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心配



今日は一般の方もおりますので、畏まらずに楽しんでいただけるように軽食を用意してのガーデンパーティーです。


いろんな料理がテーブルに並べられていて、立食してもよし、テーブルについてゆっくりと食事をしてもよしと言う、要は好きにして~~状態にしてあるのです。



ですので、先程から皆さんひとまず腰掛けてお話ししていたのですが、


「「「「これは……何?」」」」


半数以上の方がそう言って驚いていた食べ物は、パイナップルでした。



ええ。学園で育てていたパイナップルです。ついに立派な果実に成長しました。

せっかくですので本日御披露目する事にしたのです!


「そちらはパイナップルですわ。」


「南の果物だね。」


「学園で育てていたものが食べ頃になっていたのぉ~。」


「せっかくの機会ですし、皆さんと食べようと思いまして。」


「……です。」


それぞれが言葉を発しながら甘美な表情でにこやかになっていきます。

そう。思わずノノアまでもが表情が変わるほど美味しいのです。とても良い出来具合なのです!


「うん。美味しい!でもこれが育ったのか?ここら辺の気候では普通育たないのではないのだろうか…………。」


『……おまえ達は学園で他には何をしたんだ?』


一瞬で不安を感じた両親達。


そう思った親心を解るはずもない子供達であるSクラス一同。

育ったパイナップルを自分達も満足げに堪能しながらさらにもう一つ言い出してみます。


「もう一つあるんだ!」

ロイが見てくれ!と言わんばかりに切り出します。


「あれよ!」

マリーがテーブルの端側においてあった紫色のケーキを指差します。


両親ズ『『『なんですか?この奇妙な紫色したケーキは??』』』


目を見開いて固まっていることに子供達は全く気づきません。


「ああ。そちらですよね。今日はケーキですか。紅芋、とてもおいしいですよ。」

微笑むルーイ様。


両親ズ「……………………。」



学園で友人達と仲がいい事は聞かされていても普段何をしているのかを詳しくは知らない両親ズ。


聞いたとしても、魔法測定をした。親睦会があった。庭園が出来た。と、そのような感じです。


というのも、内容よりも学園に入ってからというもの急速に親しくなっていった学友の話をしてくれる事がほとんどだったのです。

余程それぞれが新しくできた楽しい友人を、いかに気に入ったか!という表れでしょう。



しかし、やはり不安と焦りに拍車が掛かる両親ズ。


「……良い機会だ。学園に入ってからどんな事をしてきたのかを教えてはもらえないだろうか?」


「そうですな。」


「ええ。聞いた方が良さそうですね。」



皆「ん?」



何故急に?

と、何にも意図がわからない子供達です。


皆で顔を見合わせます。


ですが、私達もそれぞれが、あまり両親にお話ししていなかった、と思う所があるようで、聞かれたようにお話する事にしました。



「学園での研究はどんな事を今までしてきたのですか?」


じーーーっと見られる私達。


何か、疑惑の念を感じますが、プチ報告会をしましょう。



両親達が疑惑のきっかけとなった、パイナップルに紅芋。


このあたりでは普通育たない南の果物と穀物。普通は馬車で1日以上時間をかけて運ばれてくるので数は少なく割と高価な食べ物なのです。パクパクと食べてしまいましたが、そんなものが普通に収穫出来たと聞くとなんだかとんでもないことをしてそうだと急に焦ったようです。




それから…………両親達に言われてこれまでの学園生活をお話ししました。


まあ、校長室先生から口止めされていることもあり詳しくは話せない部分もあるので、たぶん話しても良いであろうという範囲で掻い摘まんで話しました。


やってみよう詠唱魔法やら、魔力の上乗せ。毎日の鍛錬の話や、魔法道具を考えて作ってみたりしたことを話しました。


……何となく言ってはいけないであろうと思われるミサンガのことや、庭園の魔法道具の詳しい説明などはさらっと流しておきました。


と言っても魔法に精通している方々も複数人おりますので、その方々には何となく原理や、どんな思いを込めたか感づいていそうですがね。


途中、魔力の上乗せの話が出た時には無詠唱魔法の使える方々はピクリと反応していましたし、魔力の鍛錬の話をすると詠唱魔法しか使えない方々も真剣に食いついて話を聞いてきました。


……大丈夫でしょうか?とダン先生をチラリと見ると、ポリポリと頬を掻いてのんびりと話を聞いてらしたので許容範囲内のようですね。

『よかったです。』



そんな風に一通り話が終わると、予想以上にはちゃめちゃに好き放題に過ごしていることを何となくは理解した両親達。


ダン先生に向けて勢揃いで深々と頭を下げて申し訳無さそうに挨拶していました。


「世話になってるのは俺の方だから気にしないでくれ!」


とダン先生は男らしくて寛大なお返事をしています。


それに対して両親達は嬉しそうに微笑んでいました。


『いや、ほんと俺寝てるだけだし。』

そんな事を考えているとは誰も思いません。



『じーーー。』

……いや、ダン先生を「先輩」と呼ぶ4人は頭を下げつつ、感謝もしつつもダン先生の心情を目ざとく察知していたかもしれません。




意外なことにそんな空気を変えたのはカミーユの父でした。


「でも、なんだか商売の匂いがするな~!」


「あ!さすがだね。わかる?!」


「そりゃあな~。俺だし!」


「「はははははは!」」


カミーユ親子の目が光っています。


ピクピク!商売人の目の輝きはちょっと怖いですね~。


「いや~すまない。君達がしている研究の物を商品に出来そうだと思ったんだ。」


「商品……ですか?」


「ああ。そうだ!パイナップルに紅芋それから……。」


カミーユのお父様が言うには、庭園で育てている南の食べ物や北の食べ物、それから品質の良い薬草に加えて魔法道具の釣り竿は商品としてとても魅力的だと仰いました。

それから、ミサンガや麦わら帽子は品質・デザイン共に素晴らしくて人気が出そうだと思ったそうです。



「まあ。ですが帽子は私がレーベル・ハットに依頼して作っていただいたものですから。」


「おお、それは残念です。」



両親ズ『あれは、レーベル・ハットで作られたものだったのか~!!』



「ん?どうされましたか?」


なんだか一瞬皆さんの表情が変わった気がしたのですが、気のせいでしたでしょうか。


「いいえ、なんでもないですわ。ほほほほほ~。」




商品になりうるもの。


確かにカミーユも時々考えていたようですしね。

まあ、いずれカミーユを中心にして考えてみるのも良さそうですね。と皆さんと合意した感じで終わりました。


「何か力になれることがあれば協力するよ!」


と言ってくださったカミーユのお父様のご厚意にはとても感謝ですね。




それから、リトに踊りやすい音楽を用意していただいておりましたので皆さんでダンスです!


踊れるとか踊れないとか、そんなもの関係ないのです。


貴族組とその両親がそれぞれお相手の今日初めてダンスです!な方々をリードする形で踊ります。


お二人ずつで組んで、音楽に合わせて庭園の中をゆったりと踊ります。

沢山のお花に囲まれて、その香りと流れてくる風がそよそよと頬を撫でます。

大きな木陰の中で、初めてのダンスに戸惑いながらそして笑い声や豪快な話し声、少しからかいの声も聞こえてきます。


とても貴族邸の中でのガーデンパーティーとは思えないような光景でしょう。

しかしながら、そこには一切の裏の感情や探り合いなどの策略はなく、地位も何もかも関係なく、ただ楽しく、ただ笑い合う素敵な光景が広がっていました。


シアード伯爵家の使用人達やマリーについてきた侍女さん達も楽しそうに笑ってこちらを見ています。


「あら、リトー!あなた達もマリーの侍女さん達のお相手してね!」


「え?私達もですか?」


「そうですよ。」


「そうだぞ。」


「旦那様と、奥様まで。……かしこまりました。では他の侍従にも。」


一瞬戸惑いを見せたリトでしたが、一礼して柔らかく微笑むと戸惑っているシルク家の侍女さん達と踊り出しました。


「ふふ。それで良いのよ~!楽しんでね。」


♪~♪~♪~。


とても素敵な時間です。

素敵な1日になりました。

皆さんにもドレスやタキシードやダンスを楽しんでいただけて良かったです。


思い思いに楽しんでくださっている皆さんを眺めながらアリィはボ~ッと今日を振り返っていました。



「……この素敵な集まりがあった今を残したいですね。」




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