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ピアの発想力


「いやぁ~~!」


「悲鳴?でもこの声。」


教室に向かう廊下で、校庭の方から聞きなれた声が聞こえてきた。


「あれって……ミーサ?」


「とにかく行ってみよう。」



「昨日植えたのに萎れちゃう~!どうしましょぉ~。」


そこには珍しくアワアワと慌てているミーサが居ました。


「どうしたました?」

おはようの挨拶より先に聞いてしまいました。


そのくらいミーサが取り乱していたのです。


「アリィ~。それがねぇ……。」




――――教室です。



皆でミーサの事情聴取です。


「やっぱり植えていましたね。いつするのだろうとは思っていました。」


「だってぇ。試してみたくてぇ~。」


「あれ?アリィはもう知っていたの?」


「ええ。最初に校庭で皆さんと魔法鍛錬した日に、ミーサは校庭の所々に薬草が植えられているのを見つけていましたからね。それを見て嬉しそうに微笑んでいましたし?」


とミーサを見るとにんまりしていました。


学園の校庭は素晴らしいのです。

栄養のある土に日当たり条件もよく、植物も少し早めに成長してくれます。


そんな中、昨日植えたという植物。ミーサが親睦会の帰りに購入していた鮮やかな赤いお花ですが、元気がないようです。


「みんなぁ~。どうしたらいいと思う?」


学園の校庭の土はとても良いのです。他の薬草や草木はとても青々としていて元気ですし。


「植物は気候が違うと育ちにくいよな。」


確かに。

王都と南の方では結構な差があるでしょう。

南の地はいつもこの地より暖かいのです。


「まずは南の環境に近づけないとでしょうか。」


「暖かいお部屋でも作りますか?」


「それで、その部屋をいつもこの地の空気より少し暖かくなるようにすればいいのではないか。」


確かにそれが良いですかね。


ですが……。

「お部屋となるとある程度の場所を確保しないといけませんしねぇ。」


そうなのです。

とても自由にお部屋を作って良いような場所があると思えません。



すると、黙って見ていたダン先生が応えます。


「許可をとれても花壇くらいだろうな。」


皆で『やっぱり。』とまたそれぞれ思案し始めます。



暖かく保つと言うことは良いですよね。


問題は、どう魔法をかけるかですね。


空気……に魔法をかけても逃げていきますし、小さく囲うと密閉してしまうから植物の成長によくないですよね。


すると――どうしたものか。


と、沈黙していた空気がやぶられました。


「サンシェードはいかがですか。」


ピアが話しはじめました。

「お日様の暖かな光を浴びて植物は成長するのでしょう?でしたらいつも私達が校庭で使っているようなサンシェードに魔法かけて、光の暖かさを増幅させるような道具を作ってはいかがでしょうか。」

と、言うのです。


「「「おお~!」」」

良いアイディアですね!


「でも、待って!サンシェードって日除けよね?日差しを遮ってしまう物よ?」


ああ。そうです。確かにそのとうりですね。

よく考えたらまるで逆です。


「ですから、光を通すようにする魔法も一緒にかけるのですわ。」


コレには全員驚きでした。

目の玉が飛び出るかと思いました。危ない危ないです。しまっておきましょう。

……て、そうではなくて。


ピアの想像力は、すごいですね。


「それはすごいわぁ。」


「試してみたいね。」


「サンシェードはもう少し小さい物を用意して、花壇は許可を取って使わせてもらいましょう。」


やはりここにいる皆さんは探求心が強いようですね。そして好奇心も止められないようです。

今すぐ試したい欲求が全員止められません。


「あぁ。でもぉ。私の魔力では光を通すようにするのは難しいかもぉ~。きっと力不足だわ。」



無詠唱魔法は使用する魔法の発想自体は無限ですが、現実とかけ離れた事を行おうとすると、かなりの魔力が必要なのだそうです。

水より氷。

氷より雪。

と、この場合は水に対して必要とする温度によって難易度があがります。


難易度が上がる度に強い魔力がいるのです。


そして、魔力量が足りていても【思い】の容が具体化出来るほど鮮明でない場合も魔法は使えません。


そういえば、先日お父様がサンに同じようなことを仰っていましたね。



私の場合は、氷ですと人が触れると霜焼けするくらい冷たくなって、どんどん結晶化していくように頭の中で絵を描くような感じです。


同時に描く物が多い程、想像するのが難しくなります。


そして想像力というものは、必然的に目に見えぬものは思い描きにくいのです。


――――私もしっかり勉強しましたからね。このくらいでしたらもう理解しました。




そんなこんなでミーサの懸念も解かります。


ですが、やはりピアは構想が組み上がっているようで、


「魔力量ならみんなで足せばいいのですわ。」

と言うのです。


ピアの言うことにまだ理解が追い付きません。


「思い出してください。詠唱魔法の時にした魔力の上乗せです。今回は無詠唱への魔力の上乗せですけども、サポートする方は【術者へ魔力を分ける】と思えば良いのではないですか。」


丁寧に説明してくださったので、もう皆解ったようです。


「それならば出来そうですね。」



「光を通す……その際に熱を加えてより温かく……うん。思い描くのはできそうよぉ。」


一人目をつむり試しに思いを巡らせてみたようですね。ミーサも大丈夫そうです。


「想像してみて解ったけど、サンシェードが適切ね。ピアすごいわぁ!」



「私、物を作ったり、絵を描いたりする事が好きなのです。入学前の適性試験の時は制作美術学園に入学しようか迷っていたくらいですのよ。」

と、教えてくれました。


余程好きなのでしょうね。

育ちが良いと分かるお嬢様口調はそのままですが声とお顔が弾けています。

好奇心の塊と言ったところでしょうかね。

ウキウキしているのが、とても可愛らしいです。



こんなに制作が好きそうですと、皆疑問に思ったのでしょう。


「結局何が決め手で魔法学園にしたんだ?」


「……作るなら向こうの方が沢山出来ますしね。」


ええ。まあ当然の謎ですよね。


するとサラッと答えてくれました。

「ふふ。魔法道具の方がもっと楽しそうかと思いまして。」


簡潔で納得の答えでしたね。

魔法を合わせた方が楽しそうだという事のようでした。




と、いうことで数日はダン先生にお願いした花壇の使用許可待ちでしたので、その間を使って皆さんとサンシェードの材料や土・肥料、そして植え付ける植物を集めたりしていました。


他クラスの生徒からは、


「何を始めたんだ?」

「庭師にでもなるのか?」

と聞こえてきたくらいです。






「花壇使っていいってよー!」


と許可が取れたそうで、遂に作戦実行です!


案内された場所は、校庭の端にある背の高い木々に隠れたようにあった一角。

しかもSクラスの教室の窓から見える場所のようです。


「ここ広いですね。」


「でも、どこに花壇が?」


そうなのです。教室と同じくらい広くて日当たりがとても良いのですが、花壇なんてありません。



「花壇を作って良いいそうだ。」


「「「へ?」」」

なんとも皆で間抜けな声を出してしまいましたが、どうやら作る事になるようです。


なんでも、校庭には歴代の生徒達が勝手に植えて群生させた薬草は確かに沢山あります。害があるわけではないのでそのままにしているそうです。


ですが私達の話を校長へお話したら、そんなに大々的にやるとそれを見て他の生徒も真似をしていたる所に植えられてしまいそうだとの懸念が生まれたそうです。


それに、花壇はすぐ作れるだろうからもっと沢山育てられるようにしてはどうかと仰ったそうです。



「校長先生太っ腹ですねぇ~。」


「ここなら沢山増やせそうですね。」


「サンシェードもとりあえず大きめを用意してよかったな。」


と皆さん嬉しそう。……ですが、何だかついでに他にも何かしようという企みの笑顔が数人見えるような気が……しますが、今は薬草ですね!





皆で魔法を使いながら土を満たしていきます。


「固い土地ですね。地面と混ぜ合わせないと植えれないわぁ。」


「それじゃあ俺がするよ!」


土系魔法が得意なカミーユが魔法で次々に混ぜ合わせていきます。


あっという間に準備を終えるとミーサの指示通りに薬草や赤いお花などを植えていきます。


やっぱり土地が広いのでまだまだ余裕がありますね。




すると――――。


「これを植えても良いだろうか。」


とルーイ様が続けてて言うには、

「南からの帰りの街で見つけ買ったんだが、暖かい方が良いかと思ってな。」


手には所々トゲトゲとした細長い草が数本付いている植物の鉢です。

なんでも、食べれるも良し、薬にも良しの【医者いらず】とも呼ばれる植物だそうです。


はい。先ほどニヤっとしていたのはこれでしたか。




そして、ニヤっとしていたのはもうお一人います。――カミーユです。


何でしょうお芋でしょうか。

見たことのない紫色をしています!


「先日うちの取引先からもらったんだけどね、どうやら種芋になるらしいんだけど植物をあまり育てたことがなくてね。」

ということだそうです。




おふたりだけではありませんよ!



「ミーサ!私のもお願いします。」


「あれぇ。アリィも何かあるのぉ?」


そうなのです。


「実はずっと育ててみたいものがありまして。私も先日南に行った帰り際に見つけたのです。」


その日は他の方への売り分しか無いとの事でしたので……後日届けていただいたのですが、私もうちの庭師もどうしていいか解らずにいたのです。


「これですわ。」

‘’グーッと――両手に魔力を込める。手を開いて広げると…………。


――――わっさわっさと葉が生い茂った高さがピア程もある木が出てきました。まだ根は土とともに麻布で包まれています。


「つい先日届いたのですが、これもこちらの気候が合わないようでして。」


皆さんの目前に、急にわっさわっさ出したので驚かせてしまいました。



ハイビスカス

アロエ。

紅芋。

そして、コーヒーの木。

全て植え終わり。

サンシェードを張ります。




最後の大仕事です。


ミーサに魔法の主軸を託し、皆で魔法をかけます。


‘’…………――――!!!!!


皆でにっこりです。


魔法はかけました。あとは、植物が上手く育つといいですね。

しかし、結果がわかるのはもう少し先になります。




そして満面の笑みで、


「みんなぁ!ありがとぉ!」

とミーサに言われました。


全員「こちらこそ!」


「楽しかったですわ。」

「ああ。」

「……です。」


ふふふ。

ははは。

いい仕事でした。協同作業よかったです!




「さぁ~て。」

パチン。


「あれ?」


ピアが自分のカバンを開けて。何か探しています。


「どうしました?ピア。」


もう全て終わったというのにどうしたのでしょうか?




すると目当ての物を見つけたようです。


「ありましたわ。」


取り出したのは小さい三角。


その三角に、

“ピッ!”――大きくなりました。


いいえ。逆ですね。元の大きさに戻したのでしょう。



すると、皆で設置したサンシェードの一部に取り付けています。

私だけではなくて、他の皆さんも訳がわからないようです。


「えーっと、ピア?」


「はい。何でしょう。」


「それは、何ですの?」

皆さんの心の声を私が代弁します。



「魔力の自動供給装置とでも言いましょうか。」


「えーーっと、はい?」

物凄くサラッとピアは言いましたが、全く理解できません。



しかし、

「ああ!すごい忘れてたな!」


「作る方に夢中になりすぎていましたね。」


ロイとルーイ様は気づいたようです。




「……あの、教えて頂けませんか?」


「私、何にも解らないわ。」



疑問にはピアが答えてくれました。

「ですから。魔力供給はどうするのです?」


「……………………ああ!」



「ピア。よく忘れてなかったね。」


「むしろ、皆さん全員よく忘れていましたわね。」


「楽しかったものねぇ~。」




もう笑うしかありませんね。


※※※※※


魔法道具は魔力をながして使うからこそ魔法が発動します。


人が扱うなら直接魔力を流せば良いのですが、設置したとなると人がいなくても供給できるようにしないと道具の意味がありません。


※※※※※


「って事で。出来ましたわ。」


「作ってきてくれてありがとぉ~!」


「これで、全て完璧ですわ!」


今度こそ完了ですね。


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