この一瞬
「では、やってみましょうか。」
皆でにっ~~~っこりです。
皆さんの顔が怪しさを増していきます。
まずは眼鏡提案者である、ノノアから!とお願いしたかったのですが、
「…………すみません、よく見えません。」
って当然……ですよね。眼鏡無しですものね。
「…………ですので、“範囲魔法”の方に専念します。」
と言うことになりました。
ノノアは眼鏡を外すと…………って事はなくノノアは変わらずのノノアでした。しかし、より静かに喋ることが発覚!
段取りをよく理解しているルーイ様とピアに【思い】を任せます。
そして、皆で並んだこの場所から眼鏡を設置した場所まで【思い】と皆の上乗せ魔力を飛ばす事を、広範囲魔法が得意なノノアが行い、その操作補佐を細やかな魔法操作が得意なミーサに任せます。
と言うことで、真ん中にノノア、ルーイ様とピアがその両脇に、ミーサがノノアの後ろへ並びます。
私、ロイ、マリー、カミーユは魔力の上乗せをしますので4人の周りの場所に並びました。
家族達はさらにその周りです。
当然大量の魔力が必要ですし、【思い】をひとりで担うには、やろうとしている魔法のレベルが高すぎますので【思い】を繋げるようにしてみようと考えたのです。
“上乗せ”が出来るのだから、“繋げる”事も出来るでしょ?という何とも楽観的に考えた方法です。
「待て待て待て!」ときっと先に説明していたら両親達に止められる事でしょう。
「魔力操作出来なくなったらどうするんだ?」と。まあ、そうなってしまったら……ちょっとシアード伯爵家のお庭の風貌が変わるでしょう。
が、そんな事は起こさないのです!
毎日皆さんと鍛錬して来ましたので、以前よりも結構な魔力量をコントロール出来るようになりましたし、皆さんとあれやこれや討論しました結果の結論ですので、この方法で良いのではないでしょうか!?
と、言うよりもやってみなきゃ皆さんと考えた方法が成り立つかもわからないのですからね。
「なあ、これは今何をやっているんだ?」
「さあ?」
「まあまあ、皆さんはあの眼鏡に向かって笑っていてくれたらよいのです。」
家族達「「「へ?」」」
「では、いきますよ~!」
家族達「「「あ!…………はい。……?」」」
とりあえず、にっこ~。
ル「いきますよ。」
‘’ピッ!
『レンズの向こうに見てる景色を見よ。』
ルーイ様が手に溜めた【思い】にマリーとカミーユがすかさず魔力を上乗せする。
ノ「…………飛ばします。」
‘’ピッ!
ミ「まかせてぇ~。」
‘’ピッ!
ふたりが指を動かすとノノアの眼鏡に魔法が飛んでいきました。
ほわぁ。
眼鏡のレンズに魔力が集まりましたね。
どうやら上手く魔法が込められたようです。
ピ「次ですわ!」
‘’ピッ!
『そのレンズにある景色を記憶して……。』
手の上に溜めた【思い】にロイとアリィが魔力を上乗せする。
ノ・ミ「「……。」」
‘’ピッ!
ピアの魔法も飛ばす。
ほわぁ。
更に魔力がレンズに乗る。
ピ「いい感じですわ~。いきますわよ!皆さん笑顔でお願いしますわ。せ~の、……。」
皆「「「ストップ!!!」」」
「……。はい、皆さんありがとうございました!」
さて、どうでしょうか?皆さんと確認に向かいます。
るんるんる~ん♪ですね。
私達皆ニヤニヤが止まりません。上手くいったのでしょうか?早く確認したいです。
「「「…………。」」」
「いや、……ちょっと待て。今のは何だ?」
「何をしたのでしょうか。」
騒ぎ出す家族達。
「魔法の上乗せする話もにわかに信じがたい話だった言うのに、……今何人かで魔法を繋げてなかったか?」
「ええ、見間違いでなければそのようですわ……。」
「……結局何をしていたのだろうか?」
「解りませんね……。」
騒いでも何も理解できませんでした。子供達の頭を理解できず何とも切なそうな両親ズです。
すると、その疑問の矛先はダン先生へ向けられます。
ですが、
「いや~。俺にも解らんから!あいつ等の発想力はいつも飛び抜けているし、それを実現できる魔力もあるからな。」
「そんな事言ったって先生じゃないですか!」
「でも俺、あいつ等と一緒にやった魔力測定思いっきり順位が平均値位だったんだぞ~。」
「え?元魔法師団長より上がいるって事ですか?」
「ああ、しかもああやって全員集まると俺なんて恐らく及ばない。」
「「「……何て事だ。」」」
そんな会話をされているとは露知らず、Sクラスはノノアの眼鏡を取り囲んでいた。
「おお!出来てる!次に移ろうか!」
ノノアの眼鏡の片レンズを、のぞき込むと全員がこちらを向いて笑っている……中には笑顔なのか?と言う方が何名かおりますが、静止画はとても良い感じです!
「次はぁ~紙へ写すのねぇ~。」
「そうだね!」
「写してそのまま色をつけるか?」
「そうしましょうか!」
ニコッ。
「「では!」」
‘’ピッ!‘’ピッ!
『『このレンズに写った景色をここへ!』』
眼鏡の下に紙を置いたところへ、すぅ~~っと静止画が降りていきました。
‘’ピッ!‘’ピッ!…………。
『『同じ色を付けて。』』
ふたりは凄い早さで念写された絵と本人を見比べて、指を動かして誘導しつつ、本人の色を絵にのせていきます。
‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!‘’ピッ!……。
「「ふう。」」
こんな感じかな?と、ロイを見ると微笑んでくれていますので、良かったようですね。
「いやぁ~。」
「だからね。」
「はぁ~。」
「……。」(眼鏡が戻ってきた。)
「いや、さすがだがな。」
「ですわね。」
何だか皆さんの目が凄く細ーくなって表情が固まっています。
「「なんだ?(ですか?)」」
皆「「「ロイ……アリィ……。」」」
うん~?またやらかしました?これもなのですか?
まあ、ロイと一緒に魔法を使いましたから魔力量は余裕で足りていましたからね。
何にしても……。完成ですね!
うう~ん!
出来ましたね!成功です!
「ん~……。」
マリーが少し何かを考えているようですね。
「でもぉ~。可愛くないわ~。…………あ!」
何か思いついたようですね。って……乙女モード発動?!
そんなマリーですが、ニッコリとたっぷりの笑顔軽く踊りながらリトへ断りを入れると、植木の土を少し集めてカミーユの元へ近づきます。
「カミーユ~。粘性の強度のある土出来る~?」
と徐に言うのです。
「ん?楽勝だよ!」
‘’ピッ!
土に手をかざす。
どうやら変化したようですね。
「ありがとう~。」
‘’ピッ!
人差し指をくるくるまわす。
‘’ピッ!
もう一方の手の上に炎が燃え上がる。
粘性の土は細く長くなり、編み物のように編まれてサークル状のようになった。
そして、火で焼きあがる。
さながら焼き物のリースですね。
どうやらマリーは芸術系だと、被服でも魔法でもすばらしい才能があるようです。
ピアの創造系と種類は少し違う能力ですね。
眼鏡の縁にあわせて丸い念写になった物に、マリーの仕上げた額縁をつけて……完成ですね!
皆さんと顔を見合わせて笑い合う。
ははははは!
「成功ですわね~。」
「良い出来だな。」
そんな風に出来上がったモノを眺めている私達。
だいぶ置いてけぼりな家族達は、一体何をしていたんだ?と見にきます。
「!」
「これは!」
「あら素敵ねぇ~。」
「良い思い出になるわねぇ~。」
と喜んでくださいました。
“写し絵”とでもいいましょうか。
とても素敵な、今日のこの一瞬を写した絵画。
コレはひとまずSクラスの教室に飾られる事になりました。
両親ズ「「「……。」」」
「そうか……こうやって次々と学園で好き勝手やっているのだな。」
ボソボソ。
「これは、他の生徒と一緒とか無理だろうなぁ~。」
ボソボソり
「学園に迷惑掛けることにならないかしら?」
ボソボソ。
「学園だけで済むといいのだが。」
ボソボソ。
先程まで一緒に喜んでくれていた両親ズが何やら集まってボソボソ喋っています。
ここからだとよくわかりませんが、ダン先生の「落ち着いてください。」と言う声だけ聞こえてきますね。
「大丈夫です。生徒達には研究内容を他へ簡単に漏らさないように言ってありますし、校長と私が内容は把握していますので。」
そして、最後は申し訳無さそうな顔で両親ズはダン先生に頭を下げていました。
「むしろ出来ないことはなんなのか?」
最終的にこの様なことを聞かれましたが……。
そこは考えたことが無かったですね。今後の研究にしましょう。
う~ん。ですが、とても素敵なパーティーになりました!
心から楽しいパーティーでしたね。
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レーベル・ハット
一通の手紙を見て固まるこの店の主人たるドランク。
「ナーシャ……。」
「どうしたの?」
「アリィちゃんからの手紙何だが……。」
「あらお手紙?最近はお陰様で忙しくてミーシャも会えていないみたいなのよね~。」
「そうだな。……。」
「んー?どうしたと言うの?」
「それがな…………麦わら帽子20個追加だ!」
「!!!」
「「…………。」」
『『有り難いけど、嬉しいけど、生産が追いつかな~い!!!』』
それを密かに聞いていたミーシャ。
「……しばらくは直帰ね。放課後デートはしばらく無理ね……。アリィ~!!!」
嬉し、忙し、レーベル・ハット大盛況でした。




