第173話 こっちの式典も大賑わいからの形式上昼食会
「本日はロルフドーム移住記念式典にお集まりいただき、まことにありがとうございます……」
続いてお昼前の式典、司会はマイクベラさん、
良い天気なのでドームの屋根を開けて大空の下、
ひい爺ちゃんの像の前で正式な行事なんだけれども……
「ガーベラさん、めっちゃ人が多いんですが」
「ハルクパークの方に住む旧領民も集まっていますね」
「つまりは」「ウィリパテル辺境伯領の、領民のための式典ですから」
今日からこっち側の2駅は正式オープン、
そのせいもあって地下鉄で大移動してきたらしい、
鉄道警察官の3人も活躍してたとか、そう、アベラナナさん含む。
(意外と受け入れられたらしい)
ていうかこっちは正式住民43人なんだよな登録では、
いっそお金のある住民はこっちにも家を買わせてしまおうか、
でも今後、もっと他所から移住民を募るなら、勝手に増えてしまいそう。
(今現在も、勝手について来てる人とか結構居るみたいだし!)
ということでかつての城塞都市で見たような大人数の光景、
この間と違い屋敷のバルコニーからではなく広場に登壇を設置しての、
記念式典だが領民との距離はこのくらい近い方が良い、うん、あえて姉上に聞こう。
「前の城塞都市の時と違って、みなさんがすぐ目の前ですね」
「母上だったら激怒してたわ、暗殺されたらどうするのって」
「あー、大丈夫です、黒猫獣人がばっちり警備してくれてますから」
……こういう前の家族の会話が出来る人を残しておいて良かった、
一応は肉親だし、エンシェントドラゴンの呪いで傀儡だから逆らえないし、
罰ゲームのアイドル活動は続けさせるけど、少しずつちゃんとした僕の姉になって貰おう。
(出戻りで行く所ないし!)
むしろ領民と結婚させて、
このドーム都市を任せる手もあるな、
なんだかんだで姉上も妻という形で辺境伯を継ぐ順位を持っていた訳だし、もう僕が継いだけど。
「それではまずはここでサプライズ、お忍びの国王陛下に……」
またこの流れか、
と思っていたらきちんとした国王の姿になってる、
屋敷の来賓の間を貸した間にいつのまに、お忍びどこ言った。
(そして登壇後、アマーティンではなく国王陛下としてのフルネームを名乗った)
広場が一気に引き締まった。
「……このロルフドーム含めウィリパテル辺境伯領、
並びにハルク=ウィリアヒル辺境伯は我が国の誇りである、
この地を開拓した事に対し、国王として勲章を授ける、授与式は王都でな!」
うっわ、聞いてないけど一気に偉くなった気分!
そうか、ここで陛下が正式に僕を認めることで領民も、
すなわち国民も僕を認めざるを得ないのか、これで反発した人間は不敬で殺せると。
(つまり、今となっては亡き父も母も兄上も……それ言ったら近くに居る、生きている姉上もか)
そのせいか、
ちょっと冷や汗かいてるし。
あとは陛下のお決まりっぽい長台詞が終わって、さあ僕の番だ。
「国王陛下のお言葉の次は、ハルク=ウィリアヒル辺境伯様です!」
僕の登壇に普通に沸く、
ハルクパークから来た領民も大いに沸く、
わざわざこっちまで来てサクラかよっていう。
「まずは皆さんを助けるために犠牲になった、
父上、母上、兄上の冥福を祈ります、間違いなくそのおかげで、
今の僕が居ます、今、こうして居られます、父さん、母さん、兄さん、ありがとう」
領民は感動しているっぽいが、
これは嫌味であり皮肉です、あの世でムキーってなるがいいさ!
現にちらっと見た姉上も苦笑いしてら、矛先はそっちにも向いてるからね。
「そして陛下のお陰もあり、こうして城塞都市はパワーアップ、
グレードアップして復活しました、あっ元の城塞都市のミニ版はさらに先にあります、
そっちでも一応は午後に、まあそれよりも今はこのロルフドームです、住民が戻って、僕は嬉しいです!!」
なによりみんな、
僕一点を領主として見てくれている、
これが、ひい婆ちゃん、ハルカ婆ちゃんが望んだ跡継ぎ……
(むしろ、好きにカスタマイズ出来たことに感謝だな)
だなんて感慨深くしてないでっと。
「皆さん、もう前を向きましょう、かつての城塞都市は教訓としてそのまま残して、
ハルクパークでも、このロルフドームでも、先のウィリパテルタウンでも自由に仕事含め生活を、
取り戻して下さい、続けて下さい、幸せに暮らして下さい、この先についてはこの僕が保障しますから!」
……後はまあ省略というか、
例によってまた奥さんを紹介、
まあこっちではあえて『跡継ぎに期待』的な事を言ったらアイリスがポッて頬を紅らめていた。
(まだまだ何年も先の話だけどね)
ということで式典は無事終了、
みんなすぐには帰らず街中を観光する領民も多いみたい、
もちろんこっちに住む領民の家へ招かれている人達も、うん、住む場所は違っても同じ領民同士の絆は繋がっている。
「では園長」「はいガーベラさん」
「お屋敷で国王陛下を招いての昼食ですよ」「えっ」
「こちらの都市で、屋敷で陛下を招いて食事をすることに意味があるので」
あっそうか、
形式上の昼食会で、
辺境伯領としてこのドーム都市も陛下に認めて貰うのか。
(式典や形式は、領民を安心させるからね)
陛下とのお食事、
失礼の無いようにしないとね、
そうだ、ここでひとつ、提案してみようっと。




