↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/38

蜂の目的


 暫しの静寂が流れた後、私は漸く言葉を取り戻すことが出来た。



「レティの言う通りです。あの御方は、何故こんなことを? 私を働かせたいのなら、このような悪事を企てずとも王命ひとつでどうにでもなるでしょう」


 国王陛下の命となれば、そうそう断れるものではない。多少無茶な要求であったとしても、応じるしかなかっただろう。


「……貴女にさせたいことが、戦争の手伝いだとしたら?」

「……戦争?」



 シオン様の口から、聞き捨てならない言葉が出てきた。


「あの強欲蜂頭、この国以外も手にしたいんだとよ。まずは大陸全土を支配して、果ては世界も自分のものにしたいだとかなんとか。いくらアンタの力が成長していようが、戦争ってなりゃどうしたって沢山の犠牲が出る。そんなもんに尊い乙女サマの力を使おうとか、民が許すかね」


「ならば、行方知れずということにしてしまえば都合が良いわね。おまけに、コトハ様自身の労働環境についても気にしなくて良いんですもの。倒れるまで……いえ、倒れても働かせるつもりでしょう」


 前世で言うところのブラック労働。けれど、それよりも気になるのは戦争という単語の方だ。


「……私の扱いがどうとか以前に、戦争を起こさせるわけにはいきませんね」


 無論私だって酷使されるのは遠慮願いたいが、罪なき人々の犠牲など尚更見過ごせない。レティを始めとした使用人、バークリー伯爵領の領民、お父様やアレン様にだって害が及ぶ可能性がある。


「けれど、皆様。お相手は、その……私のような使用人風情が口にするのも憚られるような、あの御方、なんですよね。まさか今回の計画が失敗したからといって諦めるようなお人でも無いのでしょう。謀略が続いているとしたら、こちらはどのように対策すれば良いのですか?」



 レティの疑問に、ランドルフ様は頭をがしがしと掻いている。シオン様は、傷付いたような表情を浮かべて目を閉じながら。


「あの蜂頭のことですから、今回の計画が失敗した時の予防線などとうに張ってあるはず。コトハ様にとって辛いことかもしれませんが──、蛾を使いましょう」


「…………蛾、ですか」


 国王陛下を蜂と評した際にシオン様が蛾と例えた人物。それは、恐らく。



「……あー、お嬢ちゃん、俺らの見立てじゃ近々ベルナールの坊っちゃんに求婚されるぞ。良かったな」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。