忍びよる者、忍び寄られる者①
「【ファイアボール】!か〜ら〜の、【兜割り】!」
御薬袋さんの振りかぶったメイスの先端に、ファイアボールが直撃する。直撃してすぐ様、眼前で唐突な炎に立ち竦んでいるミニウルフの脳天を、炎を纏ったメイスの一撃が炸裂する。
「おぉ、器用だね」
「ですよね⁉︎私も、はなださんみたいな高威力が出せるスキルが無いかなぁと思って、魔法剣!みたいな」
魔法メイス、ね。実際魔法剣のスキルは在る。職業魔法剣士や、赤魔道士なんかも覚えたっけ。器用貧乏なイメージが拭えないが、やはり属性効果が乗る分、弱めの強化スキルよりは優秀だと思う。
ただ、御薬袋さんは魔法メイスのスキルを実際に所有しているわけではないので、力技で再現したわけだ。威力を推し測りたいところだけど、この辺だと普通に【兜割り】どころか、脳天一撃で大丈夫だからなぁ。
「まぁ案外練習続けてたらレベル上がったら獲得出来るかもしれないね、聞いた事無いけど」
「ですかね……それにしても、いよいよもうすぐレベル10ですね」
「俺は一足お先してるけどね。一緒に一次職考えよう!」
「はい!すぐ追いつきますよ」
いつになく元気に予め教えてある高所からサーモによって偵察した、敵影の所に向かう御薬袋さん。まぁ記念すべき一次職の解放が目前だからね、わかるわかる。
俺達は最初にとても一次職では獲得出来ない職業をプレゼントされているので、元から個性的なスキル構成になりつつあるが、通常通りプレイしていればレベル10までの間のプレイングや、ステータスの割り振りなどでWAOに判断されて、幾つかの職が提示されて漸く個別のスキルを獲得していくものだ。
本格的に役割を持ってパーティープレイしたり、職業専用クエストなんかもあって一気に活動範囲が広がる、一番ワクワクする時期なんだよなあ。
「な〜なじゅう‼︎っとおぉ⁉︎」
そうこうしていると、先にこちらの接近に気付き、前方から飛び掛かってきたミニウルフの土手っ腹に、カウンターのメイスがめり込む。もれなく、ミニウルフは虹となって砕け散り、御薬袋さんの主観カウント70体目にして漸く達成されたようだ。
「行けた?」
「行けました、行けました‼︎」
いぇ〜、と二人でハイタッチを交わし、余韻も束の間。取り敢えずゆっくり出来そうな、例の【妖精の泉】に移動する。ゆっくり考えたいしね。
「ふぃ〜……先ずは、お互いレベル10おめでとう‼︎乾杯‼︎」
「乾杯です‼︎」
チン、と軽くグラスを鳴らし持ってきていた果実酒を一気飲みする。ワインのような風味と、ほんのり身体が火照るような、気がするだけのもの。実際には飲んでいないから酔うわけもない、そういう錯覚。
果実酒自体は安物だし、持ってきているつまみ達もアタノールのNPC店で購入したありきたりなものだ。なのにこんなに美味いと感じるのは、きっと充実感によるものなのだろう。
「おぉ〜……えっこれ、本当にアルコール入ってないんですよね?」
「ないね、脳は酔わないよ。酔ってる風なだけ。でも再現度高すぎて、全年齢版では飲めない」
WAOは年齢に合わせて、全年齢版と18歳以上版と別れている。生体認証が主流のフルダイブ機では、保護者等に18歳以上版を買わせてプレイする事も出来ない。
「はぁ、改めてフルダイブというものは凄いものですねぇ」
これはフルダイブがというよりも、WAOの最早執念とも呼ぶべき制作陣の血の努力と神技術が成せる技だ。別に訂正する程でもないけど、すっと胸の内に置いておく。いつもありがとうございます。
さてさて、盛り上がって忘れる前に取得可能な職業一覧を開くとする。隣では御薬袋さんも俺を皆見習ってウィンドウを開いていた。
……うーん。【剣士】【戦士】【軽業士】【魔法使い】に【シーフ】【遊び人】そして【魔物使い】、ねぇ。一次にしては上々である。
元々の仕様では、レベル10程度では大した活動も出来ないので職業選択の幅も狭い。精々3.4個あれば良い方だが、7つは破格と言って良いだろう。
多分【魔物使い】はあれだろ、うさうさペレット事件じゃないかな。特定の条件を満たしてモンスターと触れ合う行為を行えば取得可能と、取得条件が判明しているが、思い浮かぶ触れ合う場面がそこしか無い。【遊び人】もカジノに行けば自動で追加される、遊んでないんだけどね。
「はなださん、えっと……【拳闘士】【鍛治師】【魔法使い】【発明家】、【棍士】【魔物使い】【遊び人】って出てきたんですけど……お勧めあります?」
「おぉ、まっ白さんも結構多い」
ギフトの影響も大きいかもしれない。御薬袋さんの【鍛治師】【発明家】なんて絶対【錬金術師】の影響だろう。俺の場合は【軽業士】と【シーフ】が【パパラッチ】から影響を受けてそうかな。
「まぁ、【発明家】は無しじゃないかな。多分突き詰めても錬金術師に辿り着きそうだし」
「成る程、元から所持しているので必要ない、と」
「まぁ、でも元々持ってる分プレイスキルとしては未熟な部分もあるから。それを改めて一から学びたいなら、選択肢としては有りかもしれないんだけど……」
「はなださんなら選ばない、と」
「だね」
実際そういう例もチラホラ有る。超強い戦士が偶々モンスターを素手で倒してしまった。その後レベルアップをして【バトルマスター】の職業を選択したものの、武闘家を経ておらず、素手での闘いに慣れているわけではないので、結局恩恵は少なかった、とかね。
更に言うと、今まで非公式ながら存在しなかった職業を先んじて、無償で獲得している自分達だが、いつかはこの職業を獲得する他のプレイヤーも現れるだろう。その時により棲み分けというか、マウントが取れるようにプラスで他の職業を就く方が良い気がするのだ。
「はなださんは?どういうのが出ましたか?」
「こんな感じ、迷ってるよ」
御薬袋さんに自分のウィンドウを見せる。先の理屈から【軽業士】と【シーフ】は【パパラッチ】と被りそうなので無しだ。悩むのは……アタッカー2種と後方担当【魔法使い】、そして2個目のアカウントという事もあり、普段は絶対に選ばない【遊び人】も捨てがたい。
【魔物使い】?無し。モンスターをテイムして戦わせるなら【呪胎】の影響が邪魔すぎる。ヘイトが使役するモンスターより俺に向き易い以上、プレイヤーがタンクとかをこなす事になるし、俺より火力が有るモンスターとでも出逢わない限り旨味を感じない。御薬袋さんもやり辛くなるだろうしね。
「……遊び人」
「気になるよね。カジノに行けば必ず出るんだけどさ」
「遊び続けないと死ぬ、とかですか」
「ははっ、流石にそこまでじゃないけど……多少ふざけた言動は多くなる、らしい」
職業毎に多少の思考変動は見受けられるようで、遊び人の場合は本当、情緒不安定になるそうだ。パーティープレイでは賛否両論であるし、ソロプレイでは安定した火力が足りない。
だが、そこは遊び人。ギャンブル性バリバリの職業で、レベルアップ時のステータス上昇時ではルーレットによるランダム上昇(元からレベルアップ時のステータスが上がる基準は不明だが、急に演出としてルーレット盤が出現するらしい)で上げ幅が決まるそうだ。上手く行けば遊び人で、世界最強、も有り得るかも……いや誰得だよ。
「気にはなりますけど……私は遠慮しときますかね」
「ですよねー」
となると御薬袋さんへのオススメは……。
「【魔法使い】か【棍士】じゃないかなぁ、前衛か後衛か」
「そうですか……【魔物使い】もダメそうですか?」
「ん?……あ、いや、ごめん。俺が【魔物使い】になるメリットが無いもんだから忘れてたけど、まっ白さんなら有りだね」
やった、と目を輝かせるお姉様。なんだ、もうなりたい職業あったじゃないですか〜、と。多少メリットが薄いとしても、自分のモチベーションが保てないなら、長くプレイするのは厳しいしね。
「【魔物使い】ってあれですよね、こう……モンスターと一緒に戦ったり、乗ったりとか」
「出来るね、テイムするには色々条件が有ったりするけど基本的には殆どのモンスターがテイム出来るよ」
「はぁ〜……もふもふ、ぷりぷり、夢が広がりますね!」
御満悦なようで何よりだが、先ずはテイムからですよ……なんて指摘して気を悪くさせるのもなんだし、先に自分の事も考えようか。
御薬袋さんがなぁ、魔物使いとなるとちょっとややこしくなる。魔物使いの性質上、モンスターと共に戦うのは基本体制なのだが、それが近距離遠距離どちらのモンスターなのか。そもそも戦闘重視のモンスターなのか。
モンスターだけで無く、一緒に戦う事の多くなる俺も立ち位置を考えなくてはならない。
今までの御薬袋さんの武器はメイス。だが、恐らく魔物使いになる以上、STRの上昇率は低めだった筈。となると今より強いメイスは、制限がかかって使えないであろう。
そしてメイスが使えないとなると残るは鞭や杖などの余りSTRを必要としない武器か、遠距離武器になる……うーん、わからん。正直ゲームに不慣れである以上、直ぐにどのスタイルでいくかとかのイメージも湧き辛いであろうしね。
あー、なら……俺が無難なのは【魔法使い】、か?魔法使いなら御薬袋さんが無理矢理前衛についても支援出来るし、なんなら火力は【パパラッチ】のスキルや、写真の補正でINT以外のステータスも賄えるだろうしね。
決めた、これっきゃないね!
「俺は【魔法使い】にするよ、戦略は広がるし、まぁ空飛ぶ可能性も有りそうだしね」
「そうですか……ふふっ」
「どしたの?」
口元を押さえて笑みを漏らす御薬袋さん、もといエルフのお姉様はそれだけで上流層感が漂う。しかしどうしたことか、笑われる謂れは無いと思うのだが。
「いえ、また属性が増えたなぁと」
「属性?」
満遍なくいくつもりぞ?折角魔法職になった以上、どれかの属性に特化するより浅く広くするつもりだ。その方がパパラッチの支えになりそうだしね、あくまでもメインはパパラッチだ。
そして衝撃の新事実。
「美少女眼帯(魔眼)刺青ツインテ魔女っ子、爆誕、ですね」
爆誕、開いた口も塞がらないね。
◆
「それで、まっ白ちゃんの一次職用の装備を揃えにきたわけね。はなだちゃんはいらないの?」
「もうそこそこ強くて、魔法使いでも使えるものだったから大丈夫」
「私はオススメとかありますか?」
おっしゃる通り、あの後新しい職業で使用する装備を求めて、ボチボチと最早相手にならなくなってきたミニウルフやトレントスなんかを蹴散らしつつ、アタノールのアリさんの店まで戻ってきていた。
最近は御薬袋さんにログアウト前、全額お金を渡すことで呪胎の【所持金半減】は回避できているため、装備を買う余裕位はある。
とは言え、出店も大事なのであまり贅沢はしない。あくまでも基礎装備を整えたら後は御薬袋さんの錬金に頼る計画だ。
「まぁ貴方達今回も結構倒してきたしねぇ……これとか」
差し出されたのは【魔搾者の鞭】と名付けられたおどろおどろしい黒色の短鞭。長鞭と違い操作に技術は必要ないが、射程は短い。まぁ【魔物使い】にとって鞭を振るうのは味方なので射程は問題ないっちゃあ、ない、のか?
それにしてもアリさんの腕はやはり本物なのか、レア度2にして【テイム率+5】【弱痺れ】のスキルが付与されている。生産されるアイテムのレア度は、作るのに必要な素材や付与されているスキル、ステータス補正等で増減する。
この鞭はスキルだけならレア度3は堅いが、恐らく素材はこのアタノール周辺でも賄える程度の物なのだろう。ステータス補正はSTRに+10のみ、これがレア度を下げる原因かな。だがこちらとしては懐にも、ゲームの進行度的にも丁度良い武器だ。俺なら即決だが……。
隣では浮かない顔したエルフが一人。さっきから鞭を見たままずっと悩んでらっしゃる。まぁ、なんだ。この半月程一緒にプレイしてある程度彼女の性格が分かり始めてきた気でいるんだが、恐らく。
「はなださん……テイムって鞭じゃ無いとダメですか?」
「……いや、触れ合って信頼関係を築いたり、専用のフードとかで懐柔したり、色々あるよ。鞭は苦手?」
「苦手、というか触った事すら無いですけど……これで叩かれたら痛いじゃないですか」
だろうね、なんなら痺れるね。アリさんも分かってて出したのであろう、肩をすくめてもう一つ、アイテムをカウンターに提示する。
「私からしたら甘さと思うけれど、そこはきっと貴方らしさなのよね。こっちを使いなさい」
【三叉の月杖】という、下半分が一本の樹木で出来ており、そこから上に向かうに連れて三本に枝分かれし、更に枝分かれした三本が先端に向かうに連れて捻れ、最終的にはまた一本に丸まっている杖がカウンターに置かれていた。
「テイム、というか自分より弱いモンスターを使役して戦うヘカティオンという上級天使の素材から作られているの。テイム率と、後これで触れると弱い回復効果があるわ」
「回復……じゃ、じゃあこれにしま……あっ、お、お幾らでしょうか?」
「そうねぇ……流石に全くタダにするには高価すぎるし……10万ドンと言いたいところだけど取り敢えず貸にしといてあげる」
「え、い、良いんですか?」
元はもっと高いんだろうな……え、いや、なんかやな予感がしますよ?
「勿論、貴方達が開店資金集めなきゃいけないのはわかっているからね……ただ」
「ただ?」
「ただ、獲ってきて欲しい素材があるの、出来れば近い内に」
ほら見て、タダより怖いものなんてないのよ!御薬袋さんはすっかり杖に夢中で気にしてないけど、アリさん絶対最初からこの話を振るつもりで先ず鞭を見せたのだろうな……策士っ‼︎
見本を見せるわね、とアリさんはとても大きな何かの鱗を持って来た。色的には黄土色って感じなんだろうか……黄色を屑ましたような色。年季が入っているのか、やや薄汚れているように見える。大きさが一枚の鱗にしてはかなりの大きさで、悠々と人一人の胴辺りまである。
「これはね、【黄衣の蜥蜴】というモンスターの素材なの。一年程前かしら、旦那があるパーティーと共にスガナダの方にある、中級エリア【瑠璃湖畔】の周辺で戦闘した時のもの」
「瑠璃湖畔ね……あそこにそんなモンスター出たのか?」
「恐らくレアエネミーか、何らかのクエストのフラグではないかと考えているわ」
「と、いうと?」
ふわっと、風ではないがなんとなく何かが通り過ぎたような感覚を覚えて周囲を見渡すが、特に何もない。アリさんも御薬袋さんも何のリアクションも無いし、気のせいだろうと話に集中しなおす。
「その蜥蜴型モンスターは中々に強敵で、旦那も他のメンバー4人も当時の上級プレイヤーの一員だったにも関わらず、一人はやられてしまい、旦那も含めて4人は満身創痍だったわ」
そこで、とアリさんが自身のウィンドウを呼び出して俺達に見えるように一枚の写真を表示する。そこには恐らく、その蜥蜴型モンスターであろうものが横たわっていた。それこそ体長でいえば5メートルはあるかもしれない、とても大きい。
そしてその蜥蜴型モンスターの前に4人のプレイヤーがボロボロになりながら、カメラ目線で各々勝利のポーズを決めている。恐らくレアエネミー討伐記念に、というところか。
「この、左から2番目のナイスなエルフが旦那のアバターよ」
「確かに、美形ですねぇ」
「でしょでしょ……だめよ?」
貴方も、と俺も指で制止されるが大丈夫だ問題無い。当方中身は男の子なもので。
しかし男の身からしてもため息が漏れるかもしれないくらいには美形だ。この他のメンバー達も良い顔パーツを使っているのか、元が良いのかは知らないが、そこそこ整っているというのに、アリさんの旦那さん……手背臼さんだったか、ズバ抜けて輝いているな。
「まぁ、それはさておき、それでこの蜥蜴から取れたのが、この鱗なんですよね?」
「そうね、他にもあったけど彼らに装備を作るのに使っちゃったの。今手元にあるのはこの鱗一枚のみ。それで、旦那の首元を見て欲しいんだけど」
言われて注意してみると、何やら黄色い……返り血、か?なんせ写真なので拡大してもある程度限界はあるのだが、状況的にもその可能性は高い。このゲーム時間経過で取れるっちゃ取れるんだが、そういったグラフィックやエフェクトもこだわってるんだよなぁ。
倒れている蜥蜴にも無数の傷が有り、後方支援が得意そうな弓士メンバー以外には殆どこの黄色の血液が付着している。
「何か、黄色い、この蜥蜴さんの血、なんでしょうか」
「そう、だと思うのよ。実際装備に付いた血液エフェクトは、帰る頃にはすっかり消えていたんだけどね」
「【装備に】か」
「相変わらず貴方は察しが良いわね……なら貴方に話した理由もわかるわね」
「これ、か」
眼帯を取る。アリさんには初回に見られているし、今更だろう。
「そう、旦那もね。同じかは分からないけど、首についた血痕が消えずに残っているのよ」
「その……えーと」
御薬袋さんが何となく、何か言いたいけれど言って良いのか、といった具合にマゴマゴしている。
多分呪胎の効果の事かな……話次第かな。ということで、一応脳内チャットで『呪胎の詳細は俺から話すよ』と入力して送っておく。これなら目の前でやり取りしてもリアクションさえ取らなければバレないバレない。
「ええっと……それで、血痕が消えないのはそりゃあ聞いたこと無いですけど。消えないとダメなんですか?」
「そうね……何というかね。直接関わりが有るか無いかは判らないけれど、その日くらいから旦那がね、時々キョロキョロするようになったのよ」
「キョロキョロ」
懐かしい、金のは出なかったなぁ……違うか。
「でね、何か探しているのかと聞いても、気のせいだ、と言うだけ。そんなに気にしていなかったのだけどね」
「かった、という事は」
「相変わらずなのよ、もう一年は過ぎたけれど。幸いこのWAOにログインしている間だけだから、現実の健康に影響があるわけでは無いのだけれど、段々怖くなってきてね。旦那から詳しく話を聞いたの」
曰く。蜥蜴型モンスターを討伐し、アタノールで祝勝会をやっていると、酒場の影や、窓の外。家々の隙間等、時折何かが蠢くのを感じると。それなりの上級プレイヤーだ、反応は素早いが目を向けても何も居ない。
曰く。弓士プレイヤー以外の、一名キルされたプレイヤーも含めて全員が同じ現象に苛まれている。内一名は、リアルの忙しさとプレイ時のその不快さから最近ログインが殆ど無くなってしまった。
「手掛かりはこの写真と、鱗、それと旦那やメンバー達のモンスターリストに登録された【黄衣の蜥蜴】のフレーバーテキストだけ」
「フレーバーテキスト……」
「ふふっ、まぁアイテムとかの世界観の設定文章ね。こう書いてあったの」
【憑り行く黄の、一端。目的は無く、アテもない。ただ黄の意思を携えて、その身を委ねるのみ。お前が、蒼のものであるか?】
いやー、わからん。何これ怖い。




