友
「うぅ。」
フラフラ~。迂闊にもちょっとよろっとしてしまいました。
何でしょう?先程のカクテル強いお酒だったのですか?
ガーン。やってしまいました。
完全に私のミスです……。
「大丈夫ですか?」
パシッと腕をつかまれます。
あれ?私確保されています?
ちょーーっとカクテルで酔ってしまい上手く力が入りません。
「少しお庭に出ましょうか。」
「え!嫌です。」
それでもエスコートみたいな形で連れて行かれます。
「何故です?私は幸せにしますよ!」
「結構ですわ!あなたみたいに失礼で勝手な人。」
何なんですかこの方は!
「あなたはそんな事を言うはずがありません。」
どんどん外に近づいて行きます。
どうしよう。
「それともオルビン侯爵家のアイツがいいのですか?」
は!
そうです!ロイ!
『近くにいません~。涙。』
でも、どうしましょう。どうしよう。手痛いです。近いです。
『もう、いやー!!!』
?あれ?今もしかして。
「やっぱりあいつがいるから私の事をみてくれないのですね。」
「あいつより。私の方が幸せにしますよ。」
そう言って抱き寄せられそうになる――――。
ちょっと本当に勘弁してください!
イヤッ!
「おい。何をしている。」
凄く低い声ですが……ロイ?
声のした方を見ると物凄く怖い顔をしたロイがいました。
「今すぐその手を離せ!」
ロイです!来てくれました!
「そうですよ!離してください!」
抱き寄せられそうになったのを突き放そうと試みます。ぐぐぐぐ!
「酔っていたはずでは?」
「それはさっきまでのお話ですわ!」
「おい。離せ!」
「そして何故お前が出てくるんだよ!」
「アリィが俺達を呼んだからだよ!」
ぐい!ロイがマデラ様を引き離します。
「ありがとうロイ。」
「って、え?」
そのまま肩を抱き抱えられました。へ?
思わぬ近さにドキドキです。
「は?呼んだ?」
マデラ様は何を言ってるんだ?という顔をしています。
「そうよ。呼ばれたわ。」
「ハノア侯爵令嬢?」
「まさか本当にやらかすとは、驚きだ。」
「ブロンクス公爵家のエルメイ様……。」
「アリィ。大丈夫か?」
「シルク子伯令嬢?」
マデラ様は驚いております。
まあ、そうでしょうね。
皆さんが来てくださったって事はやはり。
「ああ。ちゃんと効果があったな。」
「っとと。」
私は安心して少し力が抜けたようです。ロイにもたれ掛かってしまいました。
「助かりました。」
「しかし。公爵家の夜会でまでやらかすとは。」
そうですね。若干この辺りはざわざわと騒ぎになっています。
「ルーイ様すみません楽しい夜会の雰囲気を壊してしまいまして。」
「あなたが謝る事ではありませんよ。」
そう言うとマデラ様を見るルーイ様。
ビクッ!小さくマデラ様の肩が動きました。
「また、無理やり何かしようとしたんですの?懲りない方ですね。」
今度はピアがマデラ様に詰め寄ります。
「無理やりではない。アリミアには私が良いはずなんだ!」
「はぁ、あなたのその変な自信には驚きますわ。」
もう、ピアもルーイ様も呆れています。
「しつこいともっと嫌われますわよ!」
とマリーがいい感じのとどめを刺してくれました。
「もっととはなんだ!もっととは!」
しかし、ロイは。
「いい加減にしろよ。アリミアが嫌がっているのが解らないのか。しかも無理やり抱き寄せようとしたりして。」
あ。物凄く怒ってくれていますね。
しかし、このままだとロイがマデラ様をボコボコにしてそっちの方が騒ぎになりそうですわ。
「ありがとう。ロイ。ですが、もうこの方は放っておきましょう。これ以上ブロンクス公爵家にご迷惑をおかけしたくありませんから。」
私がそういうと、ロイは渋々落ち着いてくれました。
「マデラ伯爵家のニコラルド。もうこれ以上騒ぎを起こすな。」
と、ルーイ様が一喝すると、
「申し訳ございませんでした。」と、ブツブツ良いながら去って行きました。
「ふう。アリィ、良かった。」
私の両手を握って、無事だと確かめてくれているようです。
「ありがとうごさいます。皆さん。」
本当に助かりました。
「そうだぞ。ロイは何故アリィのそばにいなかった?」
「悪い、おじ様達につかまってしまっていた。」
しょんぼりしています。
「そんな。いつも付きっきりと言うわけにはいきませんもの。すみませんでした、ロイ。」
申し訳なかったですね。
ロイの手を握り替えして、
「心配してくださってありがとう。」
と伝えました。
「しかし、作っておいて良かったですわ。」
「そうだな。」
皆でミサンガをみる。
「ですが、皆さん何故わかったのです?」
「それがな、アリィの困ってる顔とマデラの顔が頭に入ってきたんだよ。」
「あら。そんな事が?」
「ああ。不思議な感覚だったな。」
凄いですね。そんな事が起こっていたようです。
「アリィ自身は何か起きたのか?」
何か?うーん。思い返してみると…………アレですかね?
「あのー。何故か結構お酒に酔ってしまっていたはずでしたのに、急に楽になりました。」
「え?」
「酔いが覚めたのですか?」
「はい。多少酔ってはおりますが、フラフラするほどの酔いはなくなりました。」
「……一体誰が?」
これは謎ですね。
「学園が始まってから聞いてみましょうか。」
「と言うことは、アリィ。強い酒飲まされたのか?」
あー。正確にはマデラ様に気づかずに飲んでしまったのですが。
「いいえ。大丈夫ですよ。」
「本当あいつは、何てことしてるんだ。」
「まあ、今大丈夫でしたら良かったわ。」
5人でのほほんと会話出来る空気になった頃、周辺のざわつきも収まっていました。
「アリィ。せっかくですから気分転換にダンスでもしてきたらいかがですか?」
とピアに勧められました。
「そうだな。」
とロイが私の手を取ります。そして――。
「では、私と踊って頂けますか。」
と。
「喜んで。」
ふふ。と思わず笑ってしまいました。
「じゃあ、私はもう少しいろんな方と踊ってきます~。」
今日は夢中で婚活中みたいですからね。水を差してしまい申し訳なかったです。
「では、せっかくですからピア。私と一曲いかがですか?」
とルーイ様。
「それも良いわね。」
とダンスフロアへ向かいました。
「私。下手ですよ。」
「大丈夫。俺がリードする。」
ロイはとても上手でした。
久しぶりのダンスはやはりとても下手でしたが、ロイのおかげで普通に踊れたような気がします。結局3曲も一緒に踊ってしまいました。
とても楽しくロイと踊り、他の方とも少しお相手させていただきまして、ダンスを抜けました。
先に抜けていたロイを探しますと、何やら女性に囲まれていました。
「あら?ロイ機嫌が悪そうです。」
と独り言を言って眺めていたら、
「いつもあんな感じですよ。」
とルーイ様。
ロイはとてもぶっきらぼうな顔をしています。普段と違いすぎませんか?
ピアも来たようです。
「御存知ありませんでしたか?ロイは普段あんな感じですのよ。クラスの中と…………あなたといるときは特に柔らかく笑いますわね。」
「そうなのですか?」
私は初めて見るので不思議でたまりません。
「あんなに砕けた言葉使いをするのも私達の前だけだしな。」
「そうよー。学園で他の生徒が話に来ても全く笑いもしないんだから!」
といつの間にか戻ってきたマリー。
「そうですの。」
驚きました。
ロイは、挨拶まわりの時でも作り笑顔とは言っていましたが、微笑んでいました。
今は、一応お返事しているようではありますが、無表情で一ミリも笑っていません。
少しすると、ロイがこちらへ戻ってきました。
「ちょっとは助けてくれ!」
「ははは。わるかったよ!」
「皆でみていましたわ。」
「相変わらずの人気ですね。」
ああ。いつものロイです!
「知らない女性に囲まれて何が楽しいんだ!」
「話すことなんてない!」
「ふふ。」
「アリィ?」
「ロイ……Sクラスが本当に楽しいのね!」
「へ?」
『『『なんでそうなる?』』』
「「「ふふふふふ。ロイ頑張れ!(ですわ!)」」」
ルーイ様とピア、マリーは大笑いしております。
ですから、何故皆さん笑っているのでしょう?
「エルメイ様!ここにいらっしゃったのですね!」
「ああ。どうした?」
何やらこの屋敷の使用人のようです。
「実は――――……。」
「ふむ。ああ。え?ああ、わかった。では向こうの庭へ。」
少し話すと使用人はどこかへいってしまいました。
「ふふ。」
何かあったのでしょうか?
「みんな、来客だ!」
「来客?!」
ルーイ様に言われたとおりに完全にプライベートスペースだという御庭に通されました。
すると――――。
「アリィ大丈夫か?」
「何かあったのぉ~?」
「お怪我は?」
なんと!カミーユ、ミーサ、ノノアです。
「皆さん!来てくださったのですか?」
「急に、頭の中にアリィとアイツがみえてさ。」
「心配しましたよぉ~。」
「確認せねばと思いまして。」
「ありがとうごさいます。同じように、皆さんが来てくださって助けて頂きました!」
ロイ、ルーイ様、ピア、マリー。
そして、目線を反対へ。
カミーユ、ミーサ、ノノア。
「無事でよかったですよ。」
「えぇ。」
「それにしても…………みんな……貴族だねぇー!ぷふふふ。」
「ふふ。普段とはやっぱり違うわねぇ~……ふふふ。」
ああ。やはりこの社交してます!っていう装い普段一緒にいる方々に見られると恥ずかしいです。
ピア達も同じように思ったのか、
「ちょっと!やめてくださらない。あなた方の前だと何故か恥ずかしいですわ。」
「まあ、普段あれだけ砕けて話しているのだから仕方ないだろうな。」
「そうですが、何か納得いきませんねー。」
今度は私達が標的になりました。
「それに、アリィとロイなんて……。ぷふ。」
「完全にペアじゃないか!ふふ。」
「ペアルックぅ~。ふふふ。」
そして、完全にこちら側にいた方々まで。
「ここまでペアだとねー。ふふ。」
「もうそういう事よね。ふふふ。あら、失礼。」
「本人達は置いといて、その気みたいですね。ははははは!」
もう収集がつきません。
もう、好きに笑ってくださいませ。
ロイなんて、もう真っ赤でどうにもなりませんし。
まあ、いろいろあった日ですが…………。
「楽しかったですね。」
ええ。嫌で仕方なかった夜会ですがきっと皆さんのおかげですね。
それに、
「ロイ、一緒にいてくださってありがとう。とても格好良かったですよ。ふふ。」
本当に助かりましたからね。
「そ……そうか?///。」
ほう。照れるとかわいいですね。
「うわぁ~照れてるわぁ~。」
「誉められていますものね。」
「ニヤニヤしてるー!」
「おまえらこそニヤニヤするなー!!」
ふふ。いつも通りで皆さん素敵です。
う~ん。のびのび。
さあ、そろそろお暇しましょうかね。
―――――――――――――――――――――――
ダンは思う。その3。
「……!うわぁ!!」
何だ?今頭の中にアリィと、何か金髪の変な髪型したやつが出てきた――――。
「あいつ、誰?」
ダン先生はSクラスの生徒以外覚えていません。
急に出てきたふたりの顔……。
魔法道具か?!
意思疎通なのか?
……明日にでも報告した方が良さそうだな。




