表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
巨人号の事件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/105

巨人号の事件72


Below the thunders of the upper deep,

上では雷鳴がはるか高くで轟く、

Far, far beneath in the abysmal sea,

とても、とても深い底 測り知れない海、

His ancient, dreamless, uninvaded sleep

古代から、夢も見ず、邪魔されず眠る

The Kraken sleepeth: faintest sunlights flee

クラーケンの眠り。かすかな陽の光も消え失せるは

About his shadowy sides; above him swell

およそ彼の影あたり。彼の上でふくらむ

Huge sponges of millennial growth and height;

巨大な海綿は 千年にわたって成長した体躯を持つ。

And far away into the sickly light,

そしてはるか彼方の病んだ光の中へ、

From many a wondrous grot and secret cell

多くの不思議な洞穴と秘密の巣穴から

Unnumbered and enormous polypi

数え切れぬ そして規格外のポツポツが

Winnow with giant arms the slumbering green.

ふるいにかけるのだ その巨肢で まどろむ海草うみくさを。



 船医・泥形は巨人号の船橋ブリッジから、クラーケンの触手で串刺しになってぼろぼろのハンターのすがたをじっと見つめていた。


 そして、顔に手をやると

「うっ……船長、いやアハバ……なんて愚かなんだ。半生をかけたあげく、ただ死に向かうなんて、そんな……そんなひどい一生があるだろうか?……ぅうっ、うっ………」

 と肩をふるわせ涙……いや、笑みをこぼす。


「……なんて、たのしいヤツなんだ!やっぱり楽しませてくれるな、イカれた狩人は!ハァッハッハハハッ!!」

 高らかに哄笑する。そして

「まったく、そう思わないかフナタマ?」

 となりに立つ振り袖おかっぱすがたの少女に問う。


 しかし巨人号の物霊トップは

「……あたしに、そういうのはわからない」

 考えの見えない表情で答える。


「まったく……つれないやつだな。きみも幾度も航海を重ねて、多少は人間の機微というものを理解したと思っていたが」


「そういうのは管轄外。あたしは自分の仕事で忙しい」


「余裕がないねぇ、まったく……」

 おおぎょうにため息をつく泥形の背後から


「……沈みかけの船に残されたってのに、えらくごきげんだな。船医さん」

挿絵(By みてみん)

 声がかかる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ