第175話 最後の式典からの住民からのお願い
「皆様、ここウィリパテルタウンでの記念式典にようこそいらしゃいました……」
若かりし頃のハルカ婆ちゃん像、
その前で午後の式典だがエムシベラさんの声が響く中、
意外にも300人以上も旧領民を中心に集まってくれているらしい。
(いや、ここの正式な住民は9人じゃなかったっけ)
そういや前世でもあったな、普段は4人くらいしか住んでない島が、
年に1度の秘祭のときだけ旧島民やその子孫が何百人も集まって来て、
その日ばかりは縁日の屋台まで出るっていう、一応、こっちの駅にコンビニはあるけど。
(でも外側は、みーんな昔の城塞都市そっくりだ)
現に集まった旧領民の方々から、
懐かしいの声がちらほら聞こえてくる、
いやね、本当は小人数だし駅の改札前ロビーでやろうと思ってたんですよ。
(そしたら人が多すぎて溢れちゃった)
なので急遽ハルカ像前で、
これハルクパーク、ドーム都市、
それとここ3カ所全部に来た人って、実は紅白饅頭目当てなんじゃ。
「……それではまずは国王陛下のお言葉を」
と、こっちも陛下のお墨付きをいただいた、
まあタワマンに住んだが良いがやっぱり昔の街のが、
なんて思い直して再移住する領民が居てもおかしくないからね。
(現にドワーフもエルフも、タワマンが合わなかった者がそこそこ居た)
そのあたりはこれからの流れだ、
そうこう思っているうちに陛下の話が終わって、
僕もお言葉を、このあたりは3度目なので慣れたもんです、と思いきや。
「それではここでウィリパテル辺境伯領へ戻って参りました、
リリア=ウィリアヒル様からのお言葉です、お米普及アイドル、
皆さんご存知『ラブライス!』の新メンバーとしても有名であらせられます、さあどうぞ!」
えええええ、ここでかよ!
これはアレか、どうせ住民9人の小規模イベントだからって、
それで油断して? ぶっ込んだのか、まあちゃんと貴族らしい服装だけれども。
(変なことを言わなきゃいいけど)
もし言ったら国王陛下の前だ、
不敬即斬首もありうる、まだちょっと使い道があるんだから、
下手な事は言わないでくれよ、と思いながら壇上の姉を見ていると……
「ラブライスのリリッペでぇ~っす! ……オッホン、
本日は弟の晴れの舞台、そしてウィリパテル辺境伯の再スタート、
その素晴らしい式典にお越しおただきありがとうですわ、この懐かしい街並みを観て思うのが……」
あっ良かった、
ちゃんと辺境伯家としての挨拶をしてら、
まだ憶えてたか、って確か嫁いだ先も貴族だったからね、返却されたけど!
(無難な言葉を、まあ僕への嫌味とか言ったら身体が腐りはじめるからね)
ということで綺麗に締めてくれて、
後は僕が話して奥さん紹介&側室複数匂わせ、
全てが終わって陛下がホーリードラゴンで飛び去るまでが演出でした!
「さて、じゃあ電車で帰ろうってその前に」
実際にここへ住む9人と、
駅舎の中で改めてお話である、
みんな色々と要望があるらしい。
「テレビが欲しいのう」「えっ、いいんですかあ?!」
「他の街の孫が来たがってましてねえ」「ここへ?」「できればタワマンに」
「散歩が趣味なんじゃが、ラジオとかいうのが欲しいのう」「あー、聞きながら歩きたいと」
あと農作業をしながらね、
ちなみにKurineko Radioも開局するらしい、
国営ラジオが前世の公共放送、ハルクパークラジオがAM、黒猫ラジオがFMのイメージ。
(とはいえ、僕が前世で死ぬ頃はAMとFM統合されたんだっけ)
まあいいや、
テレビは景観を損なわない、
この街に溶け込むようなのを手配しようっと。
「ここから更に他の村を造ると言う話は」「ええまあ、ここが手狭になったら」
「黒猫さんが世話してくれるというのは本当かの?」「ええ、介護要員として」
「そういえば新しい、この街の長は」「名目上は僕ですが代理をガーベラさんが用意してくれるとか」
と見ると……
「では来て頂きましょう、ウィリパテルタウンの町長代理は、このお方です!」
紹介されて駅長室からやってきたのは……
「や~ん、来ちゃった☆ 町長代理のシュガベラ=ハートだぞ☆」
「だああああああああ、かあああああああああ、らあああああああああ!!!」
女子力高そうな黒猫獣人AIアンドロイドでしたー!!
(シュガナナのポスターも造るか)
さて、本当に帰ろう。
「ハルク」「どうしたの姉上、もう破廉恥なアイドル衣装に戻って良いですよ?」
「……ちょっと大事な話が」「今更ですか」「そちらの黒猫獣人さん経由の話よ」
なら聞くかあ。




