第161話 薄々勘付かれているからのそれでも僕は
「あんこちゃん、ちょっと工夫でこの美味さ!」
「という訳で我々は帰りますね」「あっはい、また明日」
「ハルク、どういう訳なんだ」「料理道場のシメの言葉ですよフィーナさん」
ということでウチの玄関でカンダベラさんとガーベラさんを見送って、
部屋には、いやベッドには僕とフィーナさんとアイリス姫だけになる、
例によって姫が寝てからゴニョゴニョをする予定だが、その前にお話があるらしい。
「ではハルク様、補足をお願い致しますわ」
「アイリス、何の」「AIについて、ですわ」
「そうだハルク、ガーベラの説明だと亡霊の部類、魂のようなものだと聞いたが」
うん、僕も一緒に聞いていて、
わかり難い例えだなあとは思った、
でも前世の科学を濁して伝えるのも限界がある。
(納得行かないのも、無理は無いか)
もちろんこれまでのハルクパーク、
そして黒猫獣人との会話、行動で、
色々とある程度は察しているのだと思う、薄々勘付いている感じ。
(AIって言葉も、僕と黒猫獣人との会話でボソッと出たのを聞かれたのだろう)
そのあたり僕は、
どうせ2人にはわからないだろうと思って、
聞かれても良いくらいな感じで無防備にし過ぎたのかも。
「えっと、ええっと、どーーーしても聞きたいですか?」
「わたくしは、ハルク様の造られたこの公園について知りたいですわ」
「結局、古代文明とは何なのか、ハルクはその時代に氷漬けにでもされていたのか」
フィーナさん微妙に勘が良いな、
というかこのあたりも大体は察しがついていそう、
あとは僕で確認、と行きたいのだろうけれども、でもなあ。
(それでも僕は、やっぱり……)
うん、正直な気持ちを、言おう。
「ごめんなさい、そこはまだ言いたくないですっていうか、
これは『秘宝』を持っている人、これから持つ人だけに関する話で、
ひい婆ちゃんはそれをちゃんと詳しく話したのか話してないのか、どっちにしろトラブルの元になるので」
フィーナさんがずいっと僕に迫る。
「王都に大昔あった『スキードームザウス』とは」
「あれって元から10年だったらしいですよ、今は商業施設になっているんだっけ」
「その頃にハルクは」「生きていませんよ、というか知っているんですね」「博物館に記載があった」
うん、写真付きでね、
ていうか『こっちの世界では』生きてない頃の施設というか、
正確にはまだ来ていない頃のだけどね、初期に異世界転移した人が設置した、なんであんなものを。
「……どうしても言いたくないのか」
「聞いてフィーナさんやアイリスが、僕の父や義理の母や兄や元婚約者みたいになって欲しくないんです」
「そんなに信頼できないか」「それだけ大きな力ですし、こればっかりはベッドで無理矢理吐かせるようなことはして欲しくないです」
されたら吐きそうだけど。
「わかりましたわ、無理に聞くようなことは致しませんわ」「姫?!」
「アイリスありがとう」「まだまだ信頼されていないということですわね」
「いや、そういうことでは」「本当に愛し合う事が出来れば、互いが身体の一部と思えるような仲になれば、きっと」
……何だか前向きな目標にされてしまったぞ?!
「ふむ、姫がハルクと結ばれるための目標か、なら悪くないし邪魔は出来ぬな」
「フィーナさん?!」「それにハルク様には、私たちがそんな誘惑に負けないくらい愛していると実感して頂きますわ」
「そういうことか、ではハルク、覚悟するが良い、姫がハルクを本気で愛している以上、私もそれに続く」「は、はいぃ」
なんだか結果オーライになったな、
それならそれで良いや、でもやっぱり明かす気にはなれない、
姫やフィーナさんが理解してくれても、その子供達が……歴史は繰り返しそう。
(だから、ここまで高度な文明の再来は長続きしなかったのか)
これに関しては、
この先どうなっていくのか、
本当にわからないな、次の異世界人は50年後か、100年後か、それとも……
「ではハルク、もう1つ聞きたいのだが」
「はいフィーナさん」「結局の所、『アンドロイド』というのは」
「あっそれならゴーレムの正式名というか、ある意味では種族名というか」
これについてはもう、
ある意味、既存の物だから大丈夫だろう。
「つまりは」「オークが魔族、ドワーフが亜人族、みたいな」
「ゴーレムは魔物ではないのか」「元城塞都市を守っていたのは違いますね」
「ではハルク様、こちらの黒猫獣人は」「ええっと、もう眠くなってきました」
やっべ危ない危ない、
これ誘導してAIまで持って行こうとしていたな、
流れで答えていたらロボットとか機械とか説明して繋がって行く所だった。
「ふむ、やはり身体に聞くしかないか」「やめてー!」
「フィーナ、それはまだ早いですわ、最終手段に取っておきますわ」
「ははっ、姫がそうおっしゃられるのであれば」「じっくり攻略させていただきますわ」
……さて、僕はいつまで秘密でいられるでしょおぉーーかっ、ていうね。




