第78話 お城での目覚めからの地域猫
チュンチュン、チュンチュン……
「おお朝か、ぬおっ?!……なんという不気味な顎たぶの鳥よ」
しかし足に輪っかが付けられている、
巨大な鳥、そういえば屋根に巣があったのを見た記憶が。
「おはようございますダンバム様」
「これはこれはハコベラ殿、その『着物』というのは何度見ても素晴らしい」
「アイリス城の寝心地は、いかがでしたでしょうか」「素晴らしかった、感謝する」
三日目の朝、
ドワーフやオーガと遅くまで呑んだ昨夜を思い出す、
確か音楽が流れて皆、お開きという流れになってこの城へ連れて行かれた。
(目の前の黒猫獣人、ハコベラ氏が迎えてくれた)
なんでも城の『VIP客おもてなし係』だそうで、
とはいえ細かい内容は憶えていない、ただ風呂に入れて貰い、
添い寝は何とか断ったのだけは憶えているが、酒がまわり過ぎて気絶するように眠った。
「和朝食で御座います、が、箸が苦手ば場合に備えフォークとナイフとスプーンも用意しております」
「失礼致します、アイリス城料理係のコックベラです、おかわりやデザートはいつでもお申し付け下さい」
「おお、それにしても床に座って食うのか」「では座椅子を御用意致しましょう」「いや、スモウとかいうのの弁当で経験はある」
一人では寂しくないようにか、
ハコベラ殿が世話をしてくれるのだが、
どうもこの『着物』から良い匂いがして落ちつかない。
(いや料理の味は美味しい、これは文句ない)
焼き魚が中心の食事だが、
意外と野菜を煮たものが朝の胃に心地よい、
緑茶というのと一種だと尚更……ただやはり量が。
「御飯は、おひつで用意してますよ」
「おおコックベラ殿!」「では私がおにぎりにしてさしあげますね」
「ハコベラ殿も申し訳ない」「たーんと召し上がってくださいませ、ふふふ」
という朝食を終え、
城から外へ出るとアイリス達が待っていた。
「叔父様、おはようですわ」
「ダンバム殿、昨夜は盛り上がっていたようだが」
「おはようございますダンバムさん」「おおハルク殿も!」
遠くでは、
小屋から侯爵姉妹が出てきた。
「ラブライスのふたりも起きたみたいですね」
「あれに、あの狭い中に住んでいるというのか?!」
「一応、空調はきちんとあるので風邪をひくことは無いかと」
水場で歯を磨いている。
それを見ていると、ふいに何かが近づいてくる音が!
「お待たせしました!」
「ガーベラ殿、それは、そのクルマは」
「新しく購入された園長の公用車、ガルウイング式ですよ!」
鳥の羽根のように扉が開いた!
「さあお乗りください、園長は助手席で」
「あっはい、皆さんは後ろの席へ、まあすぐ着きますが」
城の入口でハコベラ殿に手を振られ、
クルマは道を走り始めた、確かこれから行くのは……!!
「ダンバムさん、今日のスケジュールなんですが」
「ハルク殿、確か地域猫、と」「はい、珍しい猫の魔物です、
あと改めて公園内の施設を色々と、人間の寮も設置しましょう」
こうしてクルマは、
大きな猫型の建物へと到着した、
ガーベラ殿が説明してくれるようだ。
「ほう、ここが」
「はい、フォレストホーンキャットを飼っている小屋です」
「小屋……?!」「まずはこちらからどうぞ」「おお、これはまさしく幻の魔物!」
その白い角は煎じて飲めば万病に効くと言う伝説が!
大きな猫が三匹じゃれあっている、いや奥にもっと大きなのが、
子猫二匹の面倒を見ている、角に気をつけながら……どれも綺麗な白い毛で、首輪をしている。
「もふもふですわあ!!」
アイリスが赤・黄・青の首輪猫へ突っ込んで行った、
それを受け止める猫の魔物、なんというかこう、手慣れた感じだ。
「青い首輪はオスです、この魔物はオスが珍しいんですよ」
「では繁殖は」「もちろん、あちらをご覧ください」「子猫か」
「赤ちゃん猫のグリンとオレンです、グリンがオスです、世話してるのはエルザです」
紫の首輪、
あれがお母さん猫か。
「父親はどこへ」「実はグリンとオレンは最近見つけた孤児でして、
見ての通り角が危険な魔物で、出産の時に母体は傷つき、発見された時は、
母猫の死体の胸で泣くこの二匹だけ生きていまして、それを回収してエルザに育てていただいています」
なるほど、保護猫というやつか、魔物だが。
「では血の繋がらない者同士で交配をする訳か」
「隣の小屋にもココナッツというオスが一匹居ますよ、
中で繋がっています、ではスザンヌの小屋へ」「素敵やん」「ハルク殿?!」
こうして地域猫を見学し、
スザンヌ小屋の方から外へ出ると、
そこに居たのは四体の、これまた別の? 猫であった!
「いらっしゃいぱっぱ」「ようこそさまさま」
「完成するひらひら」「お嬢ちゃんお名前はすのすの?」
「ターニャ、でっす!」「かわいいぱっぱ」「えへへへへへ」
おお、王宮魔道士のデュアル殿、
その孫娘のターニャ嬢がたしかこれらは、
名前を『にゃんこキッズ』とかいう連中と触れあっている!
「ダンバム殿、フォレストホーンキャットが飼い慣らされておりましたぞ」
「ああデュアル殿、私もたった今、見終えた所だ、ターニャ嬢も喜んでおられるな」
「両親も呼びたいと、すっかりはしゃいでおってな、そうそう、ジェットコースターという乗り物が……」
いやはやこのハルクパーク、
どうやら我々を飽きさせる気は無いらしい。
番外編、長くても全14話くらいの予定でしたがもうちょっと伸びます><




