第157話 知らない像ですねえからのこっちも警備が万全
「あれ、このお綺麗な女性の銅像は」
「若かりし頃のハルカ様ですね」「うそーん」
「ゴーレムの記録から製作したので間違いないかと」
駅前広場に佇む聖女像、
そして振り返ると今、出てきたウィリパテルタウン駅なのだが、
4分の3サイズとはいえこっちの外観は元辺境伯邸を忠実に再現している。
(中は完全に駅だったけどね!)
一応、廃墟からもいくつか見栄えの良い装飾を移しているらしい、
確かに飾ってあった鎧とか展示されててウチの屋敷に来たことのある人は、
懐かしがるだろう、まあ今の僕はドワーフ産のもっと凄いのをいくらでも貰えるけど。
「ふむ、雨も止んで来たな」
「ええフィーナさん、傘が要らない程度には」
「この街並み、取り囲む城壁、本来の辺境伯領ですの?」「ほぼそうだね」
街並みなんかも雰囲気で言えばまったく同じ、
ただやはりみんな新築で造り直した家なので完全再現ではない、
とはいえ元の街に戻りたいと言う住民には納得のウィリパテルタウンである。
「園長、警備の十二名です」
「あっこれがちょっと大きくなれる黒猫獣人」
「新城塞都市は八方向に外への出入口があるので、そこの門番と城壁補修を」
まんま元の城塞都市に居たゴーレムの役割だ、警備も万全。
「名前は」「アルファベラ、ベータベラ」「あっもういいです」
「基本、街の外で立っていて中には入らないので、獣人嫌いな住民も納得していただけるかと」
「だね、これで嫌ならそれこそ旧辺境伯の廃墟の隣にでも住んで貰おう」「終着駅ですか」「そこの整備は当分先だけどね」
今はロルフドーム含めこっちの移住が先だ、
午後には旧領民の移動も再開されるだろうし、
街の商店とかも準備、誰かがやってくれるだろう。
(駅舎の中では自販機街もあるから)
とりあえずは住民限定でハルクパーク駅との往復は無料かな。
「ハルク様、このようなお綺麗な方の血が」
「あっはいハルカひいお婆ちゃん、一瞬、知らない像ですねえってなったけど」
「それでハルク様の像はいつどこに」「いやそんなの造るにしても、こっそり誰も知らない公園とかに」
ひっそり佇んでいて欲しい。
「わかりました、では秘宝をお借りして」
「ガーベラさん本当に造るの?!」「こっそりと」
「ま、まあいいけど」「あっ、お借りするのは夜中で良いですよ、朝にはお返しします」
どこに造るんだろ、
夜目の利くナイトワイバーンにでも乗るのかな、
あっ、ふと街中を見ると学校もある、個人的にはタワマンの方に通って欲しいんだけど。
(教える内容も違いそう)
おそらくこっちの教師は普通の人間だろうからね。
「園長、それでお母様からのヒヤリングの結果なんですが」「はいはい」
「旧辺境伯邸のようなものが復活するなら、そこでメイドをやりたい、復帰したいと」
「やはりそれが夢なんですよね」「しかしやはり園長の、ハルク辺境伯の母親ヅラはしたくないようです」
……そのあたりはまだ、
気持ちの整理がついていないのかな、
今更ながら、ちょっと胸がちくちくし始めた。
「ハルク様?」「うーん、僕って嫌われているのかなあ」
「園長、それはないかと」「わかった、私もヒヤリングをしよう」
「フィーナさんがですか」「ああ、側室としてな、勤務先もその時に詰めよう」
ドームの場合は黒猫獣人AIアンドロイドのメイドと一緒だからね、
でもこっちの場合は……駅の清掃員? 古い知り合いがいっぱい居る方が良いのかな、
そもそもどっちも万遍なく来るかどうか、嫌だぞこっち過疎って住民が母上1人だけとか。
(そんときゃさすがに僕が引っ越してくるよ)
あと元住民以外の居住者募集とかね。
「では園長、昼食はいかがなされますか」
「うーん、ここで懐かしい感じの料理食べたい」
「無理を言わないで下さい、まだ住民はゼロです」
さすがにガーベラさんに怒られた。
「旧領民のお店とかは」
「タワマンにすでに」「あるんだ!」
「元々、旧辺境伯領で食堂をなさっていた老夫婦が」「そこにしよう」
って会った記憶あるかなお互い。
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一方その頃、とある公園では……
「えっと、これで良いのね? イザベラ、さん」
「はいスージーさん、住民カード登録完了です、これで自販機で買いものもできますよ」
「お金は」「ケティさん、すでに初期特典で50クリスタル入っていますから、あちらの自販機にこのカードをかざして」
綺麗な衣服(下着含む)を買う2人。
「良かったわ、これで新しい服が」
「あの、それでハルク様の所へは、いつ」
「しかるべき時、とだけ言っておきます、まあ街灯テレビを見ていれば察しがつく日が来るかと」
ある意味それが、
運命の日になることを、
2人の元婚約者はまだ知らない。




