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日焼けの噂と約束の放課後


「おはよう。」


「おはようございます。」


いつも通りロイと通学していると、だんだんとSクラスメンバーが集まってくる。


「やっぱり少し日焼けが目立ちますね。」


「まだヒリヒリする…………。」


「日避けがあっても1日外に居ましたからね。」


「ははは。」

と今日も朝から皆で賑やかです。




Sクラスメンバーは結構アウトオブ眼中です。

と言うのも他人の目を気にする余裕もない程皆でお喋りするからです。

もはやとても仲良しなのです。

ですので、今朝はいつもと違いかなりの生徒が注目していた事に誰一人として気づいていませんでした。


「全員凄い日焼けしているわ。」

「でも先週末まで皆そんな事はなかったよ。」

「って事は、この前の親睦会の日か?」

「一体どこへ行ってたんだ。」

「なんかね、何かの間違いだと思っていたけど誰かが「海に行こー!」ってSクラスの人が言っていたのを聞いたって。」


皆さん通り過ぎて行ったSクラスの後ろ姿を見ながら話しています。そして海と聞いて一同驚きの顔になっていますね。


「嘘!1日では無理だわ!」

「そんなこと!――――。」

「もしかして。」


「「「行ったのか?海?!」」」

「「「羨ましすぎる~。」」」

凄い反響ですね。


いや、しかし本当にどうやって?

生徒達の疑問は深まります。


「そもそも、担任の先生が無茶なら止めるはずだ。」


「いや。待て。あのクラスの担任はダン先生だ……。」


「絶対止めませんね。むしろ楽しそうなら乗り気になりそう…………。」


すぅ~。と遠くなったSクラスに合流するダン先生が見えました。


「あ!黒い。」


はい。ダン先生もバッチリ日焼けしていました。


「うわ~。絶対行ったんだ!」


「海なんて私行ったことないわ~。」


「はぁ~。」



--そんな会話をしっかり聞いていたミーシャでした。

「ふふ。今日アリィに今の話しーよおっと♪」



※※※※※


所変わってSクラスです。


今日は先日の親睦会でひとりひとりがお互いの魔法を見て触発された部分があるようで、魔力鍛錬は皆でやりましたが、その後はそれぞれ自由研究する日になりました。


試してみたい事をそれぞれやってみたり、聞きたいことをお互いに討論したりと今日は今日で個々に充実していたようです。


ちなみにダン先生はほぼ1日転がって居ました。




「アリィ。帰ろう。」

いつも通りロイが声をかけてくれました。


「すみません。一緒に帰れません。」

ぺこりと頭を下げます。


私とした事が!

今日は用事があるのにロイに伝え忘れてしまいました。


そんなロイは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしています。


「な――なんで?!」


とても驚いておりますね。

すみません。私が言ってなかったばかりに!


ですが、約束の時間が!


「すみません。明日お話します~。」


パタパタと出口へ向かう。


さっと振り返り。


ふわっと。

「皆さん今日はお先に失礼致します。ご機嫌よう。」

ご挨拶を済ませて。


ダッシュです!

ロイが灰になってるとは気付かずに。


そして、ロイが他6人からニヤニヤした目で見られているとは知るはずもなく。


ロイ以外『--これは。面白すぎる!ふふふふふ。』




ふ♪ふ♪ふ~ん♪


もの凄く上機嫌な私です。


「すみません。遅くなりました!」


「いいえ!待ってないです!」


なんと!今日は放課後デートなのです!


ミーシャと!!


最初にお会いしてから校内でお会いして多少はお話する時間がありましたが、お約束して会うのは初めてなのです。


あれから何度かお会いした時に少しずつお互いの事をお話するようになりました。


ミーシャのお家はレーベルハットという帽子屋さんを営んでいるのだと教えていただいたり、甘いお菓子が大好きで私と同じでコーヒーもよく飲むのだそうです。


他にもお互いの家族の事なども話題になりますが、今日は前々から私達の話題にあがっていた喫茶店へ行こうと思っています。



「そういえば、今朝Sクラスが皆の話題になってたわよ。」


あら?そうだったのですか。

「へ?何ででしょうか。」


心当たりが無かったので聞いてみます。


「ふふ。アリィもだけど皆さん全員が日焼けしてたからよ。」


なんと!日焼けしてると話題になるようです。

ああ、ですが全員日焼けしていますものね。


「まあ確かに皆して黒くなってたら驚きますわよね。」


「ええ。それもあるのですが、皆さんが親睦会で海に行ったらしいと言うところが一番の話題でしたわよ。どうやって行ってきたのか。それから、海に行ってみたい!と嘆いている方もいたわ!」


なるほどです。


確かに普通に行こうと思えば片道でも馬車で丸1日かかりますからね。疑問はあるでしょう。


「そうゆう事でしたか。」


「ミーシャにもお土産があるのです。フルーツはお嫌いじゃないですか?」


「まあ。ありがとう!フルーツなんて嬉しい!」


あちらでも食べていたパイナップルと街で見つけたマンゴーをお渡ししました。

喜んで頂けたようでよかったです。



そんなこんなでずっと狙っていたお店に着きました。


「まあ。素敵!」


「学校が終わって急いで来て良かった~まだ席あるね!」


お店はL字型。

入口近くは賑やかでアンティークな円卓がいくつも並べられています。

L字型の奥の方は河辺に面しているテラス席に続いており、そちらは小さめのテーブルセットがいくつか置いてあります。


「やった!アリィ!テラス席あいてるよ。」


「本当ですか?それはラッキーです。」


2人で席に座って外を眺めます。

川がよく見えて素晴らしい景色です。

手前に目線をずらしても沢山のお花が花壇に植えられていてぎっしり咲き乱れています。


なんて贅沢なのでしょう。

こんなに良い席があいているなんてツイてますね!





『ん?』

なんか…………。


いや、気のせいですね。




「うわぁ。綺麗なケーキです~。」


このお店一番人気のケーキのシンプルなショートケーキなのですが、席に運ばれて来ると魔法が弾けてキラキラとしたなめらかな特製シロップのベールがかかるのです。


そして、挽きたてコーヒーの香りが最高です。


「コーヒーも美味しいですね。」


もう何もかも最高の放課後デートです。

全て美味しくいただきました。




「ミーシャ。今日はありがとう。またどこか行きましょうね!」


「ええ。」


は~幸せでした~。とお店を出て歩いていたら、


「アリミア!」


と声を掛けられました。


振り返ると、手を取られています。

と、同時に


「キャ!」


とミーシャが倒れました。


「ミーシャ!」

?これってまさか!


「やあ、アリミア。今日こそ僕とお茶しよう!」


また出ました。


The☆貴族こと、何でしたっけ…………?


「えーっとマデラン様?離していただけますか?」


「ニコラルド・ディ・マデラですよ。アリミア。」


「すみません。どうでもいいです。」


手を振り払って、ミーシャへ駆け寄ります。


「ミーシャ。またしても私のせいでごめんなさい。」


「だからアリィのせいではないわよ。」


「お怪我は?」


「大丈夫よ。ありがとう。」


半ば無視されたのが気にくわなかったのか、マデラ様が怒ったようです。


「だからどうして、お前みたいな者がアリミアといっしょにいるんだ!アリミア、僕と来てくれ!」


と、また手をつかまれそうになります。



「アリィ!」

と後ろから聞こえたような気がしましたが、


「何であなたがお怒りなんです?」

私はもうプンプンです!


「大切なお友達のミーシャになんて事言うのよ!」


ちょっとマデラ様がビックリしてますが、続けます。


「そんなですね。俺貴族だけど!みたいなのダサいのよ!自分勝手で、ミーシャの事二度も突き飛ばして。まずは謝ってください!そもそも、好き勝手言って、ついでに髪型も偉ぶってて何もかもとても嫌な感じだわ!」


ふ!言ってやりました!

言い切りました。


大満足です。




石化してますね。


本当はミーシャに謝罪して欲しかったのですがもうこれ以上楽しい時間を奪われたくないですので帰りましょう。


「さあ、ミーシャ。行きましょう!」


「ええ。」

と嬉しそうなミーシャ。


良かったです。


反対を向いて歩き出そうと前方を見ると。


「あら?ロイ?」


「あ……。アリィ。」

「……アリィが危ないかもって思って。」


どうやら助けようと思って飛び出すところだった……ようですね。


「ありがとう。」



ちょっとバツが悪そうに、


「ごめんアリィ。ついてきてしまった。大事な約束というのが誰となのかどうしても気になってしまって。」

とロイは謝ってくれました。


「私こそごめんなさい。事前にお話しておけば良かったですね。」


心配させてしまいました。


申し訳なくなってそっとロイの手を取ります。


「明日からまた一緒に、よろしいでしょうか。私はロイと通う時間が楽しいのです。」

そっと見上げてロイの顔を覗き込みます。


「///。もちろん!」

眩しいくらいの笑顔を向けてくださいました。


やっとロイも元通りに笑ってくれましたので良かったです。

もう、毎日ロイと一緒でしたので、お一人様になるのは寂しいですものね。





ん?……やはり何か視線が気になりますね。

マデラ様じゃなかったのですね。

よーく探してみると……。



「うーん。もっとロイが取り乱して暴れると思ったのだがな。」

「そうねぇ。」

「…………。」

「案外平和だったねー。」

「そうだな。」

「もっと楽しみたかったです……わ。」

ピアの言葉を遮るように半笑いのロイが皆さんを発見してしまいました。


何か見られている気がしていましたが、皆さんでしたか。


「あれ?ロイ……さん?…………やっほー!」


「やっほー!――――じゃ!ない!」




皆さん大笑いです。


どうやら教室を出て行く際の私達のやり取りを見ていたようで、その後のロイの慌てたり悲しんだりと百面相していたのが面白かったらしく、私を尾行するロイを皆で尾行して来たそうです。


「アリィ。皆さん賑やかね。紹介してくれる?」


このやりとりを見守ってくれていたミーシャを皆さんに紹介します。


ミーシャもSクラスの皆と知り合いになりました。ミーシャとみなさんが仲良くお話ししているのを見てほっこりした気持ちです。



しばらく皆さんとお話していましたが、ミーシャが私の隣に戻ってきました。


「しかし、アリィこんなに心配してくれる方がいて幸せね。羨ましい!」


「ふふ。本当ですね。皆さんありがとうございます。」


そうです。

こんなに沢山素敵なお友達ができました。

やはり魔法学園に来て良かったです。


ふふ。ちょっとばかしひとりで嬉しさに浸ってしまいましたね。



「って、あれ?」


なんだか自分の世界から戻ったら皆さんがじーっと私を見てました。


「あの、アリィっていつもこうですか?」


「「「はい。こうなんです。」」」


また悲しそうなロイくんでした。


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