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大きな木の下で


「ほ~。すごいな~。」


「ロイの言っていた木陰ってこうゆう事だったのねぇ~。」


「……まあ、確かに本来貴族邸にある感じはしませんね。」


「でも素敵ですわね。」


「ああ。これほどとは驚きました。」


「見るのは初めてでしたからね!」



シアード伯爵家。

その庭園はとても綺麗に設計されており美しい。

しかし、屋敷の真横に位置する庭は少しテイストが違う。知らぬ者が見ると、もはや庭なのかも怪しく思うほど、どこからどう見ても森にしか見えない。とにかく木が多いようだ。その上、周囲を庭木で囲んでおり、中の空間へ入るまで内部の様子を窺うことはできない。


今回はそこがガーデンパーティーの会場なのです。


森の中へ入ると、目に飛び込んでくるのは一本の木。


そう。一本のなのです。


森に見えていたものはすべて一つの幹から伸びていたようです。

しかしながら、ひとつの木だけに見えないほどの枝の広がり。この空間のほぼ全てに影を落とせる程に葉も生い茂っています。


暖かい国で育ちやすいモンキーポッドと呼ばれる木に形はそっくりです。


普通のモンキーポッドと違うのはこの土地でも何故か育つという事と、春から夏は白い花を。そして、秋冬にレモンの実をつける。

この国では北の一部の地域以外は冬でも割と暖かいのですが、我が家のこの木については……気候の違いと言い、実が付く事と言い、普通ではないのです。

どうやらご先祖様が試しに掛け合わせて作ったらしいのです。


レモンはまだですが、今は大きな木に葉がこれでもかと生い茂り白い小さな花を沢山つけています。



「確かに。この木陰の下でなら涼みながらのお茶会ができますね。」


皆様に驚いて頂けたようで何よりです。



「ふふ。では始めましょうか。」



ですがやはりと言いますか、お互いにお初にお目にかかります!と言う方がほとんどですので、まずは自己紹介大会となりました。


どの御家族の方々もとても素敵で良い人そうです。

なかなか打ち解けてきたようですね。家柄や年齢等に関係なくお話が弾んでいるようです。




「お~い、バルバド!ルイーズ!」


「「げ!」」


すぐさま逃げようとするが隠れるところがなくいつも通りにすぐにダン先生に捕まっているおふたり。

そして----。


「お~い、お前達も待て?軍総司令殿?そして、その奥様?」

ニヤリ。


ダン先生の目線の先には、ブロンクス公爵夫妻がいた。


「なあ、ワイマール?レイン?」

ニヤニヤ。


ものっすごく冷や汗をかきながら、思いっきり作り笑いのおふたり。

先ほどまでの公爵夫妻様の素敵な立ち振る舞いはどこへやら……逃亡することを諦めたのでしょう。


「お久しぶりです。ダン先輩。」


「先輩、息子が御世話になっております。」


ぺこりぺこりと頭を下げる、ルーイ様のお父様とお母様。

それをやや離れたところからみていた息子であるルーイ様。


「……うちの両親もでしたか。」


「……そうみたいだな。」

「……ですわね。」


言わずもかな、ルーイ様、ロイ、アリィです。

いつもの両親達との違いに、面白さよりも何かを諦めた感でいっぱいになった3人でした。




「……うちの両親は、シルク伯爵夫妻とお話しているようですね。」


「ええ。ノノアのお父様は国立図書館司書長でしたよね。ですから私のお父様と面識があるのでしょう。」


「……マリーのお父様は文官だっけ?」


「ええ。何かと

調べ物が多いみたいだからな。」




「私達の両親はお父様方がなかなかフランクな人達の集まりなようですわね。」


見るとピア、ミーサ、カミーユの御家族様達が集まってどの方々よりも砕けた感じで話しているようでした。


バシバシ!

ガシガシ!

ガッチリ!


お互いに肩などを叩き……触れながらなかなかに脳筋……体育会系なコミュニケーションをとっておりますね。もう肩まで組んでいますし。


「すみません、お父様は好奇心旺盛な性格でして……。」


「うちはぁ~厳ついけどお調子者だからぁ~……。」


「うちは~商売柄図々しくて……。」


「「「何か、申し訳ないね。(わぁ~。)(ですわ。)」」」




皆さんそれぞれ思い思いに過ごしていますね。


「ふふ。賑やかで良いわね、アリィ。」


「皆さん良い方々ですね、ロイ。」


アリィとロイの両お母様が私達の所へやってきました。


「改めて、皆さんにご挨拶したくて来ましたの。」


「話はふたりから聞いています。皆さん、私達の子供達といつも仲良くしてくださってありがとう。」


「アリィやロイくんの昔と今回のこと、いろいろあったけれど今この子達が変わらずに楽しく過ごせているのは、皆さんがいてくれたおかげです。」


深々と頭を下げるシアード伯爵夫人。


「ロイやアリィちゃんの事これからもどうかよろしくお願いしますね。」


ついで、オルビン侯爵夫人も頭を下げてきます。


「「「「「「や!やめてください。」」」」」」


「どうか、そんな事なさらないでくださいませ。」


「そうですよぉ~。良くしていただいているのは私達の方ですから。」


皆さんは、「こちらこそお世話になっています。」と、「勿論です。」と。口々に言ってくださいました。



……そこまでは良かったのです。


素直に、お母様!皆さん!と嬉しさを感じでおりました。


しかしながら、クラスメート6人+お母様達の8人は皆でニヤニヤとし始めたのです。


『このやり取りって、ふたりがもう許嫁みたいですね。笑。』

ニヤニヤ。

『そもそもふたりの母親が揃って挨拶にきて、ふたりを宜しくって言っている時点で……。笑。』

ニヤニヤ。


それになんとなく気づいたロイは顔が真っ赤っか、全く気づいていないアリィはハテナ?な顔でした。


急に御礼を述べに来たまま、謎にニヤニヤし始めたお母様方。なんだったのでしょう?

そんなお母様方ですが、どうやらまだ話の続きがあるようです。


「そうそう、あなた達みんな麦わら帽子を普段かぶっているのですよね?」


あれ?話が変わりましたね。


「ええ?そうですが。」


『いったいなんなのでしょうか

?』


「そうそう、麦わら帽子よね!」


「ああ!その話は私達もあるんだ!」

トコトコ。


「私もその件を話そうと思っていたんだ。」

わらわら。


向こうでそれぞれゆったりとお話されていた方々も私達のお話の内容が聞こえていたのか近づいてきます。


あれ?この感じどこかで……。



「「アリミア」」


「「ロイヤード」」


「「エルメイ」」


「「ピアース」」


「「マリアナ」」


「「カミーユ」」


「「ミーサ」」


「「……ノノア」」


いつの間にかこちらを見つめる全両親。


『なんでしょう?全両親からの一斉の声掛け!怖いです~。』


「「「「私達も麦わら帽子かぶりたい!」」」」


し~~~ん。


皆「…………。」


向こう側で、やや暴走気味の両親達を見て……一瞬の驚きと共に頭を抱えたり、呆れた表情を見せるリリアナ、ロロア、アーノルド、シルビーア。


そして、盛大に笑い転げているダン先生。



『えーーっと。』



『帽子をかぶりたい。』

と言うことは……。



……はい。用意してって事ですね。


皆「…………かしこまりました。」


皆で素直に承っておきました。何か違うことを言ってしまうと、後々の収集がつかなそうです。……面倒とか思っていませんよ。決してね☆


全員そろっての、凄い勢いで言われたのです。

大の大人がそろいもそろってです。余程気になって……羨ましかったのでしょうか?


チロリと皆そろって見てみますが、やはり詮索するなって言う怖い目をしています。


これは、懇願してるってことですね。わざわざ他に何か問うと完全に火に油です。大人しくご用意させていただくことにしましょう。



両親ズは、本当に羨ましかったのです。今まで見たことのない素敵な帽子をかぶって帰ってきた子供達。

デザインも品質も申し分なくては日常でも多用できる機能的でもある帽子。


『自分達も欲しい!でも子供に欲しいとなかなか言いづらい!でもどこで手に入れたかも聞いてないし、そもそも手に入れた時点で真似してるのは明白……。いや、ここは押し切って用意して貰おう!私も欲しい!』


これが両親ズの本心だった。


『大勢集まれば怖くない!』


と言うことで皆さん便乗したのです。

……ちなみに、アリィとロイのお母様達が一緒に来たのも、そうゆう事です。



「しかし、こんなに心許せる友人が沢山出来るとは。」


「幸せだねぇ~。」


「いつも研究しているんだろう?なんて……羨ましい。」


「本当ですわよね。授業はない、好きなものを自由に学べる、そして実現できるその力もあるようですし。」


「なんて楽しそうなんだ!」

モグモグ。


「というより、学園へほぼ友人に会いに行っていないか?……ん?」

モグモグ。


「なんて良い生活なんでしょう?……あら?」

パクリ。


「単純に羨ましい!……お?」

モグモグ。



「…………。」


そこで、やっと気づいたようです。

テーブルを囲んで座り、お話をしながら何気なくいただいていた……この黄色い果物……何?!



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