第129話 最強のドラゴンからのお願い
「なるほど、もはや冒険者の基地であるな」
「はい、ドワーフが地下鉄で豊富にアイテムを持ってきているので安心ムムン」
「陛下、冒険者ギルドの出張所もあるそうですよ」「映像はこちらです」「なるほど」
地下鉄でドワーフ国駅からスタジアム駅まで行く途中、
トレインビジョンをハッキングもといお借りして黒猫獣人視点映像で、
今回は行かない冒険者前線基地である元無人公園、フィーナ公園についてラスカルさんと僕でご説明。
「我が騎士団の訓練にも使えるな」
「ムムムーン、いざとなったら我々が助っ人になりますムン」
「冒険者ギルドで借りられるんですよ、魔石がかかりますが陛下にはウチの経費で」「心強い」
これに関しては新たな狩猟AIアンドロイドを召喚したのですよ。
「まず剣士ベラ、次に戦士ベラ、これが通常価格で、
僧侶ベラ、魔法使いベラは魔女っ娘ファンシーベラも居て割料金、
最も高いのは賢者ベラと勇者ベラでS級冒険者以上の実力を持っています」
ちなみに依頼がない時は勝手にパーティー組んでやってます、
フィーナ公園命名式の時はフィーナさんをリーダーとして7体と組んで、
さくっと魔物を倒しに行っていた、フィーナさんは『まあまあ楽しめた』とか。
(黒猫獣人AIアンドロイドの接待狩りだからね、気分良くやらせて貰ったのだろう)
ちなみに陛下の子供はアイリスが遊んでくれている、
もうすぐ到着だがここで少し陛下が気付いて僕に尋ねる。
「黒猫獣人は魔法が使えるのも居るのか」
「アイテムですね、ドワーフの加工した魔法を憶える杖に、
ダークネスドラゴンの攻撃魔法やホーリードラゴンの回復魔法を」
本来の実力的にそんなの要らなくてもいいんだけど、
育成っていうのを考えたときにね、ちなみにロボットなので、
冒険者ギルドに登録して良いのか複雑な気持ち、まあ僕の代理ってことで!
「なるほど、このあたりは我が騎士団の誰かをこの国に、
いやハルクパークに常駐させて一緒に行動させようではないか」
「そうですね、護衛もきっちりするかと」「我々の騎士団が護衛される側か、頼もしい」
実際の実力からすればね、
ほんっとうのいざとなったら、
エンシェントドラゴンを余裕でラリアート葬できるベラミロードが居るし。
(魔法完全無効化は反則にも程がある)
しかもアンドロイド全員がってね、
ちなみに『にゃんこキッズ』もあれで戦えるという、
ただアイツらの場合は文句が多い、とか考えてたらそろそろ……
「スタジアム駅に到着ですムムムーン」
駅から降りてスタジアムへ、
地下入口のボードに本日のイベントが書かれている。
『国王陛下(お忍び)とエンシェントドラゴンの秘密会談』
……お忍びとは、
そして『秘密』会談とは。
ここはなぜかフィーナさんが先導してくれる。
「陛下、こちらです」「うむ」
「少し歩きますが」「とんでもない要塞だなここは」
「今は最強の竜、エンシェントドラゴンの棲家です、地下は巨大温泉ですが」
そして観客席最前列へ、
陛下が着席したと同時に屋根が開き、
エンシェントドラゴンのつがいが舞い降りる。
(いやタイミングばっちり過ぎでしょコレ!)
わざわざ待ってくれてたのかな、
気を使わせて悪いな、ちなみにお世話ドワーフもぞろぞろと、
わかる人に言えば『ボールパーソン』みたいにわらわらサッカーコートの周辺に整列した。
「ムムムーン、ただいまと言っております」
「うむ、我は国王である、貴殿らと友好的に会いに来た」
「……よく来たなドラールだ、こっちは妻のドラルマ、と言っておりムムン」
陛下がラスカルさんのムムムンに突っ込まないでくれていて助かる。
(ラスカルと助かるで韻を踏んでるけど気にしない!)
そんなことより会談だ。
「我が国が敵国によってピンチになった場合は助けてくれるか?」
「……崇拝するハルクの頼みなら何でも、と言っているでムームン」
「ではハルク殿にお願いすれば」「夫婦で世話になっているから当然だと言っていムン」
頷く陛下、
ちらっと僕を見て、
わかっているな? っていう感じか。
「ドラールよ、ありがたい、我に、我らに何か出来ることはあるか」
「……ではお言葉に甘えて、どうしてもお願いしたいことが、頼みたいことがムーン」
「何でも言って貰おうか」「最近、ハルク園長がおやつを渋ると、もっと欲しいと言っているムムン」
まさかの言いつけキター!
っておい陛下に何を言ってくれてるんだよう!!
「ハルク殿」
「いや健康のためです、食べ過ぎると良くないので」
「……前々から言っている通り、そんなにヤワじゃないと言っているムムン」
そりゃあ食う方はね、
でもアレって過剰に食うと毒なんですよ、
本にはウマウウマイ言うだろうけど、地味に身体を蝕む。
「そんなに齢を取ったドラゴンですか」
「古龍ですからね、ってラスカルさん、人間でいうと」
「40歳と28歳ですね、ドラルマはもうちょっと増やしても平気かも知れませんムムン」
喜ぶ奥さん、
女性はこういうの耐性強いんだっけ?
って女性というよりはメスか、あとドラールもう、おっさんの部類だ。
(糖尿病に気を付ける年齢だからね)
きりっとした表情で僕を見る陛下。
「ハルクよ」「はっ」
「ドラール殿のおやつを、増やしてやってくれ」
「わっかりました、これでもちゃんと計算してあげてるんですが」
まあ、古龍の耐性を加味しよう、
長生きして欲しいんだけどもなあ。
「では早速、おやつタイムに参りましょう、ムムン!」
フォーメーションを組んでいた、
お世話ドワーフによる『竜やみつきチュルチュルゼリー』の、
大量投入タイムを陛下一家にお見せして、ドラゴンと陛下の秘密会談は幕を閉じたのでした。




