線を落とした。
喉が詰まる。
何か言わなきゃいけない。
でも声が出ない。
「……ごめん」
やっと絞り出せたのはそれだけだった。
海里は何も返さない。
重い沈黙。
卓の空気が少しずつ冷えていく。
その時、
「ん?」
タトゥーの女の子が二人を交互に見る。
「二人は友達なんか?」
空気を壊すみたいに明るい声で聞いてきた。
緑は反射的に海里を見る。
海里は少しだけ間を空けて。
「……ただの知り合いよ」
聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう呟いた。
「それでは――準決勝、
対局を始めててください」
スタッフの声が静かに卓へ落ちる。
ブーー。
電子音と共に張り詰めた空気に変わる。
Aブロックで脱落していった選手たちの視線が
四人の卓へ視線を集めている。
準決勝前半戦。
Aブロックのトップを決める試合。
緑は静かに牌へ手を伸ばした。
「……」
重い。
今までで一番卓の空気が重い。
タトゥーの女の子。
海里。
そして海里と共に勝ち上がってきた女の子。
そして、場違いな私。
今までで一番レベルが高いということは間違いないのだろう。
私はそんなプレッシャーに押し潰されそうで逃げたくなる。
それでも。
勝たなきゃ、麻雀が続けられない。
だから何としても勝たなきゃ。
例え海里を蹴落とさないといけなくなったとしても。
この卓で勝ち抜けるのは二人なんだ。
つまりタトゥーの女の子、海里どちらかには勝たなければいけないということ。
(私がこれからも麻雀を続ける。そんな個人的な都合のために、どちらか一方の夢をここで潰さないといけないんだ......)
その現実が急に胸を締め付けてくる。
(クズさん、気にせず本気でやってね......)
「無論だ。」
勝たないと全てがなくなる。
勝たないと。
勝たないと。
何としても.....勝タナイト。
静かに最初の牌を握った。
◇
東一局。
牌が静かに切られていく。
誰も無理に前へ出ない。
海里も、
タトゥーの女の子も、
九頭龍も。
全員がこの卓の空気を測っている。
負ければ終わり。
だからこそ不用意な一打が無い。
カタン。
カタン。
牌の音だけが響く。
その静けさが逆に怖い。
海里も、
タトゥーの女の子も
準々決勝とはまた違う空気を纏っている。
カタン。
カタン。
そして最後の牌が切られる。
流局。
私とタトゥーの女の子のテンパイ。
海里がこちらを一瞬見る。
タトゥーの女の子は口角を少しだけ上げる。
(振り込まんかー.....)
そう言いたげな表情だ。
◇
東二局。
海里が流れを掴むために動いた。
ポン。
海里は先に一歩前へ出た。
海里の打ち方はあの頃から変わっていないようだ。
この攻撃的なスタイル。
他家が手を整える前に一気に押し切る。
そして――
「ロン」
低い声。
「5,200点です」
海里が牌を倒す。
無駄のない綺麗なアガりだった。
海里は点棒を受け取りながらも表情は変わらなかった。
◇
東三局。
親の海里。
この局も先に仕掛けてきた。
「リーチ。」
空気が張る。
タトゥーの女の子もさっきより慎重になっている。
なぜなら海里の安全牌が少なすぎる。
押したいのに序盤で親のリーチ押しにくい。
みんな警戒していると、
「ツモ。」
海里が静かに牌を倒す。
「2,600オールです。」
卓の空気が、
少しずつ海里側へ傾いていく。
やっぱり海里は強い。
悔しいけどその真っ直ぐな打ち方は見惚れてしまう。
そして調子ずかせると止まらない。
◇
東三局 一本場。
今度はタトゥーの女の子が動く。
チー。
早い巡目で動き、海里の連荘を止めに来ている。
空気が少し荒れる。
タトゥーの女の子は海里にこれ以上流れを渡すのは危険だと感じているのだろう。
でもそれを一蹴する海里の攻め。
「リーチ」
親のリーチが虚しくも響く。
タトゥーの女の子が舌打ちする。
けどここでタトゥーの女の子は引かない。
むしろ笑ってる。
「それでええ」
二人とも完全に真っ向勝負になってる。
そして――
「ロン!」
タトゥーの女の子が海里へ直撃のロン。
「8,300点や。」
海里がタトゥーの女の子に視線を送る。
その視線に気づき、タトゥーの女の子も牌を倒しながら笑う。
「やっと捕まえたわ」
卓の流れが少しずつ変わっていく。
◇
東四局。
海里が流れを掴みかけ、
タトゥーの女の子がそれを止めた直後の局。
ここぞとばかりに攻めたのは九頭龍だ。
「リーチ」
止まった流れをすぐに掴むような宣言。
タトゥーの女の子が眉を動かす。
海里も河を見る。
そして、
「ポン」
海里が反応する。
そう易々とアガらせてはくれない。
意地で押し返してくる。
海里もまた九頭龍を怖がってない打ち手の一人だ。
女の子が牌を引いて少し考えた後、
九頭龍の安全牌として出した六索。
「ロン、8,000点です」
女の子の捨て牌に海里が牌を倒す。
再び卓を支配していく海里。
◇
南一局。
また乗りはじめた海里の勢いは、九頭龍もタトゥーの女の子も止めるのに苦労をしているような表情をしている。
はたまた海里ではない別の何かに苦労をしているのだろうか。
そんな中で海里が7巡目でアガる。
「ツモ、8,000点。」
誰よりも早く仕掛け、誰より正確に押し切る。
タトゥーの女の子が小さく笑う。
「お友達も随分調子ええみたいやな...…」
その言葉に誰も反論できない。
◇
南二局。
今度は静かだった女の子がここで牙を見せる。
「ロン 5,800点。」
海里が放銃。
それでも海里は特に反応することはなかった。
当たり前だけどこの卓は本当に全員が強い。
一瞬の油断で足元をすくわれてしまう、そんな緊張感の張り詰めた空気がこの広い会場に広がっていく。
◇
南三局。
親は海里。
表情を見ると配牌は良さそうだ。
九頭龍もそう感じている。
海里の第一打、
第二打。
そして――
「チー」
海里がここでも前へ出る。
このまま走られると流石に苦しくなる。
そう思った瞬間――
「リーチ」
空気を変える大きな九頭龍の宣言。
タトゥーの女の子が手を止める。
女の子も河を見る。
二人ともここは押してこない。
このリーチに当たるのを嫌がっているみたいだ。
卓に残ったのは、海里と九頭龍。
一騎打ち。
海里が牌を掴む。
出した牌は危険牌。
ということは海里も、ここは全ツッパの場面と腹を括っているのだろう。
海里の視線が鋭い。
九頭龍は冷静だ。
でもお互い譲らない。
そして――
「ツモ、8,000点」
九頭龍がこの一騎打ちを勝ちきった。
海里は前半戦で初めて悔しそうに息を吐いた。
九頭龍は静かに牌を倒す。
◇
南四局。
前半戦のオーラスだ。
ここでもう一度女の子がリーチをかけた。
最後流れが来ていたのに先制された。
でも九頭龍の手もあと一つまで来ている。
ここからでも戦える。
でも――
強引には押さない。
危険牌は捨てない。
どうしても熱くなってしまう場面で九頭龍は本当に冷静だ。
勝負する場所と、降りる場所。
そのポイントを正確に見抜いているのだろう。
タトゥーの女の子も、
海里も、
女の子の河を見て危険牌を探している。
静かな終盤。
そして――
「ツモ」
女の子が宣言する綺麗な手牌。
「16,000点です」
最後にこの高打点は、三人に点数以上の大きな精神的なダメージを与えた。
前半戦終了。
10分間の休憩。
久しぶりに呼吸をした気分だ。
というか九頭龍が前半戦で負けている。
緑はその事実に焦りを感じていた。
(ちょっと、負けてるけど大丈夫なの?)
「これでも対応している」
「海里よりも海里と勝ち上がってきたあの女の子だ。海里の攻めに上手く隠れながらしっかりアガりを狙ってきていた」
「女の子のアガり牌を手牌に押さえていたのに、それでも後半二回アガられてしまった......」
(みんな強いのは知ってるけど、
何としても次の局で勝ってよ?)
「大丈夫だ。
おそらくタトゥーのやつも同じ事を考えている」
この卓の高度な細かい駆け引きまではまだ緑は感じ取ることができずにいた。
休憩から戻ってきたタトゥーの女の子が、
椅子へ座りながら笑う。
「前半は調子ずかせへんために立ち回ってたけど」
牌を触るその目が鋭い。
「こっからは行かせてもらうで」
冗談じゃない。
そしてそのままこちらを見る。
「緑もそうやろ?」
内心少しドキッとした。
その言葉、さっき九頭龍が言っていたことと同じだった。
タトゥーの女の子はちゃんと私を対等に見てくれている。
九頭龍の打牌を私の麻雀として見ている。
それを悟った時に虚しさが襲ってくる。
そんな事を考えていると海里も戻ってきた。
椅子を引く。
小さく息を吐いて、そして真っ直ぐ私を見る。
その目だけで息が苦しくなる。
「悪いけど」
低い声。
「緑にはここで負けてもらうから」
緑はゆっくり視線を海里に向ける。
海里はそのまま続けて、
「本当に緑が準決勝まで来るとは思ってなかったよ」
「でも誰が緑に麻雀を教えたか分かってる?」
視線が鋭くなる。
「緑に私は倒せない。でも今日はガッカリしないわ。むしろホッとしている。」
これは九頭龍ではなく私へ向けた言葉だ。
私は何も返せなかった。
だって実際その通りだ。
そもそも私は本来この場に座る資格すら持っていないんだから。
そんな重い空気の中、
準決勝後半戦の開始を知らせるブザーが鳴る。
前半戦 結果
一着 海里 +6,300
二着 女の子 +500
三着 緑 -2,100
四着 タトゥーの女の子 -4,800
◇
後半戦が始まった。
東一局。
「ポン」
女の子が前半戦の勢いそのままに鳴く。
まだ攻めてくるの?
海里とタトゥー女の子だけでも相手にするのが大変なのに、この女の子まで攻めてこられると流石の九頭龍でも負けるのではないかと不安に駆り立てられる。
そんな事を考えていると
「ロン」
もうこれ以上好きにはさせないと言わんばかりの宣言。
「5,200点」
女の子が海里に放銃した。
海里が静かに牌を倒す。
前よりも海里は攻めにずっと磨きがかかっている。
この短期間で強くなったのは緑だけではないのだと、そう痛感させられるアガりだった。
◇
東二局。
九頭龍の親。
ここの親は大事にしたい。
それを体現するかのような九頭龍の指示。
「リーチ」
親の重いリーチが三人に襲いかかる。
海里が牌を引き、手牌から出した一萬。
「ロン、2,900点」
海里からの直撃。
その瞬間、海里がちらっと私を見た。
その度に胸が苦しくなる。
◇
東二局。一本場。
また九頭龍が早い。
テンパイ。
しかしリーチはかけない。
そして新しい牌を引き、手牌から牌を捨てる。
待ちを変えながら、ダマテンのまま打点を上げていく。
嫌な静けさが卓を覆う中、女の子がかける。
「リーチ!」
まるで九頭龍が打点を上げるのを嫌がるようなリーチだ。
全員の視線が女の子の河へ向けられる。
タトゥーの女の子が牌を掴む。
数秒の沈黙。
そして切った女の子の安全牌。
「ロン」
それは九頭龍の当たり牌だった。
「12,300点」
タトゥーの女の子から笑みが消える。
海里も少し驚いた表情を見せた。
正直誰も読めなかった。
今の当たり牌は女の子のリーチを前に、
全員の安全牌になっていた。
◇
東二局。二本場。
「流石に止めるで」
タトゥーの女の子が前へ出る。
ポン。
速度勝負。
海里も押す。
ここはタトゥーの女の子が僅かに早かった。
「ロン!」
タトゥーの女の子が海里から4,500点のアガり。
海里が小さく息を吐く。
タトゥーの女の子は笑う。
「そう簡単に独壇場にはさせへん」
卓がまた熱を持ち始める。
◇
東三局。
タトゥーの女の子がニヤリと笑った。
「やっと来たで」
タトゥーの女の子の空気に変わった気がした。
配牌がいい。
そう直感で分かる。
「リーチ」
これは絶対にアガるという気迫にやられそうになる。
切られていく牌。
でも待ちが読みにくい。
待ちが広い?
いや狭いけど打点が高いのか?
分からない。
女の子も牌を引くが、捨てる牌に悩んでいる。
そして捨てた二筒。
「それロンや」
「12,000点」
タトゥーの女の子が牌を倒す。
緑が一番恐れていた事、タトゥーの女の子に準決勝で初めて、流れが傾いてしまった。
◇
東四局。
タトゥーの女の子の流れの中、タトゥーの女の子に親番が回る。
最悪のシナリオだ。
嫌な予感は当たる。
「リーチ!」
タトゥーの女の子の素早い宣言。
九頭龍も女の子もここはついていけない。
二人とも降りるしかなかった。
この終盤での親のリーチは致命傷だった。
でも――
「リーチ」
この勝負に一人挑んだのは海里だった。
海里はあの時からずっとこうして打っていた。
その打ち方に誇りを持っていると前に聞いたことがある。
二人とも全く引かない。
タトゥーの女の子が笑う。
海里も信じて牌を引いていく。
完全な真っ向勝負。
残りの牌がどんどん減っていく。
運が味方をしたのは無情にもタトゥーの女の子だった。
海里が引いた牌。
その牌を見た瞬間、海里表情が曇った。
でも海里のアガり牌でない以上、捨てるしかない。
タン。
「申し訳ないなー」
またも12,000点の申告。
タトゥーの女の子が笑う。
「これやから麻雀はやめられへん」
海里は悔しそうに目を伏せた。
◇
東四局。一本場。
このまま流れが傾き続けると九頭龍も危険だ。
今度は九頭龍がリーチをかける。
タトゥーの女の子が河を見る。
分が悪いのか、押してはこない。
「ツモ」
九頭龍の静かな5,200点のアガり。
でも確実に流れを切った。
タトゥーの女の子が椅子へ背中を預ける。
「ここまでかー」
悔しそうに笑った。
後半戦 東四局までで前半戦の順位が逆転する。
ここまで TOTAL結果
一着 緑 +18,300
二着 タトゥーの女の子 +9,800
三着 海里 -8,400
四着 女の子 -18,000
緑は海里がこの順位に動揺をしているのをただ見ているしかなかった。
15話で中学生編は完結となります。
改めて中学生編をご愛読頂き、心から御礼申し上げます。
もし少しでも良いと思った方は【ブックマーク、評価】の方本当によろしくお願いします。涙




