ルーイ様とピア
颯爽と目の前に現れたルーイ様。
「急にお邪魔してすまない。……いつもと違って--ドレスですね。とてもよくお似合いです。」
「な……///。クラスメイトにそう言われますとなんだか恥ずかしいですわ。」
ルーイ様がサラッとそんな事をいうものですから、思わず頬が紅くなってしまったピア。ちょっと照れ隠しで頬をプクっとしてみせています。
「ふふ、すみません。ですが本心ですよ。」
にっこり。
「もう、あまりからかわないでくださいませね。……ところで、今日はどの様なご用件でいらしたのですか?」
「……あなたのお顔を見に来たのですよ。」
まあ!とピア付きの侍女さんが一瞬ハートを飛ばしてきました……が、一瞬で元に戻りましたね。
「///……ですから、冗談はよしてください。」
「冗談ではないのですが…………。」
しゅん……とするルーイ様。
そんな様子を見てワタワタと慌てるピアですが、しゅん……としながらもそんなピアを実は横目でにこやかに観察しているルーイ様なのです。
「あの、あの。ありがとうございます?」
そんなピアの反応がまた面白かったのか、思わずルーイ様も大爆笑です。
「はは!何故に疑問形なのです?」
「ふへ?」
「「……。」」
「ふふふ。」
「ははは。」
目が合ったまましばらく笑い合うふたり。
「いやー、ピアはロイ並に話しやすいですよ!」
「そ!……そうですの?それは--良かったですわ。///。」
「なんだか普段から割と間が合いますからね。私も楽しいのです。」
「ええ、私もです。ルーイ様は公爵家嫡男様ですからこんな事言ってはいけないのかもしれませんが、とても気兼ねなくお話しできて嬉しいですわ。」
ルーイ様は立場的になかなか気の許せる方が出来たりはこれまでありませんでした。Sクラスの皆さんはロイ以外にやっと出来たかけがえのない友人なのです。
それはピアも近い立場ですので解っていました。ピア自身もそうでしたから。その中でロイ並に話しやすいと言われたのは、かなり仲が良いと思っていただいていると同位だとピアは気づきました。
『ふふふ。それはとても嬉しいですわ。』
「ありがとうございます。ですが……だからでしょうか。今朝学園がお休みだと思った時にあなたが今日は元気だろうか?と心配になったのです。」
「……まあ、そうでしたの?」
『友人をこんなに気遣ってくださるなんてやはりお優しい方ですね。』
「徐々に回復はしていたでしょうが、いろいろありましたし……ね。」
「私も迂闊でしたからね。」
苦笑。
「いえ、私が隣にいながら……不甲斐ないです。申し訳ない。」
頭を下げるルーイ様。
「やめてください!あれは!私が悪いのですわ。完全に不注意でしたから。」
「いいえ。私は強くなります。もう、あなたをあんな目には合わせません。」
力強い眼差し。
ルーイ様の思わぬ謝罪と熱意に驚くピアです。
「何故そこまで……。」
そのまま不思議そうな顔でルーイ様を見つめたままのピア。
「…………あなたが倒れた時、私は冷静ではいられなかったのです。」
「え?」
確かに、他の皆さんからもあの時のルーイ様が冷静さを欠いていたと後から聞いていたピア。
だが何故そうなっていたのか、皆よく解っていなかったのです。
ルーイ様の近くで一緒に戦っていたロイやアリィにも解らないと言われましたからね。
「自分でも驚いたのですよ。頭に血が上って考えなしに突っ込んでしまいました。」
「それって----。」
「勘のいいあなたならお分かりでしょう?ロイやアリィはその辺の事鈍いですからね。」
ニヤリ。
「え?!///。」
『待って!待ってください。私だってルーイ様に憧れが無い訳ではありませんでしたが……むしろ……///。』
「ふふふ。もう、私は決めたのです。覚悟しといてくださいね。微笑。」
「///。」
照れまくるピアです----が、ひとつ思い出した事があります。
「ですが!ルーイ様--。」
「その辺は心配には及びませんよ。」
にっこり。
「……ありがとうございます。///。」
照れているピアを満足げに眺めてからルーイ様は席を立ちました。
「あなたがお元気で本当に良かった。……これでも緊張していたのですよ。微笑。--ですが今日は勇気を出して来てみて良かったです。こんな可愛らしいピアを見れましたから。」
「な!……///。」
「また、今日のように美味しい紅茶とお菓子をご一緒してくださいね。」
にっこり。
そう言ってハノワ侯爵家を去っていきました。
残されたのは、ポ~ッしているピアと、そんな主を優しく見守る侍女さん達でした。
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とあるお店。
「いや~。決めるのに丸1日かかった。」
ロイは、ゲッソリとしたその店のオーナーと一緒にいました。
「何でも合うからな。だからなかなか決まらなかったんだ。」
「ロイ坊ちゃん、お決まりでしたらそろそろ戻りませんと晩餐の時間になってしまいますよ。」
「ああ、わかった帰ろうか!」
「では、仕上がったら連絡を貰えるだろうか?」
「承知いたしました。」
ロイが去ったと同時に店内にいたオーナーが疲れて座り込んでしまいました。
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とあるお店のオーナーの次の日。
「いや~。昨日のロイヤード様はとても熱心だったな~。1日かけてとても真剣に選ばれていた。」
「あれは相当……。」
「こんにちは~。」
「いらっしゃいませ。」
今日最初のお客様ですね。
『金髪で桃眼……ハノワ侯爵家のお嬢様だったはず。』
「ハノワ侯爵家、ピアース様でいらっしゃいますね。」
「ええ。」
「ご無沙汰しております。本日はどの様な御用件でしたでしょうか。」
「実は……。」
--この後、昨日と同じ様な注文をまたほぼ丸1日かかってお聞きする事になるオーナーでした。
「……流行ってるのでしょうか?」
疲れ顔の疑問符飛びまくりのオーナーの2日間でした。




