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忘れ草




『え?!?!』



「戻せない??」



「記憶を戻せないのですか?」


「……元に戻す薬はまだ出来ていないのです。」


ノノアが言うには、この薬草を使う場合、本当に憶えているのも辛い記憶を忘れたい場合だそうです。


ですので、誰も戻そうとはしなかったのと、この花自体が10年に一度しか咲かないと言われるほど貴重な花なのだそうです。


「……確か図鑑等には載っていなくて、特別許可の必要な古い文献に載っていたはずです。」


「……確か、内容は……。」



※※※※※


忘れ草…………それはとても綺麗で透き通る不思議で魅惑的な花。幾重にも重なり合う花びらが見事な一輪でも存在感のある見た目。その香りを嗅いだ時に見ていた人との近い記憶を忘れさせる効果がある。

また、より多く香りを嗅ぐか、薬にして飲む事で過去の記憶を消すほどの効果が得られる。


※※※※※



という事が書かれていたとノノアが教えてくれました。





「忘れた?」




「アリィ。大丈夫ですか?」


周りにいる皆さんが何か声を掛けてくれているのはわかります。

わかりますが、全く耳に入ってきません。




「----。…………。」



「ロイ?」


ボーッとしたままのロイを目の前に、涙が溢れ続けています。



「ねえ、ロイ?」



何かが起こって欲しい。

思い出して欲しい。



いつも隣に居てくれて、毎日私を見てくれていたロイ。忘れるなんて…………憶えていないなんて…………とても受け入れられません…………。



「ロイ?」


何度声を掛けてもやはり何も反応してくれません。


それでも、


「ロイ!」



「うぅ。」


急にロイが少し頭を抱えて反応しました。


「ロイ!?」


『今、何が?』





「ミサンガですわ!」

ピアが突然叫びました!


「アリィ、ロイのミサンガに魔力が集まっていますわ。」


力が入り無意識に自分の魔力をロイへ流していたようです。


「何が起こったんだ?」


「ミサンガ?」


「ミサンガの……何かの効果がロイに効いていると言うのですか?」


「何とも言えませんわ。ですがそのまま、もう少しミサンガを使ってみましょう。」


ええ。ピアの見た通りなら何か変わるとしたら今はコレに頼るしかありませんね。

『お願い!』

そのまま魔力を注ぎ続けます。


しばしそのまま皆見守ります。



ですが、


「変わり、ないのか?」


「……この魔法道具の効果だけだと弱いみたいですね。」


「余程あの花の持つ魔力効果が強いのですね。」


「やっぱり、対抗薬がないとダメなのかしらぁ。」



もう何も出来ないのでしょうか?

『このままではロイは……忘れたまま?』



「アリィ?」


「アリィ大丈夫?」


「アリィ。」


周りの声はもう全く聞こえていませんでした。






『……忘れたままなのですか?』




『本当に、忘れたの?』




『忘れたなんて…………。』






涙----は止まりました。






「私を忘れたってことですか?」 


なんかもう悲しみを通り越して--もはや……怒っています。




ノノアから忘れ草を受け取って自分の手に持ち、花をジッと見つづけます。


『この花が。このお花がロイを。私がロイにぶつけなければ……そもそも、私が見つけてしまったからいけなかったのですね。』


『ですが、こんな花の力で私を忘れるのですか。花に負けるの?私を……。私の……。』


ブツブツ。



「返して。ロイを返してください。」

ブツブツ。



パチ!


皆さ「ん?」


パチパチ!


私は今まで使ったことのない程の魔力を手に込めます。

手の周りがパチパチと音を立てる程の魔力。

私のミサンガも合わせて反応しています。

もう感情に任せて集められるだけ魔力を集めています。




皆「え?!」




パチパチパチパチ……。





「忘れてるんじゃ、ないわよー!!!!!」





バチバチバチバチ!!!






……ぽうん。






…………何かできました。






皆「え?!」






「金平糖?」



私の手にあった忘れ草が消え、変わりに金平糖みたいな物がいくつかあります。



『なぜ金平糖?……なんです?これは?』



……まあ、いいです。私は怒っているのです。

私を忘れたロイにも、あの花にも、そして自分自身にも!





手に出来たソレを見つめる私。いろいろと疑問はありますが、いろんな感情が入り混じったまま半ば強引に自分を保ち自分を突き動かしている私です。


急に出来上がったソレを慎重に観察したりするはずもなく、食べ物であれば食べれるんでしょう?と何も疑問に感じることなく行動します。





「……よし。味見。」


皆「味見?」



パク。

「うん。美味しい。食べれる。」


皆『は?美味しいとか今いる?』



……とりあえず、ちゃんと金平糖のようです。何か出来たのなら、食べさせてみましょうか。


「はい。ロイ食べてねー!」


口を開けて食べさせます。



「…………。」

もはや皆さんはただただ傍観しております。



ポイッとロイの口の中へ~。




「ってえ?!」

『何で私が光る…………。』




「…………。」

「…………。」




ぽわぁ!ロイが光に包まれます。

「……アリィ?」



「…………えーと。なぜそんなに泣いてるの?」




皆「ロイ!戻った?」


皆「……ってえ?!アリィがまた泣いてる?」


皆はもうついていけていません。



それもそのはずです。ロイが急に喋るようになったと思ったら、同時に今度はアリィの様子がおかしいのです。


大粒の涙をこぼしながら、全く動きません。





『ロイ……これを探していたのね。』






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