第81話 最高級料理からの陛下へお土産
「ストームバッファローのステーキです、目の前でお焼きしますね」
ハルクパークレジデンス最上階個室、
アイリス達の部屋から階段で繋がったプライベートレストラン、
切った肉に丸い蓋を被せるフレンチベラ氏が我々に微笑んでいる。
(素晴らしい夕食だ、どれも最高級の食材らしい)
様々な食事の出来る店を覗いたが、
やはりここが一番だ、夜景も綺麗で、
遠くについさっきまで居たスタジアムが見える。
「叔父様、エンシェントドラゴンはいかがでしたの?」
「いやあ、二百人の亜人獣人で一斉に『ドラゴン病みつきチュルチュルゼリー』を放り込む様子は絶景であった」
「あれは観光になりそうですか」「グラン殿、エンシェントドラゴンを間近で見られるというだけで、あれはもう立派な観光だ」
さて、姪のためにもここをどう報告するべきか、
エンシェントドラゴンと軽く会話をさせて貰ったが、
あの黒猫獣人の通訳が嘘でなければ、それはハルク殿への扱いで変わってくる。
「ダンバム殿、それで王都への、陛下への報告は」
「フィーナ、それだがな、明日は周辺調査がしたい、そして明後日には皆で帰ろうと思う」
「話し合ったのか」「最初から、最長で五日で戻ると決めてあってな、ずれ込むと救援が来る」
なので五日目、すなわち明後日の朝には帰ることとなる、
よって色々と、ハルク殿とは今後について聞かねば、詰めねば……
少し考え込んだのち、ハルク殿は紙エプロンを揺らしながら前のめりに話す。
「では明日夜は大広間でお別れ会をしましょう、
ハルクパークレジデンスの大宴会場『鳳凰の間』と、
スタジアム地下の温泉大劇場と、どちらがよろしいですか?」
肉が焼き上がったようで、
カットされて皆の皿に乗せられる、
私のは酒で焼いて蒸したようだ、うん、柔らかくて美味い。
「任せるがおそらく今後、早ければ次回、
陛下も訪れるであろう、その時に互いに失礼のないようにしたい、
またこれは前の城塞都市でも過去にあったことだが、辺境伯独自の技術を王都にと……」「それは無理かと」
こうして色々と話をしながらの夕食、
最後にフルーツ乗せモンブランとかいうのをいただき、
話もとりあえず落ち着くと奥からガーベラ殿がやってきた。
「これは国王陛下への贈り物です」
「酒か」「崎山200年という日本酒と、ヌボレージョーボーという高級ワイン、赤と白です」
「合計三本も」「気に入っていただけたら、ハルクパークレジデンスでも売っていますとお伝え下さい」
これは陛下への良いお土産が出来た。
「わかった、感謝する」
「では今夜は人間用の県人会館、その一番大きな部屋に泊まっていただきますのでご案内しますね」
「帰り道は憶えているが」「少し酔われているようですので」「まあな、ここの酒はとにかく美味い」
酒に強い私も、
少し顔が熱くなっている。
「ではダンバムさん、また明日」「おうハルク殿」
「叔父様、おやすみですわ」「ダンバム殿、周辺は遠く離れるとまだ危険な魔物も多い」
「そうだな、気を付けるとしよう」「ではウチの武闘派、狩猟管理人を付けましょう」「ありがたい」
こうしてアイリス達の部屋を出て、
ガーベラ殿に案内されて地下へ到着、
夜も遅くなりそうな時間なのに商業エリアはまだ賑やかだ。
「ここは何時まで」
「半分くらいは24時間やっていますよ」「なんと!」
「ただ、建物の外は基本的には夜10時までです、自販機は24時間ですが」
動く歩道とやらを使って戻る、
県人寮とやらには一緒にやってきた視察団員も数名居た。
「ガーベラ殿、そういえばデュアル殿とターニャ嬢は」
「今夜はアイリス城ですね、コックベラさんの料理に舌鼓を打っていたようです」
「そうか、ならば良かった」「お部屋は最上階の八人部屋をご利用下さい」「……ここの景色もなかなか」
窓から外を見ると、
丁度、街灯から音楽がかかってきた。
「この曲は」「毎晩10時に流れる『グッドイブニング』という曲です」
「知らない曲だが」「これが流れたらもう騒いじゃ駄目ですよという合図でして」
「取り締まりが」「ええ、3分ほど流れてそれでもうるさくしている方は逮捕されますね」
治安はしっかりしているらしい。
「では風呂に入って眠らせて貰う」
「はい、何かお困りの事があれば、ここの管理人のベラベラに」
「今は何を」「人間の方と卓球を」「……風呂上がりに混ざるか」「是非」
こうして三日目の夜を楽しんだ、
と言いたい所なのだが、実はこの後……
(まだ少しあるので、それも日記につけておこう)




