第118話 特別個室は毎日魔石10個からのオプション付き
ようやく治癒教会に運ばれてきた王妃の妹アニスさん、
もうほぼ完治しているはずだが一応、検査と予後観察で、
メディカルセンター病棟の一番豪華な特別個室へ運ばれた。
(国王一家が付き添っています)
僕らも見学ついでで来た、
ちゃんと前世の病人服を着せられているな、
胸ポケットに『アイリス治癒教会』のロゴがしっかり入っている。
「主治医のヨネク=ラベラです、私、失敗しませんので」
「えっ手術するの?!」「園長、必要があれば、患者のためなら何でもします」
「ええっと、隣は麻酔係ですか」「よく御存じですね、ウチダ=ユベラです」「後でメロン手配しておきますね」
そんな前世のドクター×(ばってん)な元ネタは置いといて。
「それにしても綺麗な部屋ね」
「アニス、本当に良くなったのか」
「ええ陛下、嘘みたいに」「嬉しいわアニス」
お姉さんこと王妃もまだ涙ぐんでる。
「ハルクよ、これに対し、この治療に対し我はどのような対価を」
「とりあえず入院費用は辺境伯が持ちますが、ここ個室は特別料金なんですよね、ねえガーベラさん」
「1晩魔石10個ですね、1週間入院として70個です」「なんだそれで良いのか」「オプションもありますよ」
ガーベラさんの視線の先、
大型テレビの下にタッチする場所がある。
「あっ、テレビは有料ですか」
「はい、入構証をタッチすれば1日分が、園長」
「こう?」「はい、これで24時間見られます」「えっ僕、いま払わされた?!」
まあいいけど!
スイッチをつけるとニュースをやっている、
さっきの祭壇から緊急生中継だって、画面右上にワイプで出てる黒猫獣人は誰だお前。
「さっきの祭壇ね」
「はいアニスさん、治してくれたドラゴンはもう巣に戻っています」
「お礼を言いたいわ」「園長のコネなら」「ま、まあ、ウチの家の、上の住民ですから」
チャンネルを替えると、
あっ、もう国営放送の試験電波が出てる!
早いなあ、あとはエルフ専門チャンネルでは弓矢の競争が。
「これ、面白いわね」
「アニス、退屈しなさそうね」「ええ姉さま」
「あとオプションがまだ」「ガーベラ殿、まだ何か」「はいアマーティンさん、24時間専属ナースが」「頼む」
ということでやってきたのは……
「特別個室専用ナース、アサク=ラベラと申します」
「あっ何かBGMが流れてきそう!」「せんぱぁ~~い」
「陛下いやアマーティンさん、ナースのお仕事は彼女が完璧に」
ナース服の黒猫獣人、
前世の記憶だとドジっ子だった気が、
まあ主治医がしっかりしてるから大丈夫か。
「ウチの兵士もつけても良いか」
「構いませんが、危険は何も無いですよ」
「そうか」「どちらかというとメイドの方が、もちろん人間の」
あっこれワンチャン、
ウチの辺境伯領民の仕事おこぼれ貰えるか?
「わかった考えておこう」
「アマーティン様、ありがとうございます」
「うむ」「それでは早速、病院食が届いたようです」
もうそんな時間か、
確かに外は暗くなってるもんな、
あ、今日ラストの第4便がそろそろか。
「陛下すみません、また問題があると不味いので、第4便を迎えに」
「ほう、では我々は」「夕食はご一緒したいのですが」「わかった、部屋で待てば良いか?」
「そうですね、陛下の方の、専用レストランルームで」「ハルク殿、改めて妹を助けてくれて、ありがとうね」
ミランディア王妃が深々と辺境伯ごときに頭を下げてくれた!
「いえいえアイリスのために……アイリス?」
「陛下のいえアマーティンさんのお子様が飽きた様子だったので、一緒にキッズルームへ」
「ガーベラさん、じゃあフィーナさんも」「一緒ですね」「……正妻側室に黙って行かれた、しょぼん」
まあ良いや。
「ハルク殿、アイリスの事を愛しておるのだな」
「あっはいアマーティンさん、一応は」「ではフィーナは」
「人生をめちゃくちゃにされたいレベルで愛しています!!」
ってこの言い方よ。
「うむ、よーくわかった、婚姻の日を楽しみにしておるぞ」「ははっ」
そんな会話をしている間、
アニスさんはドワーフ専門チャンネルで、
真面目に『ドワーフ名工100選』とかいう番組を見ていた。
(あっ、僕もちょっと興味ある!)
こういうのが意外と面白いんだよな、
それより国営放送についても詰めなきゃ。




