みつきちゃんと眼鏡⑥
どういうこと?! 眼鏡を掛けた後のみつきちゃんの発言に頭の中がぱにっく状態になる私と、良く見える様になった事でとっても興奮しているみつきちゃん。
そんな中で一人、冷静に兄が口を開いた。
「みつきちゃん? ごめんね。ちょっと聞きたいんだけど、元々みつきちゃんには麗蘭の周りの色が金色に見えてたって事かな?」
「? ……えっと、あ、おにいさん?? ……あ、色おんなじやわ。おにいさんや!」
どうやら兄も色があるらしい……。
「ん~、と。……ちなみに僕の色は何色なのかな?」
「深緑にきらきらしちょんのが混じっちょんよ」
「みつきちゃん、周りに色が見えるのって人だけ? ん~、例えば動物とか植物とかは? 物には色が見えるのかな?」
どうやら兄の探究心に火が付いた模様……。
「えっと……人は、ほとんどの人に見えちょんかな? 色の量とか光り方はちがうんやけど。動物はねぇ、時々見える子もおるよ? お花とか草はないかな? 物もない……あ、うぅんとね、ほんと~に、すんご~く、たまに色が見えるのあるよ」
ふむふむと腕組み、時々右手を顎に添えて暫し思案に沈んでいる兄に私は所在なさげに視線を向ける。
まだ思考が纏まらない私は不安ばかりが膨らんでくる。
どうしよう……転生してから初めての恐怖に対面した私は自分でも分かるくらい青ざめていると思う。
背中に流れる汗と冷たい指先に更に不安感が増す。
何に対して?
自分の考えた眼鏡が、視界を良くするだけでなく、認識阻害をもすり抜けて実態を見てしまう機能が付与された?
この世界に転生して初めての友達に自分の正体を知られて、みつきちゃんが離れていくかもしれない?
みつきちゃんだけじゃない。玄武様達は私たちの事を知ってくれているから大丈夫だとしても……多くの人に私を含めた家族の事がばれてしまったら?
うちの家族の特殊性からして、そうなったらきっとこの世界では普通に生きていく事は難しいと思う。
精霊は身近に存在する云わば『生涯の友』だけど、精霊王は『お伽噺』の存在だから実在する事が知られたら……我が家は奇異の目で見られる……? あ、やばい。ネガティブになってきた……。
「------り…りら……麗蘭~、聞こえてる?」
突然、耳に入り込んできた兄の声にびくっとなった私は、顔を上げると覗き込むように並んでいる兄とみつきちゃんが目に入った。
「え?!」
視線が合うと、苦笑いを浮かべた兄が訊ねてきた。
「麗蘭、なんかいろいろと考えてるみたいだけど何に悩んでる?」
突然尋ねられても未だ自分も混乱しているので纏める事が出来ないし、言葉にする事も出来ない。
うにゅうにゅと口よどんでいると、兄に頭をぽむぽむされる。
「麗蘭、とりあえず思った事を言ってみようか? じゃないと僕も力になってあげれなくて悲しいな?」
あぁ、本当に兄の微笑みには癒しの力がある。
かくかくしかじかと思った事をつらつらと話すので、話があっちこっちに飛んでいて段々と自分が何を話したのかすらわからなくなってきていたのに、兄は相変わらずにこにこしながら聞いている。話の要点纏めるの下手すぎてごめんなさい。
「まずね、眼鏡の事は大丈夫だよ。実際、みつきちゃんと同じ条件で作った眼鏡を僕と輝葉様が掛けてる
けど、見えてる麗蘭の姿はリアンではないから心配しないで」
あ、そうだった! もし、認識阻害をすり抜けれるのなら兄の眼鏡を作った時に既に発覚している!
う~わぁ~~~っ 私、めちゃくちゃてんぱってた……。
ん? でも、じゃあ、なんでみつきちゃんには瞳の色が分かったの? 不思議に思っているのがわかったのか兄がみつきちゃんから聞いた話を聞かせてくれた。
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