みつきちゃんと眼鏡①
あれから輝葉様の迅速な対応に玄武様は付き合わされ、眼鏡に関する事が次々と制定されていきました。
因みに、他国にも眼鏡の制作情報を公開する事にしたそうですが、『受け取るものはきちんと頂きます』と輝葉様が言ってたからね。きっと上手くするんだろうね!
皇城で報告書を持ってプレゼンテーションしてから約二ヶ月。
週末である本日も家族全員(当たり前の様にイグニスさんもいるけどね)揃って、屋台村で朝食を食べていました。
私は初挑戦のふわっふわのパンケーキ。T字に入れた切り込みに、ホイップしたバターと生クリーム、蜂蜜をたっぷりとかけていて甘じょっぱい。
こんなカロリー爆上がりなもの、前世じゃ怖くて食べれなかったわ……というか、多分最後まで食べれなかったと思うの。胃に重すぎて……。ふふ、歳って嫌ね………。
もぐもぐと食べ進めるが、途中で気づいた………これ足りない。しゅわしゅわと口に入れると溶けて無くなるから食感とかは楽しいし美味しいから気分はあがるけど満腹にならない。
空になったお皿をじと〜っと見ていると、肩をとんとんと叩かれた。
さっきまで私の前に座っていた筈のイグニスさんが、後ろから顔を覗かせてきて、にかっと笑うと私のお皿を横に寄せて紙に包まれた物を置いた。
「リアン、これも美味しかったぞ」
紙をがさがさと剥がしていく。
中には全粒粉の様な粒粒の入った色の濃い硬めの丸パンを半分に切り、肉と燻製肉、酸味のある実に葉野菜がたっぷりと入った前世で言うハンバーガーみたいな物が入っていた。
「おぉぉお〜っっ」
口が甘さ寄りになってたので、しょっぱい系は嬉しい!
「イグニスさん、ありがと〜っ いただきます!」
お礼を伝えると早速かぶりつく。
『! 肉、厚みがあるのに柔らかくて肉汁出るっ 燻製の匂いが食欲をそそるし、野菜も新鮮でしゃきしゃきだし、この胡椒を効かせたソースも美味しい!! そして何より、このパン! この具材に負けない小麦の味で上手くまとめてるよね!!』
口には出さないけど顔には思いっきり出てたみたいで、家族が私の食べる姿を見てにこにこしていた。半分食べたところで夢中で食べていた事に気づいた私は気恥ずかしくなり『ん"ん"』と咳払いをすると、一旦テーブルに置いた。
「イグニスさん、これ美味しいです。どこのお店ですか?」
紙に包まれているから、これお持ち帰りにも良さそう。
お友達になったみつきちゃんのお土産に買っていきたい!
兄と輝葉様に眼鏡を差し上げて、次に声を掛けたのはみつきちゃんだった。
眼鏡を作ろうと思った出発点は、視力の事で困っていた彼女を知ったからだもんね。
********
みつきちゃんの出身地は首都から結構遠く、どちらかと言えば農業が盛んらしい。
地方役人の下働きをしている父親と、領主の厨房の料理人の手伝いをしている母親、そして七人兄妹の真ん中っ子がみつきちゃんなんだとか?
まだまだ下に三人の小さい子もいるし、毎日の生活だけでいっぱいいっぱい。
眼鏡の様な高級品は買えない。それに、みつきちゃんも買って欲しいとは一切考えてなかったんだって。
『そんなお金があったら家族が欲しいと思っている物がいっぱいあるから、そっちの方が優先だよ〜』って言ってた。
少々(?)見えづらくても生活に支障はそんなにないからこのままで良いか!て思ってたんだって。
十歳の魔力測定で、自分に学園に通える程の魔力があると聞いて、真っ先に頭に浮かんだのは『一人分浮くね!!』だったらしい。
『学園に入学すれば、衣食住が国から援助されるし、卒業したらお仕事も見つけてもらえる!!』
『家族とは長く離れちゃうけど八年だし、親も兄妹も助かるし、私もお腹いっぱい食べれる! こんな事がなかったら首都にも来れたかどうかわかんないんだし、私は幸運だよね』って思ってたんだって。
実際は――――
読んでいただきありがとうございます。




