第174話 実母メイドの紹介からのちょっと遊びに行ってきませんか
「あっこのメイド、僕の実の母です」
旧辺境伯邸を模した屋敷での昼食、
招いた陛下に震えながら給仕するメイドをしれっと紹介、
母上も観念したのか、ひれ伏そうとしたのでそこまでは、と止めると深々と頭を下げる。
「メイドのマジェリと申します」
「陛下、僕の実の母上なのに、どうしてもメイドのままが良いって」
「なんだ、メイドが母親では不服か」「いえ、そうじゃなくて」「なら良いではないか」
陛下が母上を味方した、
フィーナさんもアイリスも頷いている、
まあ急に僕の母がマダムベラさんみたいになったらさすがに引くけど。
(姉上は普通にやれそう)
端っこで居心地悪そうに食べてます、
明日からはまたラブライス! の下っ端に戻って貰おう。
「あの、せめて結婚式には母上は母上として」
「それくらいはやってくれるじゃろう、なあ?」
「は、はいっ、陛下のご命令とあらばっ」「あっ、ありがとうございます」
こっちの希望も叶えてくれた、
さすが国王、丸く収めてくれたみたいだ。
「それにしても豪華な昼食であるな」
「もちろん陛下のためです、戻ってきた住民にまた農業とかさせて良い食材を」
「あのタワマンとかいう所の、店の材料は」「まあ、黒猫獣人の冒険者とか色々」
異世界産とかは絶対言えない、
博物館でもそのあたり上手く誤魔化して説明されている、
でもやっぱりこっちで造る農作物の割合を増やしていかないと。
「大量の移民、戻った住民の雇用は」
「農園をエルフ農園と同じ規模で、あとはそれぞれの街で商店を」
「とても対抗できると思えんが」「既存の店ですよね、でも昔ながらの味も需要はあるかと」
コンビニおにぎりも良いけど、
やはり昔、辺境伯邸で食べたパンもそれはそれで良い、
ただやっぱりこっちの自販機で食うパンの方がいや比べちゃいけない。
「何か困った事があれば何でも相談に乗るが良い」
「へ、陛下にですか」「貴族は我のためにある、それくらい当然であろう」
あっこれ、
僕に貸しを作りたがっているな、
そんなことしなくても大概のことは従うのに。
「では相談というかお願いというか提案というか」「何じゃ」
「実はウチに、辺境伯領に黒猫獣人の村を、いや街を、いや城を造りまして」
「そういえばテレビのチャンネルとやらが増えていたな」「えっもう?!」「KuronekoTVですね」
ガーベラさんに言われて思い出す、
そういや黒猫3トップに黒猫城で言ったな、
黒猫ランドの広報も兼ねて黒猫獣人専用チャンネルを造ってみてはどうかと。
(そういや朝、黒猫城を出るとき黒猫タワーが建ってたな)
てっきり新しいアトラクションだと思っていたが、テレビ局だったとは。
「その黒猫ランドの城主にマダムベラさんが居て治めてまして」
「ハルク殿の配下という訳か」「黒猫獣人は全員そうですね、最上位種の」
「どこにあるのだ」「南の方に、明日ドラゴンでご案内します、そこへちょっと遊び、いえ視察に」
まあ行けば自然と遊ぶか。
「1人でか」「いえ家族で、もちろんガイドの黒猫も付けます」
「広いのか?」「それはもう、半分以上がお城の中ですが、あと宰相閣下やお付きの騎士団の皆さんも」
「……そこで黒猫獣人の秘密もわかるのか」「どうでしょう、とにかく家族向け、夫婦向け、もちろん1人でも楽しめますよ!」
これで黒猫ランドを観光地として有名にして、
更に黒猫獣人の住居ということで認めて貰ったうえで、
いつかは人間をもてなし続けた功績でマダムベラさんに爵位を……
(という長期的な計画です!)
あっ、あともう1つ計画を。
「それで陛下、実は結婚式の計画なのですが、実は新しい側室をですね……」
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一方その頃、とある公園では。
「ケティ、あのドーム都市の屋敷って」
「ええスージー様、私たちの、私たちとハルク様の」
「懐かしいわ、あれをまた造ってくれたということは!」「ですね!!」
六角堂で自販機のチャーハンを食べながら、
ドーム都市での式典を時間差の再放送まで観ている元婚約者の2人。
「まったくもう、私たちを呼んでくれても良いのに」
「きっと側室の披露を、私たちの披露をサプライズにしたいのでしょう」
「こうしちゃいられないわ、いつ呼ばれても良いように、ダンスの練習でもしましょ!」
こうして昼食後、
午後の公園掃除をやりながら、
勝手にダンスの練習をする2人であった。




