第86話 私への土産からの陛下への土産
「それでは皆さん、このハルクパークの素直な感想を王都でお話下さい、
また次のツアー、派遣団、お客様を今か今かと心待ちにさせていただきます、
ではそれまでの間、更にここハルクパークを進化させる約束をしつつ、かんぱ~~い!!」
ハルクパークレジデンス8階の大宴会場、
園長こと領主のハルク殿が乾杯を告げると、
視察団の皆で酒やジュースを呑む、いや本当に豪華な料理だ。
(私のテーブルには、アイリスとフィーナも居る)
素晴らしい四日間だった、
現に明日、帰りたくないと言う者も居る、
一旦戻ってすぐこちらへ来たい、何なら移住したいという者も。
「ダンバムさん!」「おおハルク殿」
「みなさんにお土産を渡している所です、どうぞ」
「おお、この箱は」「開けてみて下さい」「これは……靴?!」
青と赤の靴だ。
「スニーカーです、青赤タイプ、ドワーフとエルフとハルクパークの共同製作です」
「足のサイズを計られたのは、このためか」「はい、もう一足、赤青タイプもどうぞ」
「クツベラです、スニーカーショップ店員です」「おお黒猫獣人殿、ありがとう、これは予備か」
いかにも履き心地が良さそうだ。
「それと最後に陛下へのプレゼントが」
「おお、それは喜んで頂けるものなのか」
「だと良いのですが、では他の皆さんにも渡してきますね」
こうして次のテーブルへ、
やはり渡すのはスニーカーか、
後で、宿で履いて試してみよう。
「叔父様、明日の別れが寂しいですわ」
「だが戻って報告せねばならない、また来る」
「ダンバム殿、結婚式には是非」「ああ、ハルク殿とアイリスの、必ず」「私もなのだが」
そうだった、
アイリスが正妻でフィーナが側室、
とはいえハルク殿の本命はフィーナだと聞く。
(13歳の結婚式か)
形だけとはいえ、
アイリスの花嫁姿が今から楽しみだ、
身内も出来るだけ連れて行きたいのだが……
(アイリスを事実上、追い出した一派をどうするか)
まあこのあたりは、
改めて王都に戻ってから考えよう、
おそらくもう生命を狙われる事は無いだろう。
「ちなみにアイリス、一度王都に戻ってみるつもりは」
「ハルク様が行かれるならですわ」「フィーナは」「姫と行動を供に」
「そうか、まあこれだけの場所だ、無理に離れる理由もそうそうあるまい」
正式な辺境伯就任式にしても、
陛下がこちらへ来てやる、まであるな。
などと話していたら全員にスニーカーが渡されたようだ、壇上に再びハルク殿が。
「えー、ではこれから国王陛下への贈り物を皆さんに披露します、
まずは軽く『ホーンソード』これは死んでいたフォレストホーンキャットの角を剣に加工したものです、
ドワーフのダンディ国王が自ら仕上げました、その鋭さはドラゴンをも貫きます、そして綺麗ですよー!」
見事な剣だ、
これはどちらかというと美術的価値が高い、
陛下もさぞかし喜ばれることであろう、国宝レベルだ。
「そして更に、国王陛下と言えばこれが必要でしょう、
ダークネスワイバーンの翼で造ったマントです、あ、ウチのドラモンのじゃないですよ、
敵対していたのを倒して、状態の良い屍からエルフの皆さんが加工した、呪いは抜いてあります!」
これまた漆黒の見事なマントだ、
艶々に光って見える、これだけで高価なのがわるうえ、
丈夫そうだ、これは実用性の方も、いやもちろん美術的価値も凄まじいだろう。
「あと最近商品化した『お姉ちゃんカレー』のレトルト詰め合わせも、
ということで国王陛下にくれぐれもよろしくお伝えください、本当に必要であれば、
私も王都へエンシェントドラゴンに乗って行きますので、はい、それではここからはショーを……」
何気にハルク殿が脅しとも取れる発言を、
考えすぎか、他にも奥の手を持っていそうな気がする、
エンシェントドラゴンよりも強力な……絶対に、敵に回すべきでは無い。
(これは陛下に、強く進言しておこう)
こうして黒猫獣人のポールダンスショーを見せていただき、
酒が良い感じでまわった所でお開きとなったのだが、ここで新たな黒猫獣人が。
「ベラドンナと申します、ダンバムさんの今夜の宿泊施設へご案内致します」
「ということは、この塔の外なのか」「そうなりますね、ご説明もさせていただきたいので」
「まだ凄い宿でもあるのか」「そうですね、行きましょう」「では叔父様、明日朝に」「見送らせて頂く」「ああアイリス、フィーナ」
ということで外へ、
とその前に酒の自販機を使わせて貰うか、
隣にはツマミ専用の自販機も、いやはや素晴らしい。
(さあ、最後の夜に眠るのは……どこだ?!)




