二人一部屋は同棲…違う…そのはずだ。
静かな食卓にうるさい幼馴染。
部屋に漂う花の香り。
まだ彼女が来てわずかだと。
忘れそうになるほど彼女は馴染んでいた。
「パパ、おかわり頂戴」
なんて言って、父に皿を差し出す。
どうしてそんな、すぐに受け入れられるのだろう…?
きっともう私の居場所はない…いや、
彼女に塗りつぶされるのだろう。
そんな予感がした。
実際
昨日まで私の席だったそこは、もう彼女の場所で。
昨日まで父と二人きりだった食卓は、もう3人のもので。
漂うたばこの残り香にも春みたいな匂いが混じって。
同じ家、同じ人、なのに彼女の存在が居場所を奪う。
まるで戻ってきたときのように。
あてがない。笑えない。
皮肉にも、彼女だけが学校での救いなのだから。
もう引きこもりたい。部屋くらいだ…残されたのは。
教室と同じ、机だけが私のテリトリー。
それが広がるだけ。
家もリビングも、当てにならない。
部屋さえあればいいや…。
4人いるのに3人。
私だけが団欒の外。
「ごちそうさま」
私は、逃げ込むように席を立った。
それを見てから苦来が席を立つ。
「じゃあ私も部屋に戻るね、おやすみ」
「また明日」
そういって父が手を降る。
遅れて
「あさかもまた明日」
「も”」か…。
胸が痛くなるのをこらえた。
誤魔化すように早足。
廊下を進む。背後から足音。
部屋に入った、電気を消した。
鍵を締めて布団に潜った。
扉が開いた、光が差し込んだ。
ボタンを押す音がした。
電気がついた。
はぁと嘆息。
「お父さん、なに?」
振り向く。
「お姉ちゃん…——寝ぼけてるの?」
……そこには苦来がいた。薬指に鍵。
いかがでしょうか。
ここから逃げ場のない支配が幕を開けます。




