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ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
巨人号の事件

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96/105

巨人号の事件67

 救命艇のなかで崩子嬢は、白目をむいたまま震えている。


「崩子さんはどうしちゃったの?」

 翔之介の問いに


「ああ、おじょうさんは箱にとらわれちまったな」

 奇多郎は静かに答えた。


「どういうこと?崩子さんは『異一郎に愛されたもの』でしょう?その人が血を垂らしたのに」

 箱は、崩子にはどう見えたが分からないが実際にはピクリとも動いていない。

挿絵(By みてみん)

 奇多郎は

「……おらは、すこしだけ嘘をついた。異一郎に選ばれた者のみがこの箱を開けることができる、というのは本当だ。ただ、それ以外のものが挑戦してもまったく無害、というのはちょっと違う。そんな単純な仕掛けなら、わざわざ底意地が悪いうちの師匠に制作をたのむ必要がないものな。たしかに、この箱に血を垂らしてもほとんどのものにはなにも害はない。ただ、そうはいかないものが、世界でただ一人いる。それが『異一郎を殺したもの』だ。そいつがその箱に血を垂らせば『魂が箱に囚われる』ように、砂々衛門は細工をほどこした」


 ???

 どういうこと?おかしなことがいっぱいあるよ、それ?そもそも……


「異一郎翁は、殺されたと言うの?」


 そう、そうだよ。


「それにあなたが言っていることは、前もって異一郎翁が『自分がなにものかに殺される』と予測していたということなのよ」

 魔美子の重ねての問いに、


 職人は

「そうさ。まあ、順番だてて言わねえとわかんねぇよなぁ……」

 おかしくなった崩子嬢をほったらかしたまま、落ち着いた表情で説明を始めた。

「この箱の中にこそねぇが、異一郎がわかいときに魔神と契約して力を得たっていうのは本当だ」


 えっ?


「インドの奥地でらしいけどな。そのときやつが得た魔能は『未来視』。無論すべてではないが、未来に起こることを予知できるようになった。その能力によって、異一郎そして斑玉家は魔道界でなりあがったのさ」


 へえ、すごいなあ。未来のことがわかるなんて無敵じゃない?かけごとでもなんでも勝ち放題でしょ。


「万能の能力なんて無いさ。未来視には負の側面があった。異一郎は、自分がいずれ何者かによって殺される運命であることを知ってしまったんだ。しかも、その運命を変えることは絶対に出来なかったし、その死がいつ何者によってもたらされるかもわからなかったんだ」


 ……それはいやだな。


「わかいときはそれでもやりすごせたんだろう。斑玉家の勢力拡大に気をまぎらせてな。ただ歳を重ねるにつれ、自分が殺されることに恐怖と怒りを募らせた異一郎は、殺人者への復讐を誓うことで少しでも心の平安を得ようとしたんだ。自分が殺されるのはしかたない。ただしそのものに必ず報いを受けさせようとした」

 箱をゆらすと

「それがこの箱をつくった動機だ。自分を殺すものがこの箱に触れる光景を、じいさんは未来視したんだ」


 ?自分を殺すものが箱に触れるのが見えたから、その箱を作るって、ふしぎな理屈だな。作らなかったら未来が変わるってことでもないのか?未来が見えるって、そういうおかしなことが起こるってことか。

 まあ、とにかく箱の理屈はわかったとして、崩子さんがそれに囚われたということは……


「崩子が、大叔父である異一郎翁を殺したということね」


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