2人の日課
前回からの続きですので短めです。
みんなの生命力の捉え方が粒に見える。
それは私とロイにはとても不思議な光景でした。
「光の粒。でしたね。」
「は?お前ら違うのか?」
と驚きのダン先生。
「……ですが、魔法を覚えたての頃は粒だったような気がしませんか?」
「ああ。そうだったかもしれない。」
「おーーい。お前ら聞いてないなー?」
私達も考え初めてしまったので、皆さんがなんだなんだ?と戻ってきました。
皆の疑問を汲んだダン先生が起き上がってこちらへ向き直ります。
「皆のを見て解るように、対象の生命力(=魔力の溜まり)をひとつの個体として、粒のように捉えていた。お前ら2人はそれとは違うと言うのか?」
ダン先生も担任を任されるだけあって、無詠唱魔力を使う方だそうです。
しかし、そんな方でもこのような生命力と共に同調する事など基礎の基礎で当たり前すぎて魔法がうまく使えない新入生が来た場合の最初の授業くらいでしか他人のは見る機会がない。
しかし、今まで記憶がある限り、自分の場合も含めて今生徒達がやったようにしか見たことがなかった。
「そうですね。今ロイと話していて分かったのですが、私達が魔法というものに触れたばかりの時は今見た光の粒だった事を思い出しました。」
「俺達は幼い頃、両父達に一緒に練習を見てもらうことがあった。だから、俺達が今やっている魔法鍛錬は両父親そして、両母親もやっていた。」
そうなのです。ですので何の疑問もありませんでした。
(「実は使用人達もなのよね。」)
(「うちもだ。」)
コレは秘密です。
「?」
あ。内緒話で少し間が開いてしまいました。
「いえいえ。」
話を戻さないとですね。
「ですので、極々自然な事だったのです。」
「ああ。皆同じなのかと思っていた。」
皆じーっと話を聞いていました。
「ひとまずは見てもらった方が早いかな。アリィいい?」
「ええ。」
「では。」
ロイの言葉と共に2人で周囲の生命力に意識を流します。
流す?
そうです。流しているんです。
ぱぁ~。光る生命力の流れに自分の意識を流す。
両者が混ざり魔力の流れが見えます。
「綺麗です!」
「ああ。」
「今まで見たことがない。」
「不思議だね。」
「こう意識したことがなかった。」
「流れているのねぇ~。」
「俺も驚いた。」
皆さん口々に呟いた後は、しばらくぼ~っと眺めていらっしゃいました。
※※※※※
おそらく、皆がしていたように対象の生命を捉えるのは言わば大本。
人間で言うところの心臓を見ている感じなのだと思います。
そして、私達がしたのは人間も自然もこの世界の全ての者には、血が巡るように生命力が流れています。
ですので、一方的に捉えるのではなく、相手を感じ取り共有します。
※※※※※これが私達の日課という鍛錬です。
「ほーう。確かにこれは今までと違いますね。」
「ちょっと慣れないな~。」
「これをする事で何か変わるかはわかりませんが。」
「いいのですよ。」
「何でもやってみるのが研究です。」
ニコッ。
「そうですね。」
ふふ。こうゆう感じで進むのですね。
この先楽しそうです。
それから皆さんは競うように取り組んでいました。
せっかくですので私はロイと違うお話もしながら鍛錬していました。
ですが、一日中は疲れちゃいます。
「そろそろ休憩にしたほうが良さそうですね。」
「そうだな。」
‘’ピッ!
‘’ピッ!ピッ!
「はーい。ロイの分です。」
「アリィありがとう。」
ロイとはほっこりできますねぇ~。
「はい。ダン先生。」
ダン先生に温かい紅茶とお菓子を手渡した。
「ああ。アリミアありがとう。」
「ん~。美味しい……。」
「?!いつ用意したんだ?」
「へ?今ですよ~。」
「……。とても美味しい。ありがとう。」
と言う割にダン先生はなんだか困惑してるようです。
「?」
まあ、お疲れなのですね。
「皆さ~~~ん。ちょっと休憩しませんか?」
「即席ですが焼菓子を御用意させていただきました。紅茶でよろしいですか?」
やはり皆さん少し休憩が必要ですね。
お顔が疲れています。
「アリィ。ありがとう。」
「おいし~い。」
「このクッキー出来たてで美味しい~!」
「まだ温かくて香ばしいですね。」
ロイ以外全員『ん?!!?出来立て?いつ用意したの?アリィさん?』
ロイ以外全員「…………。」
「アリィ?」
「はい。」
すごく素敵笑顔。
ロイ以外全員「--すごく美味しいです。」
「はい!」
やっぱり素敵笑顔。
ロ「アリィ~おかわりあるー?!」
ア「はーい!」
ロイ以外全員『やっぱりズレてる。』
────────────
つーことは……。
王宮のとある場所。
「珍しい方ですね。お久しぶりです。ダン先輩じゃないですか!」
そこにはダンがたっていました。
声をかけたのは、2人組。
「お久しぶりです。魔法師団長殿、魔法師団副長殿。」
ダンは頭を下げ挨拶する。
「やめてください。前魔法師団長!」
「逆に怖いです。」
「おい!それはないだろ。バルバド!ルイーズ!」
お話の相手は、バルバド・ディ・オルビンとルイーズ・ディ・シアード。
つまりはロイの父とアリィの父ですね。
ダンは前任の魔法師団長だったのです。
「今日はどうされたのですか?」
前触れ無く現れたダンにお2人とも疑問符が飛んでいます。
「俺が魔法学園のSクラスを担任しているのは知っているな?」
「「ギクッ!」」
2人とももちろん知っています。
子供達が何かやらかしたのだろうか?
「何か御迷惑をおかけしたのでしょうか?」
「いや。」
良かった。違うようです。
「だが――――。」
「「だが?」」
いったい何なのでしょう。少し苛立ったような。でも悲しそうな顔で手を握りしめています。
「何でお前らの子供らは、あんなに魔力が高い?無詠唱魔法の他のヤツらともかなりの差がある。一体どーなっている!」
ダンが一気に言い終わると、
「ああ。それですか。」
「いや~。勝手にああなっちゃってたんですよね~。」
と2人共笑っている。……が。
「いや、俺より魔力あるんだが?」
笑っていない方がここに。
「ん~。何かすみません。」
「先輩が担任でよかったです。」
W素敵スマイルです。
「って事はだ、おまえ等俺より魔力強いだろ!!!」
いったい何の事ですか?という顔をして2人揃って逃げ出しました。
「おまえ等な~!!!」
「はははははは!」
「ダン先輩子供らをよろしく~。」
逃げて行きました。
ダンはまだ納得いかない表情を、しています。
そんなダンの放課後でした。




