第十二話
明けまして、おめでとうございました(←過去形)。
さて、二〇十二年に相応しく、"twilight world"も十二話からのスタートです!!
ご賞味下され♪
俺の指摘通り、確かに、男はごみ箱から空き缶をわざわざ拾い集めていた。
訳が分からない。
「何でって…決まっているだろう」
男は答える。
「空き缶が、必要だからさ」
…えーと。
この場合、俺はどうリアクションすれば良いのだろう。
「必要…なんですか。そんなに」
先程から俺は、ビクビクして敬語しか話せない。
もし、この男の気にそぐわない発言をしたならば、次の瞬間には彼のお気に入りである金属バットによって昇天させられそうだからだ。
そしたら、今度こそ本当に、あいつを運んで三途の川を渡るハメになる。
「あぁ」
男は短く答える。
「…ごみ箱を、漁ってまで?」
「まぁな。それより、さっさと手伝え」
と言う訳で、俺は質問を中断して男を手伝わざるを得なかった。
「あのー…」
俺は貧乏ちっくなサンタクロースよろしくごみ袋を背負いながら聞いた。
同じく、ごみ袋を背負い、金属バットを腰に刺す男に。
「何で、こんなに空き缶が必要なんですか?」
貧乏サンタは答えた。
「生活に、使うからだ」
…よく分からない。
説明が大雑把なのは、やはり"貧乏サンタ"と言う、酷いあだ名のせいか。
よし、やはりこの男には…従来通り、"金属バットを持つ男"がお似合いのようだ。
「そのバットで打つんですか?」
「…馬鹿か、お前は」
年がら年中、金属バット持ち歩く男に言われたくねぇよ。
…なんて言ったら、きっと殴られるな。
「あ、分かった!」
俺は閃いた。
「空き缶アートで"HELP ME"…」
「馬鹿かお前は」
本日二度目は手短に、しかも俺の台詞に被せられた。
肩をすくめ、はぁ、と溜息をつく。
首を振る姿は"やれやれ"と言う台詞が聞こえてきそうだ。
「あのな…空き缶を金に替えるんだよ」
…は? 金?
gold? money?
…ますます分からない。
もしくは、俺の理解力が足らないのか?
「通貨偽造は犯罪ですよ」
一応、言っておいた。
どうせこの男なら、罪の意識なんてないのだろうけど。
「追いはぎだって、犯罪だろうが。大体…こんな空き缶で、どうやって通貨偽造するんだよ。ひたすらアルミ缶で一円玉を作る気か?」
確かに、それならバイトや追いはぎをしたりすべきだろう。
…間違えた、追いはぎを"すべき"とは言えないな。
正しくは、"した方が効率が良い"か。
さて。
「じゃあ、どうやって空き缶を金に替えるんですか?」
当然の疑問だ。
そして、その答えが…
「業者に買い取って貰う」
…当然?
単純な答えだった。
男の話によると、ごみ袋一つ分で大体五,六百円らしい。
なら、今俺達が抱えている二つの袋で千円ちょっとか。
…そんなもん?
よく分からんけど。
「ま、公共のごみ収集者の給料よりは安いからな。割と買い取って貰えるんだぜ」
男の言葉を聞きながら、貧乏サンタの俺達はねぐらとしている公園へと辿り着いた。
では、今年も江角 稚をよろしくお願いします~。




