第176話 姉上からの真面目な話 前編
ウィリパテルタウンの駅長室、
ってなんかここ女子力高いな壁紙とか装飾とか、
これはアレだ、シュガベラ=ハートさんのせいだな。
(駅長席で監視カメラを見てら)
モニターね、
鉄道警察員が丁寧に帰るお客を捌いている、
それはそうとソファーで向かい合う僕と姉上。
「あら、どうも」
こっちの黒猫獣人かな、
お茶を出してあげている、
まあ今は貴族の姉としてだからいいか、僕も飲む。
(何か考えてるな)
手紙を持って読んでる、
待っている間に遠くの別のソファーに座る、
アイリスとフィーナさんを見る、あっちもお茶を出されているな。
(いや実はですねえ……)
姉上から『出来れば2人きりで』と言われたが、
呪いがかかっているとはいえそこまで姉を信用できないので、
姫とフィーナさんが遠くなく近くもない場所で話を聞くだけ聞く、ということになった。
(よほどの内容や暴言が出たら割り込むらしいが)
まあこのあたり、
この部屋に居る2体の黒猫獣人AIアンドロイドも、
そのあたり何かあったら助言なりしてくれると思うが。
「で、その手紙は」
「廃墟になったウチの屋敷に届いていたそうよ」
「あんな所に」「郵便受けだけ新しく立ててあるらしいわよ」
思い出したそうだそうだ、
旧辺境伯宛ての郵便物とか、
あと僕がケジメ&嫌味&皮肉で出す結婚式の招待状とか受け取れるようにしたんだった。
(実際、父上母上兄上宛てに招待状出して、どこにそれが流れて行くのか知りたいし)
いや設置したお前んとこだろうとか言わないで!
このあたりの管轄は黒猫獣人AIアンドロイドなんですよ、
その流れからすると、旧辺境伯への用事の手紙が来て、黒猫的には姉上に渡すべきってなったのかな?
「それで内容は、ていうか誰からですか」
「もうちょっと頭の中で整理するから待ってね」
「ええ、そんなにややこしい話なんですか」「ややこしくしたのはハルク……悪く言ってるんじゃないわよっ?!」
あっ身体がちょっと腐りかけたのかな、
慌てて言い直してら、この間に姉上について、
心の中でおさらいしよう、待ってて暇なんだし。
(もちろん僕と母親は違います、だから腹違いの姉になる)
リリア姉さん、姉上は15歳になったと同時に子爵家に嫁いだ、
それまではまあそこそこ虐められていたが当時の僕からしたら、
貴族の姉なんてそんなもの、程度に思っていたのかも知れない。
(実際のところは僕が無能だからって、辛辣な事を言ってたんだよなあ)
だから軽い『ざまぁ』で僕に子爵邸へと追い返された結果、
ウチの力(権力)に恐れおののいで、今度はその子爵家が姉上を、
よりによってウチへ捨てに来たという、まあ言うなれば返品とでも言おうか。
「そういえば4歳のお子さんは」
「……もう子供さえ居れば私は居なくて良いみたいよ」
「あっそうなんですか」「まったく来るんじゃなかっ……もちろん私のせいよ!!」
まーた腐りかけて焦ってら。
「一応、その子爵家にも結婚式の招待状を出しますから再会できるかもですよ」
「……そのあたり、まあ色々思う所はあるけれども、あっ先輩の旦那さんも呼ぶのよね」
「スミッペだっけアヤッペだっけ、まあ嫌がらせに呼ぶつもりですが、アイリスの叔父さんも言ってたし」
ダンバムさんだっけ、
あの一家にも明日、黒猫ランドで遊んで貰おうっと。
「その流れに関連する話なんだけれども」
「あっ、話はまとまりましたか」「ええ、なんとか」
「ではその手紙の送り主は」「……ウチの継承順位、憶えてる?」
ええっとそれって、
ウィリパテル辺境伯のだよね、
父上が退いた後の話、僕が就任する前の順位かな。
「ひい婆ちゃんが後継者に選んではいたはずですが」
「でも父上的にはクライヴが1位、跡継ぎ筆頭だったのよ」
「その結果、あんなことに」「……自業自得って言いたいんでしょうね」
あっ、自分の肌が腐ってないか確認してら!
つまりはそういう感じで言ったのかな、でもセーフらしい、
このあたりは姉上の精神(思考)の問題なのだろうか、呪いの発動条件。
「で2番目が姉上で良いんでしたっけ」
「3番目しかも私の旦那、元旦那よ、私の追放でその順位も無くなったでしょうけど」
「そもそも僕が継いだので」「とにかくそれはもう別にして、2番目は別よ、聞いてないかしら」
そりゃあ最初から僕を追放する気なら教えてないか、
いや、どっかで聞いた気も、しないでも無いんだけれれども……
「すみません答えを教えて下さい」
「それはね、1位クライヴ、2位が……イアンよ」
えっ、ええっと……誰だっけ。
(思い出している間に、後編へ続く)




