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3人の初鍛錬と小包





週の真ん中--今日から週1回の3人追加鍛錬の日ですね。




「おはよう!Sクラスの皆さん!」



ミーシャが来て少しするとソアラちゃんとギールくんも来たようです。


「もう皆さん来ていたのですか?」


「早いですね。うちのはクラスHR長引いてしまって。」


初日から待たせてしまって申しわけない顔をするふたり、……に対してSクラスは呆けた顔をしています。


「ねえ?HRって朝の挨拶くらいじゃないの?」


「ダン先生の話がある日はそんなに無いからな~。」


「他のクラスって違うのですか?」




3人「「「15分は必ずあるかな~。」」」


3人『『『いいな~ダン先生のクラス。正直無駄に長い気がする日もあるもの。』』』



と、言うことで今日もいつも通りの準備をし終えると転がりに来たダン先生が定位置にセットされます。

…………ん?何か違う気がしますが、まあ大して事実と変わらないでしょう。



そんな風にポンポンポーーンと、ローテーブルやらサンシェードやらをいつも通りに出していたら、3人は固まってしまいました。

ついでにアリィとロイでお茶やお菓子を準備し始めたら完全に石化してしまいました。





先ずは最初なのでお茶をいただきながら、魔力の捉え方のお話をしましょう。

それを理解しないと同じ鍛錬を行えませんからね。




これについてはロイがお話しすることになりました。


生命力を捉えること。

それが出来ると対象の魔力が解るようになるのだと言うこと。


それが鍛錬の始まりだというお話をしてくれました。




「その先は、……まだいいな。」





「ひとつ、聞いても良いかな?」


「ん?なんだ?」


「何故このような鍛錬を?これがな強くなることになるの~?」


「ああ。そう言えばそれを話していなかったな。」


ロイが目線を飛ばすと、それを受け取ったアリィが今度は話し始めます。


「ミーシャ、魔法を使うためには何が必要ですか?」


「うん?魔力よね?」


「そうです。--では、魔力が強いとどうですか?」


「強力な魔法が使えるのではないですか?」


「ええ、ソアラちゃんその通りです。持続力も増えますね。--と、言うことなのですよ。」


「えーーーっとつまり、魔力を増やすと強くなる?」


「そうですね。ギールくんの考えでほぼ当たりです。」


「……増やす。」


「正確には扱える魔力を増やすのです。そのために鍛錬します。生命力、魔力の理解とそれを感じ取れる力を毎日鍛える事で力が付いてきます。」


それが、自分の扱える魔力量を増やすことになり、自分の身体に流れる魔力を扱う質も向上させるのです。



……とのことでひとまず始まりましたが、ロイの言う通りだったようです。

言葉で聞いても真の理解には時間がかかりそうです。




それぞれ目を閉じて集中して鍛錬していましたが、生命力を感じるという、この鍛錬の入り口にも今日は入れずに終わったようです。


今まで詠唱を引き金に魔力を集めて魔法を使っていましたからね。自分で魔力を感じ取ったり、魔力を見たりすることは無かったのですからね。



「毎日継続する事が大切だから。家でも必ず続けててなー!」



ロイの言葉で締められた初日は3人共げっそりとして、最後は校庭に伸びていました。



「皆で休憩しませんか?急には魔力量は増えませんから。」


アリィがお茶などを用意するのは先程も見ていたというのに、お三方は目が点になるくらい不思議そうに凝視していました。


『特別なことをしているつもりはないのですが。』


『特別らしいぞ?』


『そうですの?』


『ああ。』


「おーい!そこのふたり。あまり自分達の世界へ入るなよー。」


「……このふたりっていつもこんな甘々なの?」


「本人達はほとんど気づいてないですわよ。」


「え??」

「そうなのですか?」


「……そうなんだよ。」


「すごいよね。」








ティータイムでまったり中~~~ですよ。ふふふ。



これからしばらくは週1回ですが、今日のように3人と一緒に鍛錬出来るのですね。



「賑やかでより楽しいですね。」

ふふふ。





午後はSクラスだけで少しのんびりと庭園で魔法道具のお手入れをして過ごしました。




「今日も終わりですね~!ふふ。」


「人が増えると楽しさが増すな!ははは。」


いつものように送ってくれたロイとさよならして、家路に着きました。





「アリミア御嬢様、今程門番に小包が届けられた様なのですが……。」


帰宅を迎えてくれたリトが、何やら手に包みを抱えていました。


「あら?今なの?門番にって、直接どなたかが持ってきてくださったのかしら?」


「ええ。魔法学園の制服を着てらしたそうですので、どうやら御学友様のようです。私目がお開けして中身を確に……。」


シュルシュル。

ふぁさ。


「お嬢様!」


「ん?もう開けたわよ!」


「そんな不用心な!」


「大丈夫よ~!--ん?クッキー?!」




「……。」



「……お嬢様?」



パクん--。


「お嬢様ー!!!何を?」


「え?モグモグ。だって!このクッキー、モグモグ。……私の好きなお店のものなんだもん!モグモグ!」


「とは言え、持ってきたお方がどなたかもまだ解りませんのに……!……一体この数秒で何個食べてしまったのですか?!」





「うん!!----美味しい~!!…………って何ですコレ……?人物画?!ですか?」



パクパクと数個食べ進んだところでクッキーの下から人物の描かれた絵が出てきました。


やたらと装飾の豪奢な服を着ている、少し嫌みな顔つきが鼻につく特徴的な髪型の男の絵でした。


「わぁ!なんて素敵な方!こんなに格好いいお方初めて見ましたわ~!」


「へ?お嬢様、いきなりどうしましたか?」


「だって、リト見てください!特にこの外ハネ!とてもお似合いですよ!」


「外ハネ……。『正直御嬢様の趣味に合わないような気がするのですが……。』」


「素敵な外ハネ~!」


『……ん?今私何て言いました?外ハネが良いと?…………なんて……お馬鹿な事を!むしろ外ハネは敵です!嫌いなのです!…………でも何故?』



『……もしかして何か……?』


無言で力を込める----……。


そして、

‘’ピッ!

アリィは赤茶色の絞りクッキーを取り出して無言で食べ始める。


モグ……モグモグ……。


身体は動いても、不思議と言葉を発しようとすると写真の男を褒めてしまいそうになるのです。


モグモグ。

『あー本当に嫌!』



「アリミア御嬢様?どうなさったのですか?!」



クッキーを不用意に食べ始めたと思ったら、訳をわからない事を言い始めて、今度は違うクッキーを食べ始めたアリィを見てリトは訳が解らずワタワタとしています。



----そんな時。




バッターン!


誰かが玄関から飛び込んできた。


「御主人様!?」


「御父様!」


シアード伯爵が息を切らして入ってきたのです。



「リト!何かあっただろう?」


「はい!アリミア御嬢様が!」


「何?!?!」


急いで隣のアリィへ駆け寄るルイーズ。


「アリミア!大丈夫か?!」




すると----。



バッターン!!!


また玄関が勢い良く開き、人が飛び込んできた。


「アリィ!何があった?」



ロイです。

ロイは顔パスですからね。門番が通したのでしょう。



「大丈夫か?!」



「……。」

事情により頬が食事中のリスのようなアリィ。


「……。」

「……。」

「……。」


おふたりとも慌てて来てくださった様でとてもありがたい。

……のですが……、すみません……ちょっとお待ちくださいませ。



「……。」


ふたりと目が合うアリィ。


モグモグ。


赤茶色の絞りクッキーをモグモグ。


ちょっと多めに食べているのでちょっとお待ちくださいね。


モグモグ。






「……。」


「何か、……あったよな?」


モグモグ。頷く。


「……ミサンガで、呼んだよな?」


モグモグ。頷く。


「アリミアお嬢様?」


モグモグ。


「そのクッキー!!……何か、状態異常が!?…………って食べ過ぎだろ?!」


モグモグ。ごっくん。


ふぅ~~。




「ロイ、御父様。」


「アリィ!」

「アリミア!」


「良かった!何があった?」


「急に呼ばれたから戻ってみたら!どうしたんだ?」



「どうって----。」


「アリミア!不審者が来たのだろう?どこだ?」


忙しく視線を様々な方向へ走らせるルイーズ。


「何?!どこだ?」


ルイーズの言葉にロイも反応して探しています。




「いえご主人様、こちらにはおりません。」


「どう言うことだ?」



事情をルイーズとロイにお話するリト。


どうやらルイーズは屋敷には悪い感情を持った者が来ると解るように施してあるそうです。それに先程気づいたそうで、急いで戻ってきたそうです。




リトからお話を聞き終わったルイーズに、何も考えずにクッキーを食べ始めた事を怒られてしまいましたが……引き続きアリィに事情を聞くと……。


「またアイツか?」


「ええ!」


「今回はやり過ぎだな?」


……そう、クッキーに入っていた絵は、ニコラルド・ディ・マデラだったのです!!!


「あの、外ハネめ!!話を聞く限り……惚れ薬だなきっと。……ったく、どうやってそんなもん用意したんだか!」




「ロイくん……………………その男の名前を教えてくれないか?」


「え?ニコラルド・ディ・マデラですよ。」


「マデラ?……マデラ伯爵家の嫡男で間違いないか?」


「ええ、その通りです。」


「………………わかった!リト、後は頼むぞ。」


「畏まりました。」


「「……。」」


「シアード伯爵めっちゃ怒ってたな。」


「……ですね。」




そしてこの後Sクラスのメンバーが心配して順番にやってきたのだった。

やはり----笑。



---------------


あの時のルーイ様の心中。



『しまった!言うタイミングを逃してしまった!』


皆でノノアに敬語禁止だぞと、言った。


『……私も!』


『……呼び捨てで!』


『……敬語も無しで!』




『…………言い出せなかった!!!涙。』






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