また出た後
「昨日は皆さんに御迷惑お掛けしました。」
皆で学校へ向かういつもの朝です。
「いやぁ、久しぶりに出たね!アイツ。」
「……。」
「アリィのお父さんの怒り大爆発だったらしいわねぇ~。」
「……そうだろうね。」
「しかし、しつこい男ね!」
「全くですわ!」
「ですが、全く脈無しでよく頑張れますよね。」
「しかも薬で無理やり好きにさせようって……馬鹿にも程がある。」
「まあまあ、いつもながら迷惑な話です。……美味しいクッキーに何て事を!」
アリィがプルプル震えながら大好きなお店のお菓子が利用されたことを嘆いています。
こんないつもの朝ですが、……。
----カミーユだけは気づいてしまったのです。
先程----。
「昨日は皆さんに御迷惑お掛けしました。」
皆で学校へ向かういつもの朝です。
「いやぁ、久しぶりに出たね!アイツ。」
「……。」
ココです!ココ!!
誰かいました。サクッと探知したらどうやら、後方の物陰に隠れつつ付いてきている?ようでした。
もうすぐ学園に入ります。
『……気になる。誰だろう。』
「…………ねぇ皆。ちょっと先行ってて~!」
「うん?」
「……あーミーシャが居たような気がして~。」
皆、「あー。」なる程って顔しています。
ニマニマして先に教室へ向かっていきました。
と、言うわけで。
‘’ピッ!
気配を消して、一応近づきます。
探知した場所へ視覚から回り込むと、何やらブツブツとつぶやいている声が聞こえてきます。
「しつこい……脈無し……馬鹿……迷惑……。」
そこにいたのは……涙溢れすぎの男でした。
魔法学園の制服を着た…………。
「お前、マデラか?」
そこに居たのはカミーユの知ったマデラとは異なる、…………綺麗~に髪の毛先を内巻きにしたニコラルド・ディ・マデラでした。
「内巻き?!?!……なんで?!?!」
「……Sクラス……ルモンド商会の……ああ。……シアード伯爵に外ハネをやめろと言われてな…………。」
昨日の事で何か言われたのだと感づいたカミーユは、それは仕方ない事だと思いつつもこの髪型は無いだろうと、思わず哀れみの眼を向けてしまいます。
「--まあ、シアード伯爵めっちゃ怒ってたらしいからな~。」
「ああ……。」
「ていうかさ、なんでお前そこまでアリィに執着してたんだ?」
「え?」
「どこが好きだったんだよ?」
「どこって…………そりゃあ、可愛いだろう?横からしか見たことがないが、笑った顔なんてもう最高だ!」
ふん!
と鼻息をひと吐きしたと思ったら、先程まで弱っていたマデラはどこ行った?急に目をキラキラさせ、力を込めて答えたマデラ。
しかし、カミーユは驚いた。
『薄っぺ……。』
「……え……?それって見た目だけって事?……お前、ちゃんとアリィと話したりした事あるんだよな?」
「もちろん、あるぞ!」
「……もちろん、自分から交際を迫ったりした時以外でだぞ?」
「…………ない。」
あちゃー。と片手で頭を抱えるカミーユ。
「それって、アリィの事なーんにも知らないって事じゃないか。」
「は?俺が気に入っているのだから良いではないか!だから、俺の妻になれば良い!と思った。お互いを知りたいのならばその後でいいではないか。」
「……お前何を言っているんだ?好みの顔というのはあるだろうが、内面を知って、好意を持って、お互いを思い合うから一緒にいたいと、そう願うものじゃないのか?」
「……内面を知る……?」
「まあ、なかなか俺も上手くいってないけどね!」
はっはっは!
さすが恋に生きている男カミーユ!良いことを言います。
しかし、ポカンと呆けているマデラ。カミーユの言った事が通じていないのでしょうか?
「……しょう。」
「は?」
「…………師匠!」
「はぁ?!」
「俺を弟子に!」
「はぁ?いやいやいや!………………近寄るなぁ!!!」
ダダダダダダダ……!
身に迫る妙な危機感から全力で走り出して逃げるカミーユ!
--追うマデラ。
ダダダダダダダ……!!
『なんだよコイツ!怖い!』
ダダダダダダダぴょんダダダ……!
「待ってください!師匠~!」
『ぴょん?』
ダダダダダダダ……!!!
「誰が師匠だーー!!」
変に気に入られたのか学園の敷地に入ってもついてくるマデラ!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「はははぁ~!待ってぇ~!」
『ああ……キモイ。余計な事しちゃった~。げんなり。』
「お前!アリィにはもう近づかないんだろ!もううちのクラスに着くぞ!」
確かにSクラスの教室がもう目の前でした。
気づいたマデラは急停止です。
「む!……じゃあ師匠!またおひとりの時に是非お話聞かせてくださいね!」
『……やっぱりアイツヤバい奴だ。……絶対一人にならないでおこう。ゲッソリ。』
ぜえぜえぜえ……。
スパーン!
息を切らして教室へたどり着いたカミーユ。
皆が一斉に見てきます。……何故か皆口元に不敵な笑みを浮かべて。
「……で、カミーユ。アイツなんだって?」
ニヤニヤ。
「気づいて……。」
皆「「「いたさ!(いたわ!)」」」
ニヤニヤニヤニヤ。
Sクラスは全員もれなくマデラがついてきて遠目でこちらを見ていたことに気付いていたのでした。
関わったら面倒そうなのと、関わるのがそもそも嫌なのとで放って置いたのですが、カミーユが行きそうだったのでコレ幸い!と思って動向を楽し……いえいえ見守る事にしていたのでした。
『……まあ、だよね。』
「何か……なつかれた。」
皆「「「はい?」」」
『可哀想にカミーユ、あの変なマデラさんにつきまとわれる事になるのですね……。』
「あと、……髪型が内巻きになってた…………。」
皆『『『それは、……見てみたい気がする。』』』
スパーン!
ダン先生もやってきた。
「アリィまた、いろいろあったみたいだな。ご苦労さん!」
「いえ、ありがとうございます。」
「あー、そんじゃあ今日は連絡があるからよく聞けよー!来週から接近戦できることになったぞ~!」
「話が早いですね。」
「あー、俺頑張った!」
皆「「「ありがとうございます!」」」
皆『『『恐らく頑張ったのは違う人物なのでしょう……。』』』
来週から週2回接近戦の鍛錬を始める事になりました。
場所は騎士学園で行うことになったそうです。
「騎士学園ですの?」
「ああ。武を学ぶならば一番適切だと思うが?」
「まあ、その通りだな。」
「本格的に学べるだろう?」
「本格的すぎないですか?」
「いや、お前達は対魔物だけでは足りなくなる。」
「魔物以外って事なのぉ~?」
「魔物以外か。…………!!!まさか。」
「……つまり、対人戦闘を学んでおいた方が良いと?」
「そう言う事なのか?」
「そう言う事ですわね。」
「お前達の考えた通りだ。きっとお前達の力は広まる。そして悪用する者も出てくるだろうからな。」
ダン先生が心配しているのは世の中いいやつばかりじゃないって事だそうです。
「だから騎士学園へお願いした。騎士学園内では魔法は使用禁止とする。仲間も、自分も、守れる力をつけてこい!」
皆「「「解りました!」」」
騎士学園の場所は実はすーぐそこなのです。
と、言うよりも国の機関である学園はこの一帯に建てられています。
ですのでどの学園へも通学距離はほとんど変わりません。
一応持ち物は、武器が後々必要かもしれないくらいだそうです。
※※※※※
今週からは、騎士学園日、騎士学園日、午前中が三人来る鍛錬日、通常日、通常日。
という様な週の予定になっていきます。
「さあ、騎士学園へ行くぞ!」
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頑張った人。
「……と言うわけで、接近戦を学ばせてやりたいのですが。」
「話は解った。だが、すぐに整うかどうかは……。」
「そこは腕の見せ所でしょう。」
ニヤリ。
「うむ~。」
「何ならもっと上がいるじゃないですか!遺跡探索の依頼主とか?」
「……!やはり気づいていたか!」
「……。」
ニヤリ。
「はぁ~さすがだな。」
「はは!後は頼みますよ!校長!」
やはり頑張ったのは校長でした。




