第79話 園内一周からの人間用県人会館
あのあとハルクパークの正門を見せて貰い、
公民館では新たにやってきたエルフ、ドワーフ、魔物が休んでいた、
私がして貰ったように仮の身分証を貰い首からぶら下げている、私のもまだ仮だ。
(今夜にも正式なのにして貰えるらしい)
陛下にも造らせる気か、と少し心配になったがまあ良いか、
そして『メンテナンスハウス』という黒猫獣人の基地を見たり、
従魔となっている『ワイバーンブランコ』とかいうのを楽しんだり。
「叔父様、ブランコに乗りながら移動にも便利ですわ!」
続いて公園の中心部、
ジェットコースターというのは訓練に使えるな、
そして大観覧車にアイリスとふたりきりで乗る。
「……アイリス、ここなら邪魔は居ない、他に誰も聞いていないだろう」
「なんですの叔父様?」「誰かに脅されたり、操られていたりということはないか」
「実は……」「何かあるのか?!」「わたくし、ハルク様の愛の奴隷ですわ」「……惚れているだけか」
顔を紅らめて頷くアイリス。
「そしてハルク様はフィーナの愛の奴隷ですわ」
「そのフィーナは」「わたくしの、絶対服従の従者ですわ」
「なんだかややこしいな」「簡単ですわ、ハルク様もわたくしも互いに望むがままですの」
ハルク殿からの要求は喜んで聞き、
逆にハルク殿へ要求があればフィーナを使う、と。
「では幸せなのだな?」「今も、そしてこれからも、ですわ」
「しかしこの公園という領地を護るのは大変そうだが」「黒猫獣人に任せますわ」
「彼女達は本当に安全なのか」「ハルク様の従者ですわ、全員」「全てか」「全てですわ」
……この場合、
陛下としたらハルク殿を、
いやアイリスを抑えれば良いのか?!
(フィーナも含め三人とも、だな)
ここの要交渉は慎重に調べなければ。
「あっ叔父様、一番高い場所に到着ですわ」
「おお、塔のてっぺんが見える、ドラゴン達も」
「今日は天気が良いから開けているようですわ、運が良いですわあ」
前方の籠では拝んでいるエルフが居るな、
後方の籠はハルク殿とフィーナ、密室籠で中は見えない、
アイリスが成人するまで『お預け』らしいが、何をやっているのやら。
「しかしハルク殿に頼めば面会できるのでは」
「重要な用事がない場合は、ハルク様と黒猫獣人しか許されませんわ」
「その割にはサービスが良かったのだが」「それも全てこの公園と、ハルク様のためですわ」
観覧車が地上に戻ると、ハルク殿はなぜかふわふわしていた、
それはともかく他に巨大迷路やらボルダリングとかいうよじ登る壁を見てまわったり、
フィールドアスレチックとやらやフットサル場、トランポリンという弾む遊具も……見ているだけで楽しい。
「ふう、ここで『ハルクパークカフェ』で昼食にしましょう」
首筋にまだ紅いキスマークを残したハルク殿の案内で、
大きなレストランへ入る、ここでも食事代を出して貰う、
40種類の『おにぎり』があるようだが、ここはあえてパンを選んだ。
「ダンバム殿、ここのジャムは20種類だそうだ」
「ああ、それはそうとフィーナは」「オーガちゃんことオークちゃんこだ」
「両方喰うのか」「塩おむすびがあると、いくらでも食べてしまえる、美味だ」
器用に箸というのを使っているな、
アイリスも……それにしてもパンも美味い!
思わずハルク殿に聞いてみる。
「このパンもエルフが」
「いえ、それはPasc●ですね」
「パス……それは地名か?!」「製造元です」
持ち帰りたいくらいだ、
それにしてもこのレストラン、
本当に店が多い、店に取り囲まれている、ただ料理を運ぶのは自分だ。
「まるで屋台村のようであるな」
「フードコートと言いまして、お値段も安めで」
「園長」「あっガーベラさん」「新しい寮の場所が選定できました」
美味しい昼食を終えてガーベラ殿についていく、
ここは我々が最初に入った裏門から少し進んだ先だ、
ラーメンというのを食べた『猫猫軒』の建物がそこそこ近くに見える。
「このあたりかあ」
「園長、近くにハンバーガーショップでも造りますか?」
「だったら牛丼屋かな、いや海鮮丼の店も捨てがたい、まあとにかく」
秘宝を床に置き、
その真上で何かを突っついている、
指で遊んでいるようにしか見えないが……?!
「よし、では人間用の県人会館、
ちょっと奮発して四階建てにして……
いでよ、ウィリパテル会館、地下通路付き!!」
……おお、秘宝から建物が放出された!
大きな屋敷、長屋、もはや城ではないのか?!
そして入口から出てきた黒猫獣人、獣人にして美人だ。
「はいっ、人間会館の管理人ベラベラです、人間はおしゃべりが好きということでこの私も、
一生懸命に喋らせていただきますはい、この寮はですね四階建てですが住居も様々ありまして、
独身用から八人家族用まで、更には集会場に教会やハルクパークレジデンスへと通じる地下通路も伸びておりまして……」
この黒猫獣人、
いつ息継ぎをしているのだろうか?????
(とにかく、ここが崩壊した辺境伯領の住民用住居、その第一歩か)
ハルク殿について行って、
早速、中を見せていただくとしよう。




