プレゼント
Sクラスの教室----タキシードで待つ6人。
ロイ、ルーイ様、ノノア、カミーユ、ギールくん、ダン先生です。
「お前達、パートナーが支度を終えるまで教室から出るなよ~!」
通常、エスコートする男性が女性をお迎えに行くのですが……今回は違います。
ここは学園ですので元々更衣室なんてございません。
そして、女性はひとりではドレスを着れませんので本日はかなりの広さがある図書室が女性専用お支度ルームとなっております。
ですので、念のため男性陣は教室待機なのです。
本棚に綺麗な布が引かれ、なかなか良い感じの個室が何個も出来ております。
クラス事等で、ある程度一緒にスペースを共有させていただき、お支度しているのです。
「うふふ、ガーデンパーティの時のドレス。また着れて嬉しいわぁ~。」
「やっぱりそのドレスはミーサに似合うわねぇ~!」
「マリーありがとぉ~。」
「ピアは今日少し大人っぽいドレスなのね。」
「に……似合いませんか?」
「いいえ!とてもお似合いです。すっきりとしたドレスがまたピアの清純さが際立たせています。」
にっこり。
「あ……ありがとうございます。///。あなた方はコサージュが同じデザインですのね。」
「うん!マリー先生に教わって作ったの~!」
「え?自作なのですか?!?!凄い!!!」
「ええ!デザインとドレスの色は違いますけどもね。ふふふ。ソアラちゃんは妖精さんのようです~!」
「えぇ~、可愛らしいわぁ~。」
「こ、これ。カミーユくんが用意してくれて……///。」
「「ほーーーお。」」
ニヤリ。
『『カミーユも気合いがはいっていますわね。』』
ちなみにミーシャは王道キュートなふんわり系、マリーはシンメトリーの裾がゆらんとするデザイン、アリィはシルエットはシャープで装飾されたシルクが長く揺れるデザインのです。
ミーサは大人な色香が魅力的なドレス。ソアラちゃんは妖精さん。ピアは清楚な装いですね。
「ふふ。恥ずかしいな~。」
「そうですね。」
「そうですか~?!」
「気分が盛り上がるわねぇ~。」
「そうよね~。」
「楽しみですわね。」
「「「「「「お待たせしました。」」」」」」
Sクラスの教室で御対面の皆さん。
いやあ。もう、何というか……有る意味息が合ってますよ。
さすが皆さんです。
お互いのパートナーと見つめ合う事数秒間……。
「ソアラちゃん!やっぱり君は素敵だー!」
と物凄い勢いでエスコートして消えてゆくカミーユ。
「……どうかな?」
「ええ、とてもお可愛らしいです。」
「ギールくんも私の仕立てたタキシードよく似合うわ。」
「あなたの見立てがいいのです。」
ふたりの世界でさら~っと歩み出すマリー達。
「……可愛い。」
「ありがとう!ノノア!」
待ちきれない様子でミーシャを連れ去って行くノノア。
「よ!よろしく~!」
「はぁ~い!」
「「「「!?!?えーーー!!!」」」」
「だって楽だろ?」
「言い寄ってくる男はめんどうなのよぉ~。」
バーイー!と陽気に消えていくミーサ&ダン先生。
「まさかの組み合わせでしたわね。」
「そうですね。」
「アリィ。」
「はい。」
「手を……。」
にっこり。
差し出されたロイの掌に自分の手を重ねて歩き出--……………………え?!?!
「アリィ。これを。」
左手に何かをはめられている感覚がありました。
----薬指です。
「ロイ?!?!」
「貰ってくれないか?俺、一生懸命選んだんだ。」
「…………。」
あまりに急な事でアリィは声が出ません。
「アリィ、俺の恋人になって欲しい!」
ロイの顔は真剣そのものでした。
『まさか----です。……………………驚きました。驚きましたが、答えは決まっています。』
『しかし、普段は凛々しいのに今はこんなにどぎまぎしたお顔をされて……本当に可愛い人です。ふふふ。』
「はい、ロイの恋人にしてください。」
にっこり。
「アリィ!」
にっこりと見つめ合って----…………。
アリィが一度、重ね合うお互いの手に目線を落とす…………そして、柔らかくロイに微笑む……と…………。
見上げたアリィは、ロイのお顔のすぐ下です。
「ロイ……………………。」
『アリィ……………………。』
「ロイ!何て素敵な指輪でしょう。ふふふ。ロイありがとうございます。」
「………………。もう少し我慢しておくか。哀。」ポソ。
少し残念そうなお顔を見せたロイですが、これから機会なんていくらでもあるかと思いひとまず意識が指輪に戻ります。
「実はな、もう一つあって----ペアなんだ。」
にっこり。
そう言うと自分の左手薬指に同じデザインの指輪をはめます。
「わぁ!お揃いですね!」
「コレでアリィを守るよ。」
「……コレは!また貴重な物をありがとうございます。」
ふたりでにこやかに微笑み合う。
「では、行きますか。」
「ええ。今日もよろしくお願いしますね。ふふふ。今日の衣装もペアです!」
「ああ。とても似合っている。」
『マリー!!!ありがとうー!』
そんなふたりも会場へ向かって行った。
「…………私達もおりましたのに。」
「もはや、私達の存在は眼中にないのですね。はは。」
そんなふたりをルーイ様は暖かく見ております。幼少期からロイの気持ちを知っていた方ですからね。
『でも、アリィは鈍いから先に進むのはまだ先になりそうですね。はは。』
「あ……あの、ルーイ様。」
「何ですか?ピア。」
「あの、私も勝手ながら御用意させていただいたのですが、……受け取っていただけないでしょうか?」
そう言って差し出された小箱を受け取って開けてみると、…………中にはピアスが入っていた。
「あの。すみません!///。」
ピアは耳まで真っ赤にして下を向いてしまいます。
「これは…………!」
「とても素敵です。しかも、リンク石ですか?」
「……ええ。その通りですわ。///。」
「私がお店へ御願いしに行ったらその前日にも同じ石で装飾品に仕立てをお願いした人がいたらしく、その人と同じ様に指輪をお勧めされたのですが……こちらにしました。///。」
ピアは恥ずかしくなってまだ下を向いています。
「指輪……ロイが渡していたのがおそらくそうなのでしょうね。石の輝きが似ていましたし、石自体が貴重なものですからね。」
--リンク石--
魔力の高い希少な宝石で、ふたりがひとつの石を半分に分けて使用する。輝き方が独特で、付けた際の本人の魔力を読み取った時や使用したときに石の周りにシャボン玉のように綺麗な光のベールを放つ。
そして、その名の通りお互いの魔法を数秒間繋げられる石なのです。
通常はペアの魔法道具として持ち歩きやすいようにするだけなのですが、ロイもピアも装飾品として仕上げていたのです。
「ピア、似合いますか?」
「え!?」
急いで顔を上げて見ると、ルーイ様がもうピアスを耳につけていました。
「///……とても、よくお似合いですわ。」
にっこり。
「ところで、この石は2つでひとつでしょう?」
にっこり。
「ピアのは今ありますか?!」
「///。……はい。こちらに。」
ピアの手の中にもうひとつ小箱が……箱から中身を取り出すと、ピアの耳にルーイ様の手が触れます。
「失礼しますね。」
「え?!」
「貴女もお似合いですよ。ふふふ。」
「それは、嬉しいですわ。ふふふ。」
仲良く片耳ずつつけて、会場へむかうのでした。
「ところで、私の事はルーイと呼んでくださいね!」
「はい。…………ええー!!!」
「敬語も無しです。」
「…………………………ふたりの時でなら……。」
「ふふ……最初はそれで我慢しておきます。」
はは!と、とても珍しい少年のようにちょっと意地悪そうに笑うルーイ様でした。
『ふぁ~。見た事のないお顔…………。そんな顔……ズルいですわ。///。』
「では行こうか、ピア。」
「はいルーイ様、よろしくお願いします。」
ジーーーッと見てくるルーイ様。
「あ!」
「……ルーイ?行きましょう?///。」
「ふふふ。ええ。」
顔を赤く染めながら、ルーイ様に確認するかのように言い直したピアはいつものちょっと強気でお転婆さんの印象とはまるで違います。
そんな貴重なピアを見ることができてとても満足そうなルーイ様でした。
--パーティー会場へ向かう6組の影。
向かっている講堂や校庭は沢山のまばゆい光と華やかな音楽で満たされています。
一歩踏み入れると、本日のパーティーはダンスフロアも立食も大賑わいです。
学園生達は今の時間食べるパーティーになっている方も多いですね。お皿に沢山の種類を乗せて壁際に配置されている休憩スペースでゆっくり味わっている方もおります。
ダンスフロアは最初しばらくは踊りやすい曲調にするらしいので、普段ダンスをする事のない方々が思い思いに楽しんで揺れています。
「このようなパーティーも良いですね。」
「ああ、そうだな。」
生徒、先生方、視察団の方々全ての方がドレスやタキシードにお召し替えしますのでとても華やかになるでしょう。
そして、今日は一般家庭の方もおりますのでドレスコードは厳しくないです。ドレスならいいのですよ!
重たいのを着なくていいのです!
なんて素晴らしい!!!
コルセットで縛り上げ、装飾の多いドレスは苦行でしかないのです!
来賓席には視察団の方々もおいでになりましたね。
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ルーイ様の作戦。
「やりました!ついに呼び捨てへの第一歩ですね。」ふふふ。
ピアが慣れてきて普段から呼んでくれるようになったらきっと他の皆さんも呼びやすくなるはずですね。
焦らず一歩ずついきましょう。




