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出発






「はっはっはっはっは!」


「むふふふふ。」


「ふぅ~~ん。」


「はは!」


「へぇ~!」


「……婚約。」


ははははは。

ふふふふふ。


皆さん朝から大笑いです。


先程まで誰も笑っていませんでしたのに……。





本日からSクラスは旅に出ます。ですので教室へは寄らず、校門から程近い憩いの場に居ります。

普段は生徒達が座ってお話したり、待ち合わせ場所に使うような場所ですね。




ははははは。

ふふふふふ。


ルーイ様が校内の集合場所に着いたに途端に皆さんとこそこそ話を始めたと思ったら、……この状態ですよ~。


ルーイ様のお家は王族の方々と近しいですからね。封書が届く前に、お耳に入ったのでしょう。



「……しまった!ルーイに口止めしておけばよかった。」


「うんー?何故だロイ?喜ばしい事ではないか!ははは!」


「……こうなると思ったからだよ!」


ムスーっとするロイに対してさらにルーイ様や皆さんは楽しそうです。


「良いではないですか。おめでたい事です。ふふふ。」


「ロイ~良かったわねぇ~。」


「婚約かぁ~!」


「……おめでとう。」


「念願叶って、だな!!!」


「はっきり言うなマリー!」


ロイは完全に皆さんの標的になっておりますね。


「……それで?何と言ったんだ?」


ギクッ!!!



ここで一番聞かれたくなかったであろう質問をルーイ様がロイへ投げかけます。


もう、目を合わせないようにひたすらロイは目をあちらこちらと忙しく空を見続けています。



「俺も参考に聞きたい!」


「……僕も聞きたい。」



学園の壁際に追い詰められていくロイ。じりじり……じりじり。



「白状しなさい、ロイ!」

ニヤリ。


「潔く言った方がぁ、身のためよぉ~。うふふ。」


「何で言わなきゃいけないんだよ!!!」


意地でも言わないぞ!とそっぽ向いて逃げています。





『先程からロイは忙しそうですね~。見ているだけで飽きません。ふふふ。』




「ロイ!そんな事しても無駄ですわ!…………ねぇ、アリィ。何てプロポーズされたのです?」



ハッ!

『待て!アリ……。』

「はい。「俺と結婚してくれるか?」と言っていただきました。」

にっこり。



急いで伸ばしたロイの手の思いはアリィに届く----はずもなく、さら~っと喋ってしまったアリィ。



「アリィ~~~。涙。」


「?何か悲しかったのですか?」


「いや…………大丈夫だ。……。」


「はははは!」

「ふふふ。」


皆さんは変わらず楽しそうです。





「「俺と結婚してくれるか?」……だってー!やるぅー!ロイ。格好いい!--いやぁ、俺ならそんなに自信がある言い方は出来ないな~!俺について来い?みたいな。なぁ?」

ニヤリ。


「ええ。ダン先生の仰る通りですよ。私はそんなに男らしく言い放ったロイはとても格好いいと思うぞ!」

ニヤニヤ。



「あぁーー!!!もぉー!!!!ダン先生もどっから聞いてたんだー!?!?」


「え?最初からだけど?」


『じゃあ、さっさと出てこいよ~!そしたらここまでにならなかったのにー!!!』


「てかさ~、何でこんなに急にプロポーズ?つい合い始めて間もないじゃん?」


「ええ。それは御母様達が----……。」

「アリィ!!もう止めてくれ~!!!」


「???コレもダメなやつですか?」


「そうしてくれると有り難い……………………。困。」


「ちぇー。」


「なんですの?ロイはケチですわ!」


「全部言ってしまった方が楽になるわよぉ~!うふふ。」


「そうだぞ!」


「……大方、ご両親にお付き合いがバレて急かされたのでしょう。」


「おおー!ノノアさすがです。もう結婚式まで話が進みそうでした~。」


「アリィ!!!」


「あ!。すみません。へへ。」


「そう、微笑まれるとなぁ。----まあ、いいさ。苦笑。」


「結婚式ですか。それは、楽しみですね。ふふふ。」


チラリとロイを見るルーイ様。

ふふふふふふふ。

「その時は盛大に祝おうではないか!!!」


「…………。」


ロイだけが疲れきっております。アリィは特に何も動じていませんので皆側ですね。

とは言えここまでからかえるのも仲が良いからこそですよね。


かなり笑われて、かなりいじられて、…………そして----祝福される。




皆「「「ふたりとも、おめでとう!!!!」」」





ロイ、アリィ「「ありがとう!!!」」




※※※※※


「んじゃあ、行くか!」



校長先生が用意してくれたキャビンにまたまたもはや慣れた手つきで……とでも言いましょうか。


‘’ピッ!

‘’ピッ!

‘’ピッ!




「完成です~!」


15人乗り仕様。

テーブルあり。

ハンドルあり。


外装掛け。

……花瓶。

…………ハンモック。



「前よりも設備がパワーアップしてるなぁ~!!!」


「今回は半分くらいダン先生に関係無い要件で来てもらいますからね。」


「ダン先生いつでも寝れますわよ!の、設備です。」



キラーーーン!!!


「うおぉぉぉぉ!!!」

ダダダダダ……!!!



ポフン!!


ハンモックに飛び込んだダン先生。


……なんとジャストフィット!!!


「おほっ!何て俺の理想的な安心感!この包まれる感がたまらん~!!」


「……。」


「ダン先生とろけてる。」


「ちょっとキモ……。」

「し!それは言ってはダメだ!」


「「……。」」



「どうした、お前達!行くぞ!!」


ごろーん。




※※※※※



カタカタカタカタ…………。



「先ずはキタトの町ですわね。」


「半日程でしょうか?」


「アリィとロイで飴とクッキー作ってくれたんだよね?ありがとうー!」


「なんでもないですよ!カミーユも、持ち運び出来るテーブルとか竃とかありがとうございます。」


カミーユが作ってくれた竈は取っ手が付いていて中に木を焼べられる素晴らしい物でした。


「私も多めに薬草持ってきたからぁ~必要だったら言ってねぇ~!」


「……本読みたくなったら言ってね。」


「可愛くしたい日があったら言ってね~!」


「「「……そんな場面はないのでわ???」」」


「私はこんな物くらいしか……。」


「クッションですね。今回は長旅ですから、助かります!」


「私も似たような物です。」


「わあ!柔らかいブランケットですね~!!」


「もう、少し寒い時期になってきましたからね。朝夕は特に冷えるでしょうから。」



カタカタカタカタ……。


もはやこのキャビンは、動くただの部屋です。


ただただくつろげる快適空間と仕上がっております。



「おお~!このハンモック最高だぁ~!まさかの、心地良い揺れ加減で移動できる旅!ふはははははは。」



「「「……緩んでる。」」」



「たま~に落ちるようなハンモックにしておけば良かったな。」

コソコソ。


「だよね。失敗したなー。」

コソコソ。


「お~い!ソコ!ダン先生の耳は地獄耳~だぞ!」


ビクビク!!!


ダン先生凄い特殊能力です。しかもニヤリと意地悪そうな顔を浮かべていますよ?


「あ~!!ここに~!昨日婚約したばかりの夫婦がぁ~……。」

「なー!!!あー!!!やーめーろー!!!!」


焦ったロイが凄い早さでダン先生の口を塞ぎに動きました。


「「★○△■!!!」」


しばらくおふたりで楽しく取っ組み合いをしていたので、皆は面白いので見物していました。




「アリィは止めないの?」


「……ふえ?何でですか?」


「アリィはふたりの事でロイがからかわれてるとか、気にしないのね?」


「……え?だって事実じゃないですか?」

キョトーーン。



『『まあ、事実ではあるのですが……。』』


「「……アリィがわからん!」」


皆さんはアリィが恥ずかしがるツボがいまいち理解出来ないようです。

まあ、決定した事実に対しては本当の事ですから、……どうしました?という感じのようですね。







「ふぁ~。ところでな……お前達、俺からひとつ課題だ。と言うか質問だ。」


少し真面目な声のトーンになったダン先生。



「魔法の防御は、どうするつもりだ?」



皆「「「へ?!」」」



カタカタカタカタ……。





キタトに向けてキャビンは結構な速度で走り行く。




※※※※※


思えば武器を手に入れてからの毎日は……。


「最近皆さんがどうやら慣れと言うものが出て来たようなのでね~。ふふふふふ。……………………作ったのよ~。……………………特製ドリンク☆」


ボト、ボトボトボト……。

騎士学園2年生Aクラスと、Sクラス全員が持っている武器を落としました。


「レ……レミアさん??」


「それでね~。2年生には攻撃を受けた分だけ飲んでもらいましょ~か~。ふふふふふ。」


皆「「「……。」」」



それから全員顔を真っ青にしながらひたすら武器を使えるように必死に鍛錬しました。


そのかいあって実力は皆、騎士学園の皆さんも含めてぐんぐん上がっていきましたね!



※※※※※



「確かに武器ばかりでした!」


「何も魔法で行うことを考慮していませんでしたね。」


「いえ、あの鍛錬も大切だったはずです。」


「そうだぞ!そもそもあのデカハリネズミの針みたいなのだと物理攻撃だから、武器でも防げるぞ。」


「そうですね。ただ、私達は魔法が一番ですからね。」


「その通りだな。魔法での防御も考えないとだったな。」


「それは----。」

ブォンブォンブォンブォンブォン……。




「何でしょう?」


何か耳障りな音が聞こえてきますね。


「……羽音?」


皆さんそれぞれが辺りを見渡す……。


ブォンブォンブォンブォン!!


「何も居ないように見えるのですが……音が……近づいています。」


空気が揺れているような……。


ブォンブォンブォンブォンブォン!!!


「……!!!!ルーイ……様!!!」





---------------


アイツの涙。



週明けの夕刻--。


ダリアの刻印と百合の刻印が並んだ封書が、マデラ伯爵家に届けられた。


「……アリミアが婚約……アイツと…………わぁーーーん!!!大涙。」




次の日--。


「師匠~!!!!!」


いつも通り学園への道で目当ての人物を待ち構える!


『師匠~!!!!!』



『……あれ?……もしかして、今日は早く登校されたのだろうか?ならばお帰りの際に!』




下校時間--。


『師匠~!!!!!』


校門付近で身を隠して見張る。


『……あれ?……もしかして、今日はもう帰られてしまったのか?よし、明日こそ!』




次の日--。


『師匠~!!!!!』


『……。』


封書が届いた日にはもうSクラスが旅立っている事を知るはずのないマデラ。

Sクラスは課外授業だと他の生徒と共に知るのはもう少し先なのである



『師匠~!!!!!』








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