第167話 昔の昼食再現からの新町長
「昔の辺境伯邸での、昼食を再現致しました」
「あっ、なんか懐かしい感じが」「当時の料理人の証言も含め、出来うる限り」
「イザベラさん、これしかもお祝いの時のじゃ、ねえ姉上」「そうね、良い事があった時の昼食だわ」
ということでドーム都市での昼食、
食事の間まで丁寧に再現されていて、
僕は当主の席、母上の席はアイリス姫だ。
(フィーナさんの席はその隣です)
最初はメイド服でアイリス姫の世話をするって言ってたんだけどね、
こっちに追放される最後の方は現にアイリス姫付きメイドって扱いだったらしい、
でも側室なんだからっていうのと食卓が減り過ぎて寂しいからっていうので座って貰った。
(最終的にはアイリス姫の命令でね!)
なのでちゃんと貴族っぽい姿に、
いやよくそんな服用意してあったな、
ここを造る時にガーベラさんが気を使ってくれたか。
「これはこれで美味しいですわあ」
「うんアイリス、当時の農作物も秘宝で造られた物らしいから」
「フィーナはどうかしら?」「もし元の辺境伯邸でこれが出たら、さぞかし儲かっているのだろうなと」
実際そうだったな、
それを手放したのはある意味、
父上と兄上だ、僕にはどうすることも出来なかった。
(とか思いながらフィーナさんに見惚れてしまう)
何を着ても様になる、
貴族服、近衛服、もっと言えばこっちへ来てからのスウェット、
ジャージやネグリジェも、こっちで着かけたメイド服も、あれちょっと興奮したな。
(今度、メイドに襲われるプレイをお願いしよう)
ちゃんとウィリアヒル家のメイド服でした、
そういや僕にもメイド婚約者が側室に居たっけな、
結婚式には招待するか、メイドとしてじゃなく来賓で。
「デザートでございます」
メイド服でお世話に徹してくれている母上、
こっちはまだ貴族としては扱えないけど本人は大喜び、
結婚式まではメイドとして扱ってあげようと思う、そう、失われた日々を取り戻すために。
「陛下がいらっしゃる間に、こっちに招待するのも悪くないなあ」
「ですわ、明日の正式な旧領民移住歓迎式典の後に」「じゃあその時は夕食用かな」
「それでだがハルク、城塞都市の方はどうする」「ウィリパテルタウン、9人ですからねえ」
こっちのドーム都市でまとめて、で良い気がしてきた。
「んー、イザベラさん、どうするべきだと思います?」
「でしたらハルクパークの方の領民にも声をかけてみては」
「あっ、そういう手もあるか、こっちに集まってきて貰おう」
旧領民大集合だね、
ってハルクパークでも式典はあったはず、
時間がずれてるから良いか、午前はあっち、午後はこっち。
(と、食事が終わってやってきたのは……)
旧領民だろうど見た事があるような無いようなおじさん。
「辺境伯様、このたび、こちらロルフドームの新町長となりましたブランと申します」
「あっはいハルクです、ってもう選出されたんですか」「あとは辺境伯様の認定を頂ければ」
「良いですけど、選定方法は」「あまり前の辺境伯と繋がりが無い者をと、とはいえ商人として付き合いはありましたが」
なるほど、僕に気を使ったうえで決めたのか、
なら安心しても良いかな、それで大切なことを聞こう。
「それでどうしましょう、ここに住みますか?」
「いえいえめっそうも無い、私の住居はここのすぐ近くに用意して頂いて」
「商店は良いんですか」「これをきっかけに息子に任せようよ」「なら良いのですが」
どんなお店だろう、
落ち着いたら見に行きたいけど、
モノによってはハルクパークの商業施設に軽く負ける気が。
(お店とかじゃなく輸出業とかなら、任せられる事もあるんだけどな)
ハルクパーク産の、
あんなものやこんなものを。
「ハルク様、ではここはわたくしどもの別荘に」
「うーん、でもなあ、事務的な仕事はここでして貰うとかは」
「それでしたら通いで」「じゃあアイリスの意見を採用で、フィーナさんは」「異論は無い」
ということで平日はブランさんの勤務先に、
休みの日は僕らの別荘となったのでした、うん、
これなら母上も毎日、働きに来られるな、って母上の休日どこ行った。
(そこはちゃんと話を詰めよう)
母上の住居もここになるから、
休日を設定しても勝手に働いていそうで怖い、
まあ他のメイド黒猫AIアンドロイドにそのあたりは任せようっと。
「じゃあブランさん、イザベラさんと今後の打ち合わせを」
「はい、獣人でも大丈夫ですか」「普通の猫獣人じゃないです、最上位ですから」
「そうですか、辺境伯がそうおっしゃられるなら」「では園長は」「イザベラさんと別れてガーベラさんの所かな」
そう、あっちの様子もしっかり見なきゃね。
=============================================
一方その頃、とある公園では……
「雨上がりで綺麗になりましたね」
「はい、えっと」「ベラドンナですよスージーさん」
「ベラドンナ様、足湯もお湯を一旦止めて綺麗にしました!」
掃除が終わったスージーとケティ。
「よく頑張りましたねケティさん、
今日の分のバイト代は振り込んでおきましたので、
その胸にぶら下げたカードで使えますよ、それとこれを」
紅白饅頭を1箱ずつ渡す。
「これは、お菓子?!」
「甘い匂いがします、頂いても?」
「はい、旧領民のハルクパークとその周辺への移住がほぼ完了して、そのお祝いです」
ベラドンナに迫る2人。
「私は、私たちはいつ」
「早くハルク様のメイドに戻りたいです!」
「そうですね、まだまだ裏切った罪の償いのバイトを続けて頂いて、そして結婚式には……」
その言葉に胸を躍らせる2人であった。
「もう1度、ハルクに会えばきっとその時は」
「ハルク様に、ハルク様に許していただくために頑張ります!」
「恩赦について決めるのは園長ですが、こうしてバイトを頑張っている事はお伝えしますよ」
果たして裏切りネトラレ元婚約者の、運命はいかに???




