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ノノアのやりたい事




「召喚ってしてみたくないですか?」


「はい?」


ある日ノノアが言い出した。




「召喚ってあの何か出てくるやつですか?」


「……正確には呼び出すですけどね。」


「まあ、見てみたい気はするよね。」


「自分が契約したいとかは無いけどね。」


そうです。よく魔法使いが連れている動物だったり、精霊だったりという方々の事ですね。

自分に使えてくれる使い魔という方がいるらしく、正しいやり方をすると呼び出せるそうです。



「ずっと古い文献で見たりしていて気になっていたんですよね。」


「ああ、やり方は結構本に書いてあるからな。」


「ええ。ですが、ひとりで呼び出すのは少し不安でしたのでやったことはありません。」


召喚するにはそれなりの魔力量が必要です。この点については問題はないですが、心配なのは次です。


召喚すると、自分の持っている魔力の質に合わせて何かしらが出てきてくれる。と、この学園の教科書に書いてありました。

(入学してすぐに読み切った教科書の一部です。)


ですので、どんな者が召喚されるか出てくるまでわかりません。そして、その際に制御出来ないと暴走する事もあるのだそうです。


ノノアがいっていた不安とはそういう事です。


「まあ、魔物と違ってただ暴れるだけではなく、いたずらとか嫌がらせって感じの暴走だと聞いたことがあるが、規模がわからないものな。」


「いやでもいたずらって、魔物と違いしっかりと自我があるということだろう?その方が厄介ではないか?」


「まるで開けてみないとわからないビックリ箱ですわね。」


本当そうですね。ですからノノアもこの皆でやってみようと思ったわけですね。


「でも教科書には召喚の正式なやり方や必要な魔法陣の書き方とか載ってなかったわよね?」


ええ。教科書は召喚っていうものもありますよ~。と一応書かれていた程度でした。


「それをこの本から見つけたのです。」



随分と古い本のようです。

それを皆で覗き込むと、


「必要なのは、こちらとあちらを繋ぐ扉をモチーフにした魔法陣。」

扉に魔法陣が書かれた図が載っていますね。


召喚とは、違う世界にいるとされるものをこちら側--つまりは私達の住まう世界と繋げて来て貰うことを言います。


内容を見てみますと、


「魔法陣には契約者の名前を組み込む。」

「そして、契約者の大切にしている物。」

「あとは、呼び出す際に使い魔に必要な素材。」


ちょっと古い本なので字は読み辛いですね。


「そして――素材を魔法陣に付けるそうです。」


不安要素も大きく、実際に試したことがある人が少なすぎて、この文献にのっている事のそれぞれ必要な意味はわかっていないそうです。


研究は進んでいるがそれに見合う魔力量がなかったり、合ったとしても、どんなものが出てくるかわからない召喚を喜んでやる者はもっと少なかったとだとか。


なので、古い文献通りにやってみるしかないのであります。


「ちょっとレアな素材以外はすぐに手に入りそうですね。」


「簡単に手に入るのは、魔物の牙、魔物の羽かな。」


「これは、近くの森に行けば手に入りそうですね。」


「素材は供物みたいな物なのかな?」


「何なのかしらねぇ~。」


「あとのひとつはすぐには手に入らないからこれは後日ですね。」



ひとまず必要な物は解りましたし、これは……冒険ですね!

キラキラキラ。

皆さん目が輝いていますね!



「じゃあ、皆で準備しようか!」


「よろしくお願いします。」


「まずは素材集めのために、森で魔物狩りかな?」


「そうしましょう!」


キャッキャッと盛り上がっています。そんな時。


「あの~。」


「ん?マリー?どうした?」


何かマリーはノノアを横目で見ながらこちらで皆に話します。


「ノノア、今日凄く喋りますね。」


「「「!」」」


「本当だ!」


よく見るといつもより少し頬が高揚していて嬉しそうに見えます。


「好きなことだと物凄く饒舌になるのね?」


言われるまで気づきませんでした。

こんなにハキハキしたノノアとお話するのは初めてでした。




※※※※※


では、行きましょうか。

森へ入る準備はバッチリです!


水や食料、武器や装備……など準備するはずもなく、買い足したのはポーションなどの回復薬くらいですね。

後は魔法でどうにでもなります。


この中で森に入り、冒険や魔物狩りをしたことある人はいませんでした。ですので、今日は珍しくダン先生が起きて同行しております。

当たり前ですよね。寝てたら歩けません。


森には魔物と呼ばれるものがいます。邪心などの負のオーラが魔物を作り出すと言われております。

要は、負のオーラが濃い魔力の塊を生み出し、それを吸収した生き物が魔物となります。しかし、人間的は魔力をコントロール出来ますので負のオーラに流されるという事は無いそうです。


今日の目的は二つですね。


「魔物の牙と、魔物の羽。ってどういった物でもっていいのでしょうか?」


「……それがですね、特に詳しく書かれた物が無いのでひとまず何種類か集めてみようかと思うのですが。」


もう、文献が古すぎてよく解らないという箇所もあります。それに身近で使い魔を連れてる人なんて聞いたことがありませんから、試してみる事でしかわかりませんね。


「そうですね。」


「そうしましょう。それに魔物狩りも皆初めてですのでそれも良い経験ですね。」


魔物狩りにワクワクしているSクラスメンバーです。


「お前らなぁ。本当は魔物狩りだって次年度の後半なんだぞ。」


「え?そうなのですか?」


あらまぁ。そんなに魔物はお強いんでしょうか。


「そうすると、私達危ないですか?」


少し不安になりました。


「…………いや。危なくないと思うぞ。」


「え?」


「戦ってみれば解るさ。」



そうですね。戦えばわかりますね。

ひとまず森の奥の方へ適当に進みます。





「しかし、魔物いなくないか?」


ええ。そうなのです。

先程から全然魔物に出くわさないのです。


「そりゃあそうだろうよ。」


「え?ダン先生何故ですか?」


「強烈な魔力がこれだけ集まってれば寄ってこないだろうよ。」




「「「…………はい?」」」




――――――――――――――――――


ダンは気になる。


「なぁノノア。あの本てどのくらい出来てるんだ?」


「あの本ですか?」


「Sクラスの本だ。」


「ああ。まだ一冊分になる程ネタが貯まってないのですよ。」


「そ……そうか。」

ガックリ。


「やっと今までの出来事のポイントを纏めたものは出来ましたし、これから頑張りますよ。」


「!」


何?!

「その纏めたものを見せては貰えないだろうか?」


「ええ。良いですが、ダン先生もご存知の内容ですよ。」


「俺の観点から見て足りない箇所がないか、気づきがあれば良いかと思ってな。」


「ああ。それはそうですね。是非ともよろしくお願い致します。」


『やったー!』

「おお!任せろ。」


『へへ。これで校長への報告も心配ないな。』

ニヤリ。


世の中上手くいくときは上手くいきますね。


ダン先生は悪知恵が働きます。



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