みつきちゃんと眼鏡⑦
私が一人で困惑していた間に兄がみつきちゃんに確認した事を教えてもらった。
どうやらみつきちゃんは視力が低下する以前の子ども時代(今も子どもだけど……)から、ぼんやりとだけど人の周りに色が見えていたらしい。
人によって違っていることが面白くて、他の人にも見えているんだと思ったみつきちゃんは家族や友達、周囲の人にそのことを言ったんだって。
でも、皆には首を傾げられるばかりで。
人によっては馬鹿にしてきたり、怪訝な目で見られりして……幼いけれど、ううん、幼いからこそ、光の事を口にした時と普段との違いに気付き違和感を感じてしまい、いつしか口にすることが出来なくなったらしい。
そうして数年経った頃、以前から霞んでいた視界がぶれてきて、とうとう自分の掌の輪郭までもがぼやけだしてしまったのだとか。
周りの事が見えづらくなった為に、みつきちゃんは今まで以上に目に力が入るようになったんだって。
分かる……。眉間に皺寄せて、目を細めて一点集中して見るあの辛さ……! でもねっ、そうしないと見えないのよ!!
そうこうしていると、相変わらず視界は悪いんだけど、人や時々動物の周りの光りがはっきりと見える様になってきたらしく?
光にもいろんな色があって、色の発し方も人それぞれで。
なので、ぼんやりとだけど見えていた頃から知っている人なら区別がなんとかつけれたので助かったのだとか。
周囲も、視力低下で困っていたら手を差し伸べてくれたから大丈夫だった。
でも、十歳の魔力測定で思いかけずの結果に皇都に来る事になり。
最初は家族の為になれるんだと、嬉しさと誇らしさで気分も爆上がりだった、けど、学園に着いて数日経った頃、急に現実に戻ったらしい。
知り合いもいない、目も良く見えない、学園の授業は今までとは全然違うくて誰に聞いたらいいのかも分からない『ないないだらけ』の状況に置かれていたみつきちゃん。
でも、家に帰ることも出来ないから……ならば、『自分ができることってなんやろか?』って一生懸命に考えたんだって。
みつきちゃんは自分の周りの人達の色と声を覚えることにして、そうして、クラスメイトに声を掛けたり、先生に授業終わりや放課後にわからなかったことを聞きに行ったりと自分から動いて頑張っていた。
私達も何度か声を掛けたり掛けられたりで接点はあったんだけど、自分が対人関係に疲れてきていた頃だったみたいで……。
光って、みつきちゃん曰く体調や気持ちの変化で蠢くらしく、低下気味の時は基本の色にどよょ~んとした色が混ざるんだとか?
私も、金色の中にいろんな色を混ぜて出来た様な、何とも言えない色がうにょうにょしていたそうで……そういえば、一度みつきちゃんから『だいじょうぶですか?』って声掛けてもらってたわ!
みつきちゃん、心配してくれてたんだな……やっぱり優しい子……っ すきっっ
今回、私や兄の認識阻害が看破されたのは眼鏡によるものではなさそうと兄は言う。
ならば、その能力はみつきちゃん自身のもの?
兄も、古書の文献を漁っていた時にちらっとそれらしき能力のことを書かれた文章を目にしたらしい。詳しくは書かれていなかったそうだけど。
なので、この事は『適任者に聞いた方が良さそう』と兄が言うので一旦横に置く。
これからみつきちゃんに話をしなくては……。
みつきちゃんには嘘は言いたくないけど、全部言っても平気?
いや、既に認識阻害を発動してる時点で嘘をついてるんだけど……。
でも、ね。うん。やっぱり……そうだよね。
心を決め兄と頷き合う。
「みつきちゃんに伝えたいことがあります」
やっぱり、お友達には嘘をつきたくない。
読んでいただきありがとうございます。




