遺跡報告
「ピアも、ルーイ様もあれから何ともなくてよかったです。」
遺跡探索2日目--は昨日で探索が終わりましたのでなくなりました。
ピアもルーイ様もバンガローへ戻って来るまでは疲労感と受けたダメージで元気が無いようでしたが、食事をとり一晩ゆっくりと休めたようで今朝は調子が良さそうに見えました。
「皆さんに心配をおかけしてしましたわ。いろいろとお気遣い頂きましてありがとうございました。」
ペコリ。
「私も、皆にご迷惑をおかけしましたね。無事に戻ってこれたのは皆のお陰です。ありがとう。」
ペコリ。
「ですから、ふたりとも申し訳ないなどとは思わないでくださいね。」
「そうです!仲間なのですから!」
「……お互い様ですよ。」
「俺もいつか皆にお世話になるだろうからな!」
「俺もだ!どうせこのメンバーならまたどこかに冒険だの、魔物狩りだの行くだろう?」
「そぉ~よぉ~!また皆で行きましょうねぇ~!」
「……僕の言い出した事の素材集めも皆さんと行きたいですし。」
「私も美味しいもの探しにいきたいです~。」
皆さんの、何を気にしているのですか?そんな事より次も何かしましょうねーー!という感じが、どうやらおふたりの心を軽くしたようです。
「ふふふ。わかりましたわ。」
「ええ、ありがとうございます。」
ふたり共元気であれば、それでいいのです!
ふふふ。
タンタンタン……。
「ふぁ~~~!しっかし、疲れたなぁ~。」
皆「「「おはようございます。ダン先生。」」」
「おはよ~さん。お前達よく起きれたな~。俺、やっとだぞ。」
「若さですかね。」
ニヤリ。
「ロイ~。確かなこと言うなよ~。お前達だって段々とそうなるさ!」
いつもと変わりのない賑やかで楽しい空気に安心しますね。
……そう言えば昨日の帰り際、ダン先生の話し方が凛々しかったような……どちらが本来のダン先生なのでしょうか。
まあ、どちらでもダン先生はダン先生ですが、戦ってきた人の強さと、状況判断の的確さは、さすがは元魔法師団長といった感じでしたね。
「今日は、ゆっくりと過ごせるように許可をもらっている。ただ、朝イチで校長に報告だけ行かないと行けないから、よろしくな~!」
私達が別行動になった昨日から、2年生Aクラス全員で1年生Aクラスと一緒に合同演習をしているので、校長先生はお暇になり、野営宿地に留まっているそうです。
昨日はピアとルーイ様の事もあり、簡単にダン先生が帰還の報告だけしてありました。
校長先生も了承してくださいましたので有り難く早めに休ませて頂いたのです。
「じゃあ、そろそろ校長のとこに行くか?」
と言うことで、合同演習へ行く生徒とは逆方向に野営宿地の先生方が使用している場所へ向かいました。
途中他のクラスの生徒にジロジロと見られましたが、特に何か言われることはありませんでした。
校長先生の待つ場所へ着くと、かなり大きなパラソルの下にテーブルセットが用意してありました。
「朝からすまない。紅茶と菓子を用意した。遠慮せずにゆっくりしながら話を聞かせてくれ。」
校長先生のご厚意に甘えさせていただく事にして、お茶をしながら話を始めました。
ダン先生が話す内容に私達も補足しながら報告していきます。
まずは予想を遙かに越える魔物の数だった事、そして巨大なハリネズミの魔物の力、討伐完了したことの報告と共に、遺跡の造りについてもお話ししました。
「--なるほど。下部に階層がある可能性が高いのに道がない、か。そして、壁画に描かれていたもの……。」
「下部への道は私達が見つけられなかっただけなのか、他に道があるのかは現時点では何とも言えません。」
「……ですが、地下には魔物の反応がありましたので地下空間はあると予想しますが、その場合どれ程の階層があり、どのくらい魔物がいるのかは全くわかりません。」
「だが、魔物は恐らく地上にいた魔物達と同等かそれ以上だろうな。」
「あのハリネズミ並の魔物が沢山いるとは思いたくは無いけど、もしかしたらいるかもしれないもんね。」
「校長、これはあくまで俺の考えだが、今後調査する場合は必ず高位の魔法使いでかつ、無詠唱魔法を使えるものでないと危ないと思う。」
「ああ。話を聞く限り私も同意見だ。」
「そして、今回見つかった壁画については実物を見たいんなら早い方が良いだろう。すぐに魔物がまた大発生しないとは思うが、念のためだな。」
「それも、了解した。ダン先生の言う通りだろうな。早めに考古学研究者を招集して調査することを依頼主には伝えておく。」
「そうねぇ~。壁画の絵については完全に私達の理解でお話ししてますものねぇ~。」
「もしかしたら全然違う生物なのかもしれないからな!」
「それに、あの遺跡がいつ頃造られたものなのかを調べる必要もあると思いますわ。」
「あの何か意味深な壁画の意味も、ですね。」
あの生き物の絵は、只の生き物なのでしょうか?それとも、魔物なのでしょうか。はたまた別の?……それに、お城が一緒に描かれていた事も妙に気になります。
ですが考古学など全く解りませんし、そもそも私達の役割は増えすぎた魔物を討伐する事でしたのでこれ以降どうするのかは依頼主様次第ですからね。
これで、終わりとしてよいでしょう。
「……だがな、校長。」
「ん?なんだ?ダン先生。」
「今回私達が合同演習の延長上として行った遺跡探索……。どーーーーーー考えてもギルド依頼レベルのものだろう?」
ギクギクギク!!!
急にオドオドしだす校長先生。
「しかも----通常、高ランクの者への依頼レベルだ。」
「いや、あのだ……。」
「付け加えると、無詠唱魔法使いしか請け負えない案件だったと解っていたはずだ。」
「そんな事は!な……。」
「ありますよね!」
「……解っていたはずです。」
「予想していたはずですよね!」
「私達でもぉ、最初の話で感づいていたわよぉ~。」
「そうですわ!」
「ですね!」
「だよな。」
「と、言うことでですね。報酬が発生しても良いと思うのですよ。」
皆さんそろって満面の笑みです。
「何せ魔物を全て討伐して、今まで不明だった遺跡内部の探索もしてきた俺達だ、……報酬、いただけますよね?校長?」
「……。」
にこーーーーーー!!!
「……善処する。」
皆「「「ありがとうございます。微笑。」」」
※※※※※
「はぁ、しかし昨日はさすがに疲れたな。」
「そうですね。あれだけ魔法を使い続けた事はありませんでしたからね。」
「身体がギシギシします。」
「魔法の練習をしてきて正解でしたわね。」
「そう思います。」
「しかし、課題も見つかったな!」
皆「「「防御!」」」
「……全く考えてなかったですよね。」
「攻撃を受け止める事を誰も想定していなかったからな。」
「攻撃しか頭になかったですわね。」
「うっかりしてたよね~!」
「お前達……。途中でもしやとは思ったが……やっぱりそうだったのか……。」
「だって、魔物狩りだと攻撃を受け止めることもないじゃないか。」
「いや、そもそもそこから間違ってるんだぞ?」
「えぇ~?なんでぇ~?」
「普通は受け止めたりするからな?」
「そうなのか?」
「お前達本気で言っているのか?」
「……今まで攻撃される前に倒していたか、攻撃されてもそれごと倒してきましたからね。」
「ああ。私もうっかりしていました。」
「そうですわね。魔力消費が起こるかも知れないという予想はしていましたが、自分達が攻撃を受けるとは思ってもいませんでしたわ。」
『……そういや……忘れかけてたが、こいつ等成人したばかりの只の学生だった。だが、……今後起こりそうなことを考えると、戦闘というものをしっかりと学ぶべきかもな。』
「……あのハリネズミ、広範囲探索していたのに感知できなかったんですよね。」
「そうですわね。攻撃されるまで気づけませんでした。」
「あのような魔物もいるのだと、気をつけなければいけませんね。」
「ダン先生?どうしました?」
なんだか難しいお顔のダン先生です。
「俺から提案があるんだが、…………接近戦の戦闘訓練をしないか?」
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2年生Aクラスは思う。
「なあ、アージ達って例の昨日までSクラスと同じグループだったんだよな?」
「あ……ああ、そうだが。」
「どうした?なんか歯切れが悪くないか?」
「ああ、それがな----。」
「先輩方、おはようございます。今日から他の先輩方も御一緒なのですよね。よろしくお願い致します。」
「ええ、そうです。よろしくお願いしますね。」
「しかし、どうしてSクラスと一緒ではなくなったのですか?聞けば先輩方が断ったと聞きましたが?」
「それは----。」
「それはもちろん、Sクラスが特別クラスとは名ばかりのポンコツだったからではないですか?あ!アリミアは別ですよ。彼女はとても素敵な方ですからねー!!!」
ははははははははははははは!
「……えー、君は……。」
「アージ、あいつだいぶ変わってるからそっとしておけ!」
『…………。』
「先生が来たぞ。」
「はい!皆さん揃っていますね?出発しますよー!」
※※※※※
「「「灯せこの手に。燃えよ強く。イケ!」」」
ボス!プス!ボウ!
「「「風よ我が身に。唸って、踊れ!イケ!」」」
シュパ!シュー!サン!
「「「「「……。」」」」」
アージ、次席先輩、だし先輩、お嬢様先輩、侍女先輩は思わず言葉を失ってしまいました。
「どうだアージ。1年のAクラスもなかなかだろ?」
「なかなか……なんだ?」
「いや、凄くないか?威力には差があるが、詠唱は早くて連携もなかなかだろ?」
「凄い…………。」
ボソボソ。
「ん?なんて言ったんだ?」
「凄い……んですよ!!!1年生Sクラスと1年生Aクラスの実力の差が!!!」
「本当……ヒドいわね。」
「え?!?!」
困惑した同級生でした。




