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麗欄の学園生活⑩


 うまうま……とお粥を口に運ぶ私は、何故か父の膝に座らされていた。


 

 イグニスさんが私を離さないし、しまいには縦抱っこしてきて、更に抱え込んじゃったもんで力で敵わない私は無駄な抵抗だと考えて無口になっていた。

 そんな私を見て、抱かれる事を嫌がってないと判断したイグニスさんは屋台村に置かれているテーブルに器用に片手で食べ物を並べていき『リアンが最近はまってる粥買ってきたぞ! トッピングもいろいろと頼んだけど……どうだ? 好きなのあるか?』と更に数種類の小鉢サイズの容器を並べだした。


 食べ物には時間停止の魔術を掛けていたそうで、テーブルの上に置いた途端に湯気が立ち始めた。


 ほぅぅう~! これですよ、これっっ 

 トッピングもどうやら屋台のおばさんと馴染みになっていたからか尋ねたら私のお気に入りを揃えてくれたようだ。

 早速、お粥を食べようと木の匙に手を伸ばそうとしたらイグニスさんがにっと笑って横から取っていった。


「リアン。あ――ん!」

「あー--ん!」


 人が食べようとするのをじゃまするとは?!とちょっとキレそうになったが、口元に私が一番好きなトッピングを乗せたお粥を運んでくれたので、嬉しくて大きく口を開けて齧り付こうとした。

 途端、横から手が伸びてイグニスさんの手首を掴んだ。


「イグ〜? 何やってるのかな?」


 笑顔なのに額に青筋立てている父が問いかけてきた。

 イグニスさんは途中で止められた事にちょっとむっとした様だったけど、すぐに真顔で「リアンにご飯を食べさせるとこ」と至極真面目に言い放った。

 

「何故お前が食べさせるのかなぁ?」


 イグニスさんの手首がぎりぎりいってますが大丈夫かな?

 二人見つめあっちゃって……そんなのいいから……ご飯を……ご飯をください!


「リアンももう10歳になったんだ。家族以外の異性との距離が近すぎるのはこの子の評判にも繋がるからね。遠慮してもらえるかな?」


 あぁ! そっか〜、この状況はいただけないのね! 


 この世界って婚姻については異世界転生モノには有りがちな早婚寄りなんだよね。


 学園に通ってる子は卒業してからって感じだからか18歳くらいが多いし、貴族の場合は15歳前後、平民の子達も18歳になる前にはほぼ結婚してるっていうね。


 まぁ、それも政略結婚とか、親・親戚、周囲のお口添えって事が多くて。恋愛結婚なんて、そうそうある事ではないらしい。

 こっちはそれが当たり前の世界なんだよね……。

 だから、私の結婚もそんな感じなのかなぁと思っている。


 ―――あ、私の場合は()()()()()というトンデモな条件が付いてきてましたわ……。


 そんな事を考えていたら、気付けばいつの間にか父の膝に座っていた。あれ?


 私は、いつまでも続く父とイグニスさんの口撃をBGMに美味しい朝食を食べ進めるのでした。



********



「りぃちゃ〜ん! 修練場、いっしょ行こ!」


 クラスメイトのみつきちゃんに名前を呼ばれた私は嬉々として応える。


「あ! まって、みつ!! 今準備するからっっ」


 あぁ! これですよっ これ!! お友達と愛称で呼び合うという至福っ


 

 入学してから苦節四ヶ月と半月……万季彌には二ヶ月前『学園ではいろいろな人と交流したいんです。私、今まで同年代の人とお話した事なかったし……これからも私がこの国で生きていくんなら人脈作りも必要でしょう?』と説明・説得を試み続け、渋々ながらも『教室には行かない。でもランチは一緒に取る』という条件付きで何とか承諾してもらった。


 これによって朝の登校やランチ以外の休み時間、夕方は自分の時間として過ごす事ができる様になった。やった。やったよ、私!

 

 それから私は友達を作るぞ!と意気込んだ。

 

 最初は、声を掛けるとぴしっと固まるクラスメイトに心砕かれたけど……。


 人見知り返上する勢いで挨拶をしまくり、街での流行りを調べては話題になりそうな内容を会話に挟んで……と、私、この世界に転生してから一番頭と気を使ったんじゃないか?!ってくらいに頑張った。


 でも、駄目だね〜。段々と笑顔が引き攣っちゃって。無理してるのが目に見えてきちゃった。

 子どもって()()()()敏感だよね〜。


 段々と重たい空気が流れる様になっちゃって、お互いに会話が苦しくなってきた事を自覚した私は………諦めた!!


 そうよね〜。万季彌が来なくなっても自分の身分も皇族に準じていると思われているんだもん。相手も困るか〜。ごめんなさい。


 これはちょっと距離を置いて関係のリセットを……できるかな? ……まぁ、何とかなるか!


 ()()()をそれなりに楽しみながら過ごす日が続いた。

 基本ぼーっと過ごすのが好きな私は、以前からもクラスの様子を観察してたんだけどね。

 教室の一番前の席でずっと一人黙々と教科書に齧り付いている女の子が目に止まった。


 実は以前から気になってたんだけど、あまりに真剣に教科書を見てたから邪魔しちゃいけないと思って挨拶でしか交流のなかった子。


 おばちゃん、頑張る子の応援したい! けど人見知りだから声をかけるのに躊躇しちゃうし、それに邪魔しちゃ駄目だよね!なんてちょっと言い訳っぽいけど思ってて。


 でも、それでも気になってた私は通りすがりにちょこちょこ見てたんだけど、最近、ものっすごく眉間に皺寄せてるのよね。


 何かあったのかな? 心配だけど、どうしたらいいのかなぁ。


 ……おばちゃんになりきったら……コミュ障もなんとかなって話しかけれるかなぁ?



読んでいただきありがとうございます。

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