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帰還




「只今戻りました。」





--王都、魔法学園。




戻ったその足で、ルルシア校長先生へ報告とギルドネーロへ顔を出してアルさんに報告と素材の買い取りをお願いしました。



その際に、いない間のお庭のお世話をしていただいた事について感謝もお伝えしたのですが、…………校長先生は作物が気になっているご様子でしたので、御礼に紅芋やらパイナップル、薬草やアロエなどを少しお渡しさせていただいたらどうやらとても喜んでいただけたようです。

扉を閉め切る間際に小躍りしていたのを見てしまいました。

見たのはアリィだけでしたので、……心の内にしまっておくことにしたようです。


『ダン先生が知ったら……酷そうです。』


そして、ギルド長直々の依頼を果たした事と、キルトの町についての報告も受けていたようで、ランクは上がり、なんとBランクになりました。


この様にランクがBランクとなるのは異例の早さらしいのです。

受けた依頼は少なくとも、素材提供の量や、頼むことの出来る討伐依頼の内容の高さが評価されたのだそうです。



Bランクとなると世の中に普通に名前が知れてくるそうですね。Aランク以上になると一流です。名前は知らない人がいない程で、単独でも町の問題対象を片付けたり、超危険地帯の稀少素材を採取出来たりする方々なのだそうです。

Sランクはほんの数人しか存在しない、国の存続に関わる程の事態でもって対抗できる力の持ち主なのだそうです。




今回ランクを上げたのは、依頼内容がそれに適する危険な依頼だったからだと言われました。

町を救った行為についての評価も大きかったようです。







※※※※※




--王宮。




「……帰ってきたようですよ?」


「え?軍総司令様?」


軍総司令様直属の部下が去っていったと同時に、ルイーズはそう告げられた。



「今、魔法学園Sクラスが帰還したと報告が来ました。バルバドに詳しい内容を報告させてください。」


「畏まりました。」



それからルイーズは王宮の軍部長室を失礼し、魔法師団の庁舎へ向かう。


『帰ってきたのか。……アリミア無事で良かった。嬉。』








--魔法師団長室前。




コンコン。

「失礼します。」


「……。」



コンコン。

「失礼致します。」


「…………。」



コンコンコンコンコンコン。

「……。」


「……………………。」






「…………失礼する!!!」


バーーーンと勢い良く扉を開けて入室するルイーズ。





だが、……目当ての人物がいない。





「~~~~~~!!!!」

ワナワナワナワナ……。怒。




「くっそ~!!!!またいない!!!!一体いつもどうやって俺来る事を察知してるんだか!?」


バーーーン!!!


来た道を戻りズンズンズンズン目を光らせて歩き回るルイーズ。



いつも穏やかで柔らかく微笑むアリィパパ--はどこへやら……これだけ温和で心優しいとなの知れているシアード伯爵を激怒させられるのは、ロイパパ--オルビン侯爵くらいでしょう。



「【気配遮断】して来てもダメ、入り口に【気配探知】を設置してもダメ、他にも……手を尽くしても仕事を持ってくる時だけ上手く逃げられる……………………なぜだ?!?!対した用事じゃない時はちゃんといるくせに!!!!!」



「あぁぁぁぁ!!!!!」

ズンズンズンズン……。



と、しばらく……いや結構な時間を要して魔法師団長を捜す羽目になる魔法師団副長ルイーズ。




いつも穏やかなルイーズだが、毎日のように目を離すとすぐに消える魔法師団長バルバドを捜す、もはや日課に……。





「いい加減にしろー!!!!」



と鬱憤が溜まった心のままに叫んだのは仕方のないことでした。






ボト…………。



「……。」

ギロリン。怒。


「……。」

満面の作り笑顔。茶目っ気。






バルバドも木から落ちる……。



「捜す身にもなれ!!!」


と、ズルズルと引きずっていかれたのは……ええ、全てバルバドが悪いのです。




※※※※※



--魔法師団長室。



「しかし、いないはずの地域にカニの魔物……。」


「しかも5Mもの大きさだったそうです。」



座り心地の良さそうな椅子にロープで縛り付けられているバルバド……魔法を使えばすぐに抜け出せる事は両者共に解っていますが、ルイーズの気持ちが収まらなかったのです。

ですのでそれは解っているバルバドは毎回大人しく縛り上げられるのです。



「その前の羽蟻の魔物発生も恐らくそのカニの魔物が原因だとか?」


「ええ、その様です。」


「全く……。ギルドネーロに調査は続行させる。原因は予想通りと思いたくないところだな。」


「ええ、全くです。」





「しかし、息子達には驚かされる。どんどん力をつけるな…………ところで。日取り、どおする?」

ワクワク。


「帰ってきましたからね。……まあ、妻達が張り切って決めてしまうのではないでしょうか…………。」

しょぼーーん。




「「……。」」






「コホン。では、軍総司令様に報告へ行くとしよう。」


「はい、そうしましょう。忙しくなりそうですから。」


「ああ。公私共にな。」







---------------


ダン先生の臨時収入。アルさんより報酬を貰う。




「お前もちゃんと戦ったんだって?」

ニヤニヤ。


「……。」

むすーーー。



「誉めていたぞ、あの子達。ロイヤードくんと、アリミアちゃんたっけ?ふたりはお前の魔法発動にすぐ気づいたんだって?」


まだ続けるアルバーノさん。


「やるな~!頼れる先生!!!」



ダン先生はどういう顔をしていればいいかわからない……正直このように言われるのはこそばゆい。いつもゆるっと過ごしているダン先生ですからね。

真っ正面から褒められるのとか苦手な様です。



「俺は大したことしてねーよ!」


そしてそっぽ向きながらさらさら~っと言い続ける。


「いつもだいたい寝てるしな。ははは!」



「ふぅ~~~~~ん。」

ニタニタニタニタ。


目が弧を描きながら見続けられたダン先生--。


「何だよ?何か言いたそうな目だな?」


「いいや、そう言うことにしておこうか。」




「……で?俺を呼び出して何の用だ?」


「……ああ、ほらっ!」


ポーーイと投げられた小袋。


「それ、お前の分の報酬な!……Sクラスの者達の報酬--って……。」


「¥¥¥金¥¥¥!!!!」


「お前……。目が…………。くだらんことに使いそうだな?」


「くだらなくはないぞ!まず美味いビールだな!そして、美味い果実酒!それと、美味いウィスキーだな!」


「やっぱりくだらねーじゃんか!」


「そんな事無いぞ?……そーだ!お前が俺と飲んだら有意義な酒になるな!はっはっは!!!……行くぞ!!!」


「はぁ~~~?!?!?!」


「俺まだ仕事!!!」


キーンコーンカーンコーン……。


「「……。」」


「終わったな!」

ニヤリ。



「さあ、行こー!朝までー!!!」



「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ズルズルズルズル……。








「…………真面目な話もしてやるぞ!」



「…………わかった。大人しく行こう。」





※※※※※


ダン先生とアルさんは酒場に来た。

ふたりで飲むときはいつもココへ来るのです。


そこは、限られた者だけの知る居酒屋--オウカクミーノ。


王都中央にあるちょっと?いや、だいぶ?入り組んだ路地の先にあるこの酒場。


「じゃあ、ベロベロになる前にな……!」


「ああ、仕方ねーな。何から聞く?」


「んあ?そりゃああの子達の使える魔法の事からでしょう!」


「えー?!最初からじゃないか!長くなるー!酒が楽しめないー!」


「いや、ちょっとは我慢しろよ?」


「仕方ねぇな。まずは----……。」






……そして最後はやはりアルさんがダン先生を送っていった----訳ではなく、ベロベロに酔ったアルさんをダン先生が引きずって帰ったそうです。



--ええ、ダン先生がお酒に酔うわけがないのです。




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