みつきちゃんと眼鏡③
玄武様と輝葉様に眼鏡について報告等々を済ませた私は、次の日の放課後、みつきちゃんと一緒に新緑亭に向かった。
そこには兄が待ってくれている。
「りらんちゃん? どこ行くん?」
少し慌てたように私に尋ねてくるみつきちゃん。
みつきちゃんは入学してから今日まで、学園と寮の往復しかしてないらしい。
なので、学園を一歩出てからは安全の為にも、新緑亭までの道程はいつもよりもしっかりと手を繋ぐ。
こうして手を繋いで歩く事も当たり前になりつつあるし、これからも出来るといいんだけど……良く見える様になったら繋いでくれなくなっちゃうのかな?
そうなんです。今日はみつきちゃんに眼鏡をプレゼントしようと思ってるんです。
そして、みつきちゃんの反応が気になってしまった私は……本日寝不足です。
気に入ってくれるかな? 見える様になるかな?なんていろいろと考えてしまった。
日頃『何とかなるさぁ〜』って性格なのにみつきちゃんの事になったら頭の中がぐるぐるだよっ
おばちゃんは、今世で初めて出来たお友達の反応に一喜一憂ですよ……。
でもね、その要因となっているのが兄だよ!!
みつきちゃんのフレームデザイン案を考えようと張り切っていたのに……兄が準備するって言い張るから〜っっ
どんな感じなのかすら教えてくれなかった兄に物申したい気分です!!
……はぁ〜、私がしたかったなぁ。
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初めてみつきちゃんとお話出来てからは、放課後の時間を使って授業の復習と予習をするようになった。
先生に教わりに行っていたと聞いた私が「じゃあ、私としようよ!」と提案したのだ。
お友達と放課後を過ごす……これぞ学園生活!!
毎日の事なのでゆっくりと集中して出来るように食堂に行くことにした。
え? 普通は図書室とかじゃないの?って??
だって図書室は飲食禁止なんだよ? それにお話しながら……なんてしてたら『しーーっ!』って言われるんだよ?
そんなの楽しくないよね??
それに、図書室と比べて、放課後の食堂は人気が無いからゆっくり過ごせるのだ!
と、いうことで放課後の食堂は、緑茶とちょこっとお菓子等々をいただきながら、授業の予習復習する女子会となっていたんだけど、気付いたら兄もちょこちょこと参加するようになっていた。
高等科って放課後も忙しいって聞いてたんだけどな? 兄は要領いいから時間を作るのが上手なのかな?
まぁ、私も分からない事を質問できるから助かるし。何より大好きな兄と過ごせるのだから良いんだけどね、うん。
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話は戻って。
今回、私がみつきちゃんのフレームのデザインを考えていた時、兄が突然『僕が考えてみてもいいかな?』と言ってきた。
前世のおばちゃんは何となくだが察していたよ。
みつきちゃんの反応は兄の周囲の女の子と全く違ったのだ。
その事で、兄はみつきちゃんには壁がなくなっていった。
兄の態度は家族に対するソレだった。
最初は二人とも緊張していたんだけど……顔がよく見えてないからか、うちの兄が実家のお兄ちゃんと同い歳だったのもあってか、 みつきちゃんの方が先に通常状態になった。
「ほわぁ〜! こん問題ってこっちん式じゃないといかんかったんや!! お兄さん、ありがとぉ」
ノートに顔を近づけて算数の復習をしていた。
授業中は先生の説明する声を一生懸命に拾い、ノートに書きとめているらしいけど、追いつかなくなる事もある。
みつきちゃんは教科書とノートに齧り付いて、一生懸命に一日の授業を復習しているのです。
兄の説明は分かりやすいし、何より優しい声色と話し方でみつきちゃんはすぐに兄に懐いた。
「りらんちゃんのお兄ちゃんってやさしいなぁ〜。うちのお兄ちゃんとぜ〜んぜんちゃうわ!」
みつきちゃん曰く『理想のお兄ちゃん』らしい。
うん、それには同意だわ。本当にうちの兄は素晴らしいのだ。妹への溺愛っぷりはどうかと思うけど……。
「いいえ。頑張るみつきちゃんのお役に立てて嬉しいですよ」
「ほんと? 迷惑やない? うちはすんごく助かっちょるけど、お兄さん忙しいんやないん?」
「迷惑なんかじゃないですよ。こうして放課後に二人とゆっくりと過ごせて、僕は嬉しく思ってるんです」
あ〜、すんごくいい笑顔です、お兄様。
「うちもうれしぃですよ! やさしい友達とお兄さんと一緒におれて!!」
みつきちゃんの純真無垢な笑顔に撃ち抜かれる毎日に、私と兄は悶える日々でございます。
読んでいただきありがとうございます。




