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残したい?



「残したいって言ったのか?」


ロイです。


ダンスを沢山楽しみましたから、お先に少し端で休憩がてらお茶をいただいていたのです。


「ロイも休憩ですか?」


「そーだよー。あー疲れた。」


にこっとアリィを見る。


「でも、社交と違ってすげー楽しかった!」


「ふふ。ですね。」


気兼ねなく過ごせるパーティーは心より楽しいものなのだと実感しました。カミーユやブロンクス公爵様、いろんな方のお相手させていただきましたが、ロロアくんと踊った時は頬をほんのり赤く染めていてとても可愛らしかったですね。


それに、近くで見るロイはとても素敵で……///。

うぅ。ダメです意識しないようにしていましたのに。何故ダンスというものはあんなに相手との距離が近いのでしょう~。


「あの……アリィと踊るの……凄く楽しかった。///。」


「……私もですよ。///。」


……はい。このふたり、周りの目が(主にクラスメイトと両家のお母様)気になって、一曲しか一緒に踊れなかったのです。

中でもルーイ様のニヤニヤがロイにダメージを与えていました。


お庭の中心を見ると今は、

リリーのお相手をアーノルドさんが、ロロアのお相手をシルビーアさんがしているようですね。


「ダン先生……結構上手ですね。」


「はは。そうだな。」



恥ずかしくなってしまった事もあり、少しの間ふたりで皆さんのダンスを眺めていたのですが、ロイが私に向き直ります。


「……で?」


さっき言ってたのは何のことだったの?と目で促してきます。


「え?ええ。うん。……今日がね、とてと良い日だと思ったの。私もすごく楽しかった!だから、何か残せないかな?と思いまして。」

ふふ。と微笑む。


すると、ロイもつられて柔らかく微笑む。


「残すって、例えば?」


「ええっと、今日来てくださった方々のお顔とか笑顔とか装いとかをまた思い出せるようなものが残せればと思いましたの。」



少し考えた顔をしたロイですが、その内にちょっとイタズラっぽい顔に変わりました。


「やってみる?」

ニヤリ。


「え?!良いの?」


「いつもの研究と同じだろ?」

にっこり。


「ありがとう!」

にっこり。


ええ、瞬発力の速さならSクラスの中で群を抜いているふたりですからね。迅速に行動へ移します。


「んじゃあ、みんな呼ぶか?」


「ええ、そうですね。」


……と、言うことでSクラス集合です!




「残したいって。……良いですわね。」

キラキラ!


「やってみるか!」

ふふ。


「やろう!」

ニカッ!


「たのしそうね~。」

ふふふ。


「……いつも通り。」

キラン!(眼鏡)


「まぁ~!いいじゃないぃ~。」

うふふ。


皆さん面白いこと見つけたー!という怪しさを放った笑顔をしておりますが、これももう日常ですね。



どこかを覗き見たりする高度な魔法や、純粋に人の手で描かれる絵画という物はありますが、“今この瞬間を残せる”という技法はラフレイン王国にはありません。


ですのでありのままの“今”をどう残すのか……未知です。

ふふふ。未知とか、楽しいですね。

これほどまでに可能性が広がるものはないのです!



と、言うことで作戦会議です。


「アリィの話を聞いて、残すってなると絵みたいになるかなと俺は思ったんだが。」


「まあ、そうなるだろうな。魔法道具とまではいかないが、紙に魔法を込める形になるのではないか?」


「絵画のように仕上がるようにって考えるとぉ~、想像しやすいものねぇ~。こういう場合はぁ~、どう思えば良いのかなぁ~?」


「……“見たままを写す”?」


「それはいいわね~。」

(ちなみにマリーは今ドレスなので乙女モードです。)


「見た景色をそのまま紙へ記憶させるってこと?」


「そうですわね。……見た“今”の景色を停止させて、静止画のようにそのままを写す、と言う所かしら?」


「そうですね。絵のようにしたいとなると、全て一緒に行うのは難易度が高過ぎますし、色は後回しでしょうかね。」


すると、まずどう“見る”かですね。皆で写るとなると誰かの目が必要でしょう。



「目……。」

「目ねぇ~。」

「ですわね~。」

「見たままを写したいからぁ~。」



「どうも人様の目に魔法を使うことには抵抗がありますね。」


「そうだなー。」


さすがに人体にどう影響するかわからない魔法を使うわけにはいきませんからね。動物さんも然りです。



とすると何か別の……。



「……あの~。僕の眼鏡なんていかがですか?」


ノノア以外「「「?!」」」


「……目ではないですが、“レンズの向こうに写るもの”。……でどうでしょうか?」



ノノア以外「「「……!おおーー!!」」」



思わぬ絶叫にも近い声に、踊っていたり、お茶を楽しんでいた皆さんが集まっている私達に気づいたようでした。



「レンズの向こうに見えている景色を紙へ移せばいいのね~!」


「まってぇ~!一度レンズに記憶させないと映像になってしまうわぁ~。」


「ああ、確かに!」


「すると、レンズの向こうに写るものを見て、見える景色を静止画で記憶させて、その後に紙へ写すってことね。」


「色はどうしますの?」


「最後に本人と、本人の絵を見比べて、同じ色を乗せるように魔法を使えば良いのでは?」




「……それ、たぶんアリィとロイしかできないですわ。」


「そうなのか?」


「……相変わらずのふたりね。」


なにやらピアに随分な目でみられています。

ついで他の皆さんからもため息が漏れています。


なんでしょう……。

この呆れられている感じは……。ロイと目を合わせますが、この何とも言えない感でお互いに何もフォローできません。

ただ見つめて…………もう忘れる事にしました。



「……やってみますか!」


皆さんにやっと認めた~と軽く笑われて、早速とりかかります。




と言うことで!途中から私達を見ていた家族の皆さんを呼び寄せます。


「皆さん集まって~こちらへ並んでくださ~い!」


「なんだなんだ?」


と疑問顔で集まる皆さんですが、何をしてるのか見当もつかないようで、とりあえず言われるがままに並んでくださっていますね。


そして、ノリノリでいきなり研究を始めたSクラスは、当然今やることに集中していて誰一人として集まってもらった皆さんに説明する事を忘れています。



「ノノアの眼鏡この辺りでどうかな?!」


並んでくださった皆さんの対面にいるカミーユ。


「全員入ってるぅ~?」


「ああ、オッケーだよ!」


少し離れた位置に設置して戻ってきました。



ただ見ていた両親達は、何をしているの?と言わんばかりの表情ですね。


「お前達、また何か始めたな?」


さすがにダン先生がいつもの空気に気づいてやってきました。



そんなダン先生にはひとまずキラッキラ笑顔を皆で向けます。


「うわ!なんだ!全員笑顔って……なんか不気味だぞ?」


もう好奇心を押さえられないので、説明やらなんやらは後回しにしたいのです。笑顔で押し切りましょう。



『ダン先生すみません!!』



上手く出来ますように!


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