便利な使い道
バンガローの依頼を受けるために今日もこれから移動しようかと朝食後の片付けをしております。
‘’ピッ!
【浮遊】
食器がフワ~!と飛び上がる。
‘’ピッ!
【水流】
プシャー!と勢いの良い水圧で食器の次々と綺麗になっていく。
‘’ピッ!‘’ピッ!
【熱】【風】
熱風がおきで食器を乾かす。
「今ロイがしているように同時起動は出来るようになりたいですが、アリィがしている【浮遊】は便利ですわよね。」
後片付けも全員魔法が得意だと楽々です。
「ロイもアリィも【浮遊】を普段どの様に使っているのですか?」
「え?お料理する時にですよ?」
「ん?物取る時に便利だぞ?」
皆「「「……。」」」
何でしょうか?凄い冷めた目が向けられている気がしますが。
「何か……もっとあるよね?」
「……あるはず。」
「ん~私はふたりの感覚も解るけどぉ~。」
「でも、もっと何かに使えるとも思うだろ?」
「まあ、それはそうねぇ~。」
アリィとロイは不思議そうにしていますが、ふたりが「便利だな。」くらいに思っている【浮遊】の魔法を皆は何かに応用出来ないかと、そう言っているようです。
「でもさ、物を浮かせられるのなら自分を、って出来ないの?」
「“自分を”って、……自分が浮くって事か?」
「そうそう!」
「え~と、それはですね~。」
カミーユに言われた事は、ロイもアリィも思いついたことがあります。
それは、……空を飛べたらって……夢がありますからねぇ~。
「ダメだったんです。」
「ああ、ふたりでやってみたことはあるんだが数センチ浮いて----数秒でまた地面を踏んでいた。ははは。」
「おそらく魔力量が足りないのだと思います。ふふ。」
皆「「「……ふたりの魔力で足りないって……。」」」
人が飛ぶということはどれほどの魔力が必要なのか……計り知れませんね。
「ダン先生~飛べる人っていないのー?!」
「んあ?いや、いるぞ?確か大昔にひとりふたりいたはずだ。今は魔法師団にいないな。そうだろ?ロイ?」
「ああ、確かに魔法師団のトップにいる御父様も飛べないからな。」
『ロイの御父様も空は飛べないのですね。うむむ。』
「軍総司令様は確か主力は無詠唱魔法じゃなかったよな?」
「そうですね。父は魔法師団にいましたが、詠唱魔法が主ですね。」
「ん?今は違うのか?」
「……ええ、実は……。」
少し困った顔のルーイ様が言うには、実は簡単な無詠唱魔法は予てより少しは使えていたらしいのですが、水や炎、風属性の魔法はポンと発動するだけで、効果時間が短すぎて威力が弱く、攻撃に向かなかった為、……他人には見せて無かったのだそうです。
「……ただ、最近は私に対抗心を燃やしてきたらしくて……。私の魔力量が増えていることも御父様は気づいていまして……鍛錬のお陰であるとお話したのです……。すみません。」
「いや、それはワイマール……魔法師団長となら話しても問題ない内容だからな!……………………けど、……良いこと聞いたな。」
ニヤニヤニヤニヤ。
「アイツ……毎日鍛錬しているんだろう?」
ニヤニヤニヤニヤ。
「……。」
『これは……ダン先生に話してはいけなかった気がしますね。』
今更ながら口を滑ったと思うルーイ様なのです。
ニヤニヤしているダン先生はもう放っておきましょう。
転がって、ニヤニヤ……何かを思い浮かべて、ニヤニヤ……非常に悪い顔です。
皆さん見なかったことにするようです。
「…………人が浮くには魔力量が足りない……のですわよね?」
「そうですね。」
「ああ。」
ピアが何かを考えながら話始めました。意識は半分思考を巡らしているようで、ボソボソと独り言をつぶやいています。
「……足りない?…………いやむしろ。……上手くいけば、……うふふ。」
ボソボソ。
ふふふふふ。
皆「「「……。」」」
「でわ。……………………上乗せしてみますか?」
むふふふふふふ……。
「上乗せ?!?!」
「ピアー!それ良いね!」
「やってみる価値ありそうねぇ~。」
『ピア、怪し可愛い笑いですね。入学当時ならまだしも、今、上乗せの話だけではこんなに楽しそうに笑わないのではないのでしょうか?ですが--……。』
「面白いですね。……やってみましょうか。」
「そうだな。」
皆さん賛成ですね。丁度片付けも終わりましたし、先も急ぎませんから良いですよね。
ポン!!
「ん?何だ、ルーイ?」
ロイの肩に楽しそうな微笑みで手をおいたルーイ様。
「いやいや、アリィにお試しさせるわけにはいかないだろう?」
「そうだぞ!奥さん万が一の事があったらどうするんだ?」
ニヤリ。
「……男らしくいこう!」
「………………ワナワナワナワナ……お前等?~~~~はぁ。……当たり前だ、俺がやる。」
男3人「「「おおー!さすが!!」」」
ニヤニヤニヤニヤ。
『最初からアリィにとは、思っていなかったがここまで言われるとは……。さっさとやってしまおう!…………ムス。』
ちょっとムスっとなってるロイはご愛嬌。皆さん面白がっていますからね。
「やるぞ。」
皆「「「おおー!!!」」」
ロイを中心に囲みます。
「あまり高く飛びすぎますと、魔力を上乗せ出来なくなりますわね。」
「届きませんからね~。」
「ロイ、数センチだけ頼むぞ。」
「ああ、わかった。」
‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!
【魔力をロイへ……。】
皆で同時にロイへ魔力を集めます。
ロイも同時に--。
‘’ピッ!
【浮遊】
フワ~~~!
ロイが浮き上がります。
皆「「「おおー!!」」」
「浮いている!」
「う・い・て・る・ぅ~!」
「すご~~~~い!」
『あ!マリー乙女モードですね。』
「これは!ロマンだねぇー!」
「ふふふ。飛んでいますね。」
「……おもしろい。」
「面白いですわ!……これならば!!!むふふふふ。」
『あら?やはりピア……何かありそうです?……………………と、その前に』
「ロイ、どんな感じですか?」
「ああ、アリィ。--これは素晴らしいな。」
ニカッ!
身体が持ち上がる……いやまるで空気の流れと同化したかのような感覚……今まで感じたことのない感覚…………。
「……っと!」
皆の魔力を集めても数分しかもちませんでした。
しかし、すばらしい魔法でしたね。
「これは!いつか皆で空を飛びたいですね!!!」
アリィの歓喜の叫びに全員が、共感していました。
キラキラキラキラ!!!!!!
「……………………むー???むーむー……………………??!」
「やはり、やりましょう!」
皆「「「何を???」」」
やはりピアが何か言い出しましたね。……ふふふ、ピアの目が爛々と輝いています。
さて、何を言い出すのでしょうか?ふふふ。
「むふふふふふへ。……あら、失礼。……こほん。…………【浮遊】の魔法道具を作ってみませんか?!?!」
「魔法道具?」
「それって……。」
「ドリーム!!!」
「……カミーユ、“ドリーム”って……。」
「ふははははは。でも、ソレ良いな!」
ピアの考えていた事は、魔法道具だったようです。
『ですので、最初から楽しそうでしたのね。ふふ。それはそれは--。』
「ふふふふふふふ。……それは……楽しそうですね!」
キャッキャッとピアとアリィのテンションは沸点に達します!
魔法道具……それでしたら物に上手く【思い】を込めることさえ出来れば……。
「素晴らしいですね!」
ワクワク。ワクワク。
皆さんお顔が……ルーイ様まで目が輝いていますよ。
「何にやってみます?」
「絨毯?」
「胸当て?」
「……胸当ては……宙釣り状態じゃない?」
「いや、移動用なのか?それとも戦闘用なのか?」
「そうねぇ~、大人数用なのぉ?ひとりずつ用なのぉ?」
何が良いのか?悩ましい所です。
「胸当てじゃなくてもネックレスとかで十分なのではないか?」
「いいえ、その様に身に着けるものですと、魔法が高度になりますわ。」
「どう言うこと?」
ピアが言うには、乗る道具を魔法道具にするのであれば“浮く”という【思い】。人が身に着けて“身体全体を浮き上がらせる”という【思い】は似ているようで、“物”と“人”は魔法の難度が格段の差があるのだといいます。
「ですので、魔法道具も人の身体に直接作用するような道具ほど作るのは難しいとされているのです。」
なる程、納得でしたね。さすが創作系に強いピアです。
「……じゃあ、乗れる物にやってみる?」
「やっぱり絨毯?」
「それだとぺらっとして、ゆらっと揺れそう。」
『……ぽよんぽよん、と絨毯がひらひらするたびになりそうです。』
皆がそれぞれ思案していると……。
「いや、もうあるだろ?」
皆が「何ですと?!?!」と、いうお顔をされています。
『何でしょう?そんなもの何かありましたでしょうか?』
ロイ以外は皆、疑問符の発生が止まりません。
解らないまま全員でロイを見続けていると、答えが返ってきました。
「……キャビンにかけてしまえばいいだろ?」
皆「「「…………あ!」」」




