レイルム遺跡
「何故昨日先輩方にお断りされたのでしょうか?」
「あ~なんか、一緒にいると立ち直れなくなるって言ってたそうだぞ。」
立ち直れなくなるとは、どう言うことなのでしょう。気づかぬうちに私達が何かしてしまいましたでしょうか。
「えーー、何がですか?」
「まあ、……そこはもう触れないでやれ。」
う~~ん。よく解りませんし、原因が気になるところですが、ここはダン先生の仰る通りにしておくことにしましょう。
やることもありますしね。
今日から私達は他の生徒とは別行動なのですから。
遺跡へ----入ります。
※※※※※
レイルム遺跡--食料調達で実は毎日通っていた湖森。そこを囲う山々の中腹にある古代遺跡です。
遺跡の中には魔物が数多く住み着いており、近づく事が出来ないために探索がなかなか進まずにいる遺跡だそうです。
※※※※※
昨日野営宿地へ戻り、夕食を終えてお風呂に入った後の時間に校長先生が訪ねてきました。
しばらくバンガローを隅々までみて、挙げ句の果てにお風呂にまで入り出したのでただただ遊びに来たのかと思いました。
危うく皆それぞれ就寝しそうになりましたからね。
ちゃんと目的があったようです。
この合同演習は、増えすぎて外交の妨げになっていた魔物の討伐が先生方の目的でもあったそうですが、実はもう一つあったのだそうです。
それが、遺跡調査。
魔物が多すぎて高ランクの冒険者や魔法使いを連れて行かないと探索の出来ない遺跡で、なかなか調査が進まないから困っていると相談を受けていたそうです。
この遺跡は近年地震の影響で発見された場所なので、この遺跡がどの位の階層まであってどんな所なのか、調査出来たら頼みたいと校長の友人に言われていたそうです。
ちなみにまだ最初のフロアの探索も完了していないそうで、別階層があるのか、どんな遺跡なのかもよく解らないそうです。
ただ余程腕に自信がないと生きて戻ってこれないようで、そんな場所だけにもし可能な者がいたら……と言われていたらしい。なんだか申し訳無さそうな顔をされていますね。
「友人ね~。」
ボソボソ。
ダン先生はちょっとジト目でみていましたが、最終的にダン先生も了承しました。
※※※※※
「そもそもこんなイチ学園生に依頼する辺りちょっと怪しいけどな。」
「恐らく探索出来る人手が足りないんだろう?」
「ダン先生?」
「ああ。いや、何でもない。だが、ここ最近魔物が急に増えていてこの遺跡の中も例外じゃないらしいからな。数を減らせたら助かる。」
「ああ。そう言うことなのですね。」
『恐らく本意はそうでは無いだろうが、確証がないからな。……そもそも、こいつ等自分達が只のイチ学生だと本当に思ってるの……いや、本気でそう思っているんだろうな……。』
「以前から魔物が多かった上に、更に増えたって事ですの?」
「ああ。」
そんなに魔物が溢れかえっていると良うことは、普通に想像すると次々に魔法を放ち続けなければいけないのではないのでしょうか?
一度見つかれば雪崩のように押し寄せますよね?
--どうやらその想像は容易なようで、皆さん同じように考えたようですね。
「それは……詠唱魔法では追いつかないということですよね。」
「ああ、そうだな。」
『やっぱりそこに気付くか。こういう頭の回転は速いんだよな~。』
「ここに無詠唱魔法を使える者が9人もいますわね。」
「ああ、ちょうど良くな。」
魔法使いが遺跡へ行くなら無詠唱魔法を使える者が行く案件……だとすると、魔法師団上位の方々が本来行くはずのものですよね?
「これって本当はギルド経由の依頼だよね?」
「ああ、通常はな。」
「報酬ないのぉ~?」
「ああ、特に聞いていないな。」
「……では、交渉して頂くことは?」
「ああ、本当はそうしたいよな。」
「……この場合ってさ~ダン先生も報酬入るんじゃないのか?」
「ああ?……ああ!!」
「頑張ってくれますね?」
「ああ!やってみるぞ!」
ニヤリ×7。
「……………………。皆さん。さすがのチームワークですが…………いや、……ダン先生がチョロ……いえいえ。これは失礼ですね。う~~ん。」
ですが、報酬が入ればお小遣いが増えますしね!
やる気がでてきました!
※※※※※
徐々に見えてきた沢山の石柱。石柱と石柱の間にはまばらではあるが、草が生えアプローチのように続いていますね。
その先に見えるのは、山肌から突き出すように飛びでている白い三角の屋根を無数の石柱が支えている建物です。
ここまでは魔物はちらほらいるくらいでしたが、いまこの先には肉眼で見てもかなりの数がいます。
ちなみにわたしたちは今、大きなった岩陰に隠れて様子をうかがっています。
「建物はまだ埋まっている部分もあるのですね。」
「広さがわからんな。」
「そして、かなりいますね。」
「ノノア、探れますか?」
「……やってみますね。」
‘’ピッ!
【広範囲探査】!!!
「……とりあえず探れた範囲で500体くらいはいますね。」
「500……いちいち相手するのはちょっとな。」
「奥にどれだけいるのかわからないものねぇ~。」
これから訳の分からない所へ行くのです。最初からまともに対峙していくと……きりがなさそうですからね。
「う~ん。そしたらぁ~前にノノアと一緒にやった~広範囲の毒魔法やってみるぅ~?」
皆「「「……!!!」」」
ノノアとミーサ以外のお顔が引きつっていますよ~。いえ、気持ちはわかります。私も顔がかなりヒクヒクしていますから。
あの魔法は--エグ……いえ、物凄い威力でした。
ですが、先の魔法訓練の時に皆さんが忘れたように。あえて名前を出さないくらい、エグ……いえいえ、凄い魔法ですからね。
今回はピッタリかもしれませんね。
「では、おふたりにお任せしてもよいでしょうか。」
「はぁ~い。」
「……はい。」
ふたりが魔法を放った後に道が開けるようなら遺跡へはいる。
その後は、ノノアに広範囲の探索をしてもらいながら進む事にした。同時に遮断の魔法を解き、目の前に来る魔物を兎に角倒す。
今回は素材とかの心配をする必要は無いので遺跡を壊さないように全力で戦います!
「では、皆さんコレを。」
お一人ずつに青い飴を手渡す。
そして--おひとりおひとりの手を取り、お顔を見ます。
『どうか。ロイを……ピアを……ルーイ様を…………………………………ダン先生を……御守りください。』
皆さんとひとりひとりぎゅっと手を取ります。
「アリィ?……ありがとう。何だか不思議な感じがするが--暖かいな。」
「アリィ。……いえ。ありがとうございます。」
ルーイ様が何かを言いかけて止めたような?
「そろそろ行きますか?」
「ええ。」
「俺また転がっててい……。」
皆「「「行きましょう。」」」
「いくわよぉ~!!!」
‘’ピッ!‘’ピッ!
【毒風】
ゴォッ!
瞬間的に吹き広がる半透明な青黒い風。
遠くまでいる魔物が風に包まれて見え隠れする。
遠くへ抜けていく風を見送る----すると--。
「ギョー!!!」
「ガァ!」
「グゥウウウ!」
いろいろな叫び声が聞こえてくる……。
皆「「「……。」」」
皆『『『このふたり……仲間で良かった……。』』』
「やっぱりなかなかやばいやつだな~。……しかも……。」
しかもノノアが広範囲の暴風を使えるようになったので以前よりレベルアップしていました。
「……一応練習しておきました。」
ひとまず相当数の魔物が戦闘不能になったようですね。
だいぶ遠くにいる魔物と、蛇や、やたらとカラフルな食虫植物は生き残ったようでこちらへ近づいてきます。毒の耐性があるものもいるようですね。
「ねぇ、……あの大きさだと、食虫植物っていうより、人も食べれてしまいそうですわよね?」
「そもそも魔物になったら人を襲うではないですか。」
「それもそうですわね。」
「とりあえずどんどん倒していこうよ!」
「そうだな!行きましょう!」
--順調に倒していく。何が起こるか解らないので効率よく行きます。魔力消費を抑えて一発ずつで倒していきます。
「……多いですね。」
今は遺跡の入り口まで来ました。魔物を倒しながらアプローチを抜けてきた所で内部にいた魔物も外に出てきたらしいです。
もう、取りあえず目に付いた魔物を倒しているますが、正直何を倒したかいちいちしっかりと見ている余裕もないのです。
やたらと細い狐がいたような……。
鱗粉飛び過ぎな大きすぎる蝶々も見たような……。
今一瞬出てきたうねうねは何の虫……?
「って!本当に何なのですか?!」
「もういい!もういいですわ~!」
「俺もう疲れたよ~。赤い飴~。」
モグモグ。
「俺もだ……校長めぇ~……。」
‘’ピッ!
‘’ピッ!
‘’ピッ!
‘’ピッ!
あまりの数の多さです!少しずつ遺跡内部へ来ましたが……。
「しつこいわぁ~……。」
「あ~イライラしてきたー!」
「さすがに私もだ。」
「多過ぎだーー!」
皆「「「ノノア!!!あとどのくらい?」」」
「……すごいです皆さん。あと150程ですね。」
「本当か?減ってるのか?!」
「……ええ。凄く減りましたよ。」
『減ったのかよく解りませーん。ですが--。』
「頑張ります!」
「俺、最近戦いとかしてなかったから疲れた~!」
「ダン先生がこういうの一番の経験者じゃないですか~!」
「ダメ。俺年だもん。しんどい~!酒~!寝る~!」
「大丈夫ですよ。ダン先生そういいつつかなりの数倒してますから!」
ドッゴーーン!
破裂音とともに憤炎が上がる。
「先生は火の魔法が得意なのですね!」
「でもぉ~あれって火なのぉ~?」
「あ?火だぞ!」
「私の弾丸の大きい版ですか?」
「見た目はそうだな~!」
ポイッ!
チュドーーン!
「アリィの赤い弾丸は炎の熱を圧縮して風で飛ばしているような感じに見える--要は熱の弾丸だな。たぶん魔物を焼き抜いている。」
ポイッ!
チュドーーン!
「俺のは大きめの球に火種を溜め込んでいる感じだな~--ぶつかると破裂して一気に燃え上がる。ただ炎を飛ばすより威力が上がる。狙いも定めやすい。」
ポイッ!
チュドーーン!
皆「「「ほうほうほう。」」」
皆「「「ダン先生が、先生です。(わ。)」」」
「いやいやいや、先生だし俺!」
皆「「「……。」」」
遠い目。
「言い返すが、お前達も何なんだよ?」
「何がです?」
モグモグ。
「いやだからな、こんなに喋りながらずっと倒しまくってるってどうなのよ?」
「だって手を止めたら魔物来ちゃうぞ?」
モグモグ。
「まあ、そうだが。……俺にも飴~!!!」
「はいどうぞ!」
「ああ、サンキュー。」
「先生全部片付いたらお酒用意しますよ!」
「何?本当か?アリィ。」
「ええ!」
皆『『『……たぶん、アリィの優しさから出た言葉だろうけど……鬼だ!--まさに、飴とムチ!』』』
そして、ロイは皆から注目される。
皆「「「ロイ!尻に敷かれるかもね!」」」
ニヤニヤ。
ロイ「……。」
だいぶこちらへ来る魔物の数が少なくなりましたね。
やっと休めるかと、すこし気を緩めたその時、何かが飛んで----。
「危ない!!!」
「え?!」
「きゃーーーーーーーーー!!!」




