麗蘭の学園生活⑥
……私達について来て両親に挨拶??
え? 何で?? 挨拶する意味が分かんないです???
しかも、もう二人が「ずる〜い!」「私も行く〜」とか言っております。
いやいや、ずるくない。ずるくないだろ! 何なの、この子達!?
……あ、これって所謂前世の時に聞いた事がある『肉食系女子』?
おばちゃん、耳にした事はあったけどリアルで見るのは初めてだわ〜、なんて遠い目をしながら考えておりましたら途端、男子達が騒ぎ出しました。
「ちょっと待ってよ! 俺ら今から依頼者に会いに行くんだろ?!」
「そーだよ! 時間までに行かないと契約してもらえないだろ!」
あ、そ〜いう集まりだったのね。なるほど、なるほどと一人納得です。
「え〜っっ まだ時間はあるんだし、ちょっと位いいじゃな〜い!」
「それに元々『十人で』っていう条件でもなかったじゃない? そもそもまだ契約してる訳じゃないんだしぃ、行かなくっても違反でもないでしょ?」
あ、なんかこれも知ってる。
『ああ言えばこう言う』ってやつだ。しかも女子達の勢いが凄くて怯んでいる男子達。
頑張って! そこは強気で押して依頼を受けに行って!
思わず拳を握る私ですが、巻き込まれた兄はどう思ってるんだろう?と気になったので横目でちろっと見た。
視線に気付いたのか兄は苦笑を浮かべこっそりと耳打ちしてきた。
「ごめん、リアン。このままスキルで逃げても良いんだけど、ちょっと言わなくちゃいけないことがあるから待っててくれる?」
私も言いあってる隙にどろんしちゃおうかなって思ってたんだけど……兄がそう言うならば待ちますけどね……。
そうして待つ事暫し、段々と白熱していく五人に、残りの五人が止めに入るというこの状況は何時になったら終わりますか?
平日なら朝ご飯を食べて授業を受けてる時間。
空腹で段々と機嫌がだだ下がりの私。
お粥は朝しかしていないし、まだ売ってたとしても早くしないとトッピングが少なくなるんだけどな。
それに両親に心配をかけていると思うと、このお子ちゃま達に物申したくなってきた。
……どうやら私はお腹が空きすぎるといけない様です。我慢も限界となりました。
兄、ごめんね。私はもう待てません!
――――すぅぅぅっと息を吸い、大きく息を吐く。
息を出したら結構音が大きかったですが、わざとではないですよ? えぇ、本当に。
「すみません。その依頼はギルドで直接請けましたか? 学園を通してですか?」
突然、自分達の後輩に質問された先輩方は言い争いをぴたっと止め、私にばっと視線を向けた。
やっと周囲の状況が見えてきたのか、自分達の言い争いをずっと見られていた事に気づいて顔を真っ赤にしているが、そんな事知った事か。
「………え、学園を通したけど……」
『まだ時間がある』と口にしていた女子がぼそぼそと呟く様に答えてくれたので、『ほほぅ』と小さく呟く。
学園の生徒がギルドで直接請け負うことが出来る依頼は、所謂『小遣い稼ぎ』程度と決まっている。
つまり危険の少ない薬草等の採取などが主。
「そうですか。では、その時に申請書を提出されていますよね?」
「あ、はい」
今度は、女子達に物申していた男子が答えてくれた。
「学園は依頼中に何かあってはいけないですから、まず参加者の把握の為に申請書に名前を記入されていると聞きました。なので、人数もしっかり把握されている筈ですが?」
先輩方の顔からみるみる内に血の気が引いていっています。後輩から指摘されるとは思わなかったんでしょうね。
「あ、あとこの様な外部依頼を受ける時は依頼者にも申請書の複写が渡されるし、何かが生じた際には、依頼者にも学園に通達しなくちゃいけない義務が発生するんでしたっけ?」
びくっと肩が揺れる女子三名。
「そうしたら生徒指導科の教師からの呼び出しがあって事情説明しなくちゃですよね? この事情、先生に言えますか?」
自分でも分かるどす黒い笑顔で先輩方を見渡すと、女子三名の顔色は蒼白となっていた。
ついでに兄に向かってにっこりと笑って無言の圧をかける。
『ねぇ、お兄様。黙らせたんだからさっさと用事終わらせてね?』
多分、私の言いたい事は伝わったのでしょう。
兄の表情が私を見た途端に引き摺ったけどそんなの気にしません。
そして最後の一押しを満面の笑顔で言い放ってやりましたわ。
「先輩方、これって単位に関わってくるんじゃないですか?」
学園の看板を背負ってるんですよね?
ねぇ、お嬢さん方。授業で何を聞いていたのかしら?
もう一回、地獄の数ヶ月を過ごします? ふふふふふ………。
あとね、恋愛毎に熱くなるのは勝手ですが相手の事を慮れない方はいけません。
おばちゃんはそんな子は認めませんからね!
一気に顔面蒼白になった十人の顔を見て『ふんっっ』と鼻息荒く胸を張ったのは言うまでもないのです。
覚えときなさいっ 食べ物の恨みは怖いのですよ!
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