塵積もの努力
「ふへぇ~。騎士学園には2日しか行ってなかったけどなんだか久しぶりな感じがしますねぇ~!」
ツヤツヤ。
「ああ、そうだな。」
ツヤツヤ。
それはそのはずです。昨日一昨日とほぼほぼ1日中接近戦の鍛錬をし続けていたのですから。
普段の生活に比べてさぞかし濃密な2日間だったことでしょう。
皆「「「おはよー!」」」
ツヤツヤ。
今日は3人合流の日ですね。朝からミーシャと、ギールくん、ソアラちゃんと校庭におります。
「……なんか、そう言えばみなさんやたらとツヤツヤしてませんか?」
皆「「「え?…………。」」」
ツヤツヤ。
皆『『『は!!……あのドリンクか!?!?!』』』
変わった事なんてアレしか思い当たる物が有りませんからね!
「そ……そうですかぁ~?」
ははは~。
騎士学園の事は3人には言わないので濁しちゃいます!
おほほほほ。
先週上手くいかなかった事で、3人には今日それぞれSクラスがついて一緒に鍛錬する事にしました。
と、言ってももうSクラスは魔力を感知して見つけるよりも、魔力の流れ自体を捉えていますので間近で見て学ぶ形にはなりますが、それでも何か掴めたらと、3人は考えたようです。
ですが----。
「……ミーシャ。いつの間に?」
「うん。先週さ、あの後ノノアがアドバイスくれたでしょ?それから毎日家で練習してたらね、僅かにだけど生き物達の魔力が解るようになってきたの!」
ミーシャの魔力の捉え方はまだまだ安定しているとは言えませんが確かに上達していました。
「……凄い。頑張ったね。」
「うん!頑張ったよ!ノノアのおかげ!」
にっこり。
「……良かった。」
微笑。
いや~。ミーシャ凄いです!
今すぐミーシャにおめでとうのギューを交わしたい所ですが……ノノア甘い空気を醸し出しているのでそのまま任せておきましょう。
そして、なかなかコツがつかめないおふたりは焦っているようです。
「ん~~~……。」
「ぬぅ~。」
カミーユとマリーがついていますが、…………力が入りすぎの様ですね。
そんな4人を優しげな目を向けて、昔を懐かしんでいるふたり。
「ねぇ、ロイ。昔の私達みたいではありませんか?」
「ああ。やる気で力入りすぎている感じかな。」
「ふふふ。私ちょっと行ってきますね。」
「ああ。よろしく頼む。」
アリィの後ろ姿を更に優しい眼差しを向けて見送るロイ。
「昔の事をアリィと何気なく話せるようになって……はは。嬉しいな。」
たったった!とアリィは4人のところへ駆け寄り、不思議な事を言い出すのです。
「あの~~~~。」
にっこり。
「少し寝そべっちゃいましょう!」
「「「「…………は?」」」」
「ですから、皆さん集中仕様とするあまり、力が入りすぎです。」
‘’ピッ!
大きな暑い布を取り出して芝の上にひくと、アリィがど真ん中に寝そべります。
「皆さんも少し私にお付き合い願えますか?」
4人は怪訝なお顔をしながらも、同じように寝そべります。
「は~い皆さん。それでは目を閉じてくださいませね。」
5人は並んで目を閉じています。
「深く……深呼吸をしてくださいね。吸ってー……、吐いてー……、聞こえる音に耳を傾けてー……。」
……風が流れる。
……小鳥が鳴いている。
……日が柔らかくて暖かい。
「これって!」
「なるほど!」
カミーユとマリーはアリィの意図が解ったようですね。
「ふふ。鳥さんが仲良くさえずっています。----ああ。お花の香りもしますね。」
にっこり。
「あの--。」
「これって--。」
「おふたり共、風が顔を撫でますね。ふふふ。----魔力動いているのは感じられますか?」
「「----!」」
「あれ?何かある。」
「私もよ。」
アリィに言われたとおりやってみると、おふたりも気づいたようですね。
「ふふ。--そのままゆっくり目を開けてみてくださいな。」
ふたりはゆっくり目を開ける--と。
「何か光って見える----。」
「綺麗----。」
「ふふふ。それが魔力ですよ。」
「「え?!?!」」
「さすがだな!」
「やられた~。」
マリーとカミーユは苦笑いです。
『アリィがいいところを持って行ったな。ははは。』
ロイを見ると微笑んでくれていました。
昔、御父様達に同じ事をしていただきましたからね。
ふふふ。
※※※※※
こうして魔法学園と騎士学園の日々が過ぎていった。
※※※※※
ヒュ!
「やあ!」
しゅ!
パァーン!
「ああ!」
『しゃがむ!』
『左!』
「今!」
パシッ!
『……くる気がする。』
ぴょん!
スカッ!
「うう~ん。」
クネ。
「避けれたわぁ~。」
初日から3週間経ち、少しずつではありますが、攻撃が来ることが読めるようになっていました。
……実は、魔法学園での研究も今はしておらず、最近は護身術を教えあっていた事も上達に繋がっているのだと思います。
少しでも受け方、流し方、対面で戦う感覚を身につけようと考えたのです。
「う~ん。……段々と私の特製ドリンクの売れ行きが悪くなってきたわねぇ~。」
「お陰様で随分と肌艶はよくなりましたわ!」
「ええ!身体がとても健康な感じがしますね。」
ガイさんからも進歩したとお褒めいただきました。
「ガイさん。今更なんだが、俺達からの接近戦のお願いって嫌じゃなかったのか?」
「いや。むしろ、魔法を使う者が接近戦の重要性を戦いの中で気づいたと聞いて、嬉しくなった!」
「そう言うもん?」
「ああ!」
「熱血!真っ直ぐな性格してるんだな。」
「ふふふふふ。」
「あれ?アリィ?」
いつの間にかガイさんとロイの会話を後ろで聞いていたアリィがくすくすと笑っていました。
何故笑っているのか疑問に思ったロイが、アリィに訪ねると予想外の事を言うのです。
「ロイ?気づいていましたか?」
ふふふ。
「何がだ?」
「とてもザックリとした言葉遣いですよ!ふふふ。」
「ん?あれ?…………いつから?」
「恐らく、ガイさんだからでしょうね。初日からですよ!」
「うわ!本当に?」
ははははは!
最初からロイは普段通りのロイでしたので、ガイさんは不思議そうなお顔をされていますね。
「何なんだ?普段からこうじゃないのか?」
「ガイさん、ロイは他人と喋る時は徹底して堅苦しい敬語なのですよ。」
「へ?そうなんか?」
「ああ。普段はな!」
なんだがばつの悪そうな顔をしているロイ。
それを見たガイさんは気を良くしたらしく。
「そりゃーありがとうよ!ロイ!」
ついには「ロイ」と呼ばれて気に入られていました。
さあ、3日後には視察団が来ます!
パーティーです!
視察がメインだと言うことは、忘却の彼方のアリィなのでした。
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ドレス準備。
先週末--。
「マリー!これでどうかしら?」
「良いと思いますわ~!可愛いです~!」
「くしゅくしゅはどう作るのですか?!」
「これをね、ぴゅーーっと引っ張ると~!」
「あ!出来た!」
キャッ!キャッ!キャッ!
なんとも楽しい時間でした~!
型は前もってマリーが作っていてくださいましたし、マリーのお家の使用人の皆さんも手伝ってくださったので驚異的な早さで完成いたしました!
ふふふ。可愛いくできましたね!マリーの眼からハートがこぼれてきそうですが、お陰様でとても素敵な物ができました。お店で仕上げて頂いたように良い出来です!マリー監修ですからね!当然と言えば当然ですね!
ミーシャとアリィは完成したドレスの出来に浸っています。
『うふふ。ロイの分も実は私がこっそりとパーフェクトにペアで仕上げてありますからね~!うふふ。楽しみ~!』




