麗蘭の学園生活③
学園の寮は希望者には一人部屋を使わせてくれる。有料になるけれど。
私はいろいろと考えた結果、一人部屋を使用している。
20畳くらいの広さで勉強机と大きな本棚、天蓋付きのベッドが置かれている。
衣装やちょっとした荷物はクローゼットに入れられるから広く感じる。あ、違った。実際に広いわ、ここ。
それと、かなり昔に建てられた寮と聞いていたが大事に使われてきたのだろう、とても綺麗だ。
部屋の内装も暖かみのあるクリーム色と落ち着いたオレンジの小花柄の壁紙やオリーブ色のカーテンで目にも身体にも優しい雰囲気。
だが、『ここは応接室ですか?』と聞きたくなる様な大きなテーブルと長椅子一脚に一人掛けの椅子が三脚と、とても素敵なアンティークのテーブルセットが備え付けられていた。
寮の部屋に必要なの、これ??
下位貴族の子や平民の子は寮費がかからない12畳くらいの相部屋を希望する子が殆ど。
部屋を真ん中で区切って使っている様で、話の合う子となら相部屋も楽しそうだなって思った。
私の部屋にはアス様に頼んで結界魔法を張ってもらっている。
ペレちゃんとサラくんは、この中なら自由に過ごせるし私も一人でないのはほっとする。
二人は仲良しで、サラくんは喋れないけど身振り尻尾振りで会話している。
こんなゲーム昔したなぁ〜、意外と難しいのよね〜とか思い出しながら、ペレちゃんとサラくんかわいい……と見つめる私です。
ちなみにサラくんは尻尾でペンを持って筆記も出来ます。私との会話は主にこれです。
―――私は結構快適な暮らしをさせてもらえてるけど、ここにいる子達って実際は強制的に10歳から家族と引き離されてる訳で、おばちゃんとしては他の子達にも安らげる場所があるといいなぁ〜と考えてしまう。
今は、自分のしなくちゃいけない事でいっぱいいっぱいだけど落ち着いたら考えてみよう。
―――あ。人見知り治さなきゃだね……。
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来週の授業から実際に『魔力制御法』の実技が始まる事になった。
兄が『制御』の感覚をお友達に聞いてくれていた。
何故なら、兄も私も魔力回路を鍛えるという事を感じる前に回路が全開になってしまっていたから未経験なんです………。
他の人の経験談だけど、周りと話を合わせる為にも覚えとこうと思います!
本当に兄はよく気がつく!
ありがとう、兄! ほんと好き!!
そして、実際に兄が使った誤魔化す方法も聞いていたので自分なりに出来ないかと練習してきた。(紆余曲折ありましたけどね……)
魔法学園に入学した子達は、今から魔力回路を鍛えていこうっていう時に自分は既に回路に契約した精霊の力が流れていますからね……それも二人分。
兄の場合は、既に契約精霊として認知されていたスイくんがいたので『変化』と『隠蔽』のスキルを併合させた『認識阻害』というスキルを会得してもらい魔力神経回路の量や太さ等を誤魔化したんですって。
もちろん、兄とエアル様もこのスキルを会得。
スイくんは姿を見せて自然界から集めた魔力を兄の魔力神経回路に流す振りをしつつ、兄の頭の上で周囲の人には存在を隠したエアル様にこっそりと流す。
それからエアル様が魔力量を微調整し兄の回路に少しづつ流していく、という連携プレーをやってのけたのだそうだけど……待って。
そもそも『変化』は水の精霊のスキルだから、系統の違う精霊と契約者が会得するのは本当に大変な事だし、更に併合させちゃうなんて、正直言って荒技なんだよ。
それを事もなさげにやっちゃってる兄とエアル様。何この二人……こわいわ。
そして私の場合も、まだ精霊とは契約していませんという事で授業受けるから、この『認識阻害』のスキルは必須! 頑張るしかない!!
水とは反対属性の火である私達だけど『変幻』のスキルは会得出来ていたから、後は『隠蔽』のスキルと併合させれば何とかなる筈!
細い管どころか太〜い土管の様な私の回路を誤魔化すのです!
ちなみに一年位前に、この話を兄から聞いてたので、入学前から『認識阻害』のスキル獲得の為に頑張ってきてたんだよ。
でもね。ペレちゃんとサラくんって、なんていうか、う〜ん……何とかなるでしょ!って感じでね。
楽しく覚えていけばいいんじゃない?って言ってたので見守っていたら……気づけば三か月経ってて。
私と一緒にイメージトレーニングしようよ、と声を掛けるも、『だいじょうぶ、だいじょうぶ!』てスルーされて。
八か月経つ頃に、慌て出したペレちゃんが『認識阻害』のスキルを取得してくれて。それから一か月後にはサラくんも出来るようになった。
え? 私?? 兄から話を聞いてから死ぬ気で頑張って二か月で身に付けましたよ……。
ところがね、それからが問題で……。
スキル発動させながら、私の魔力神経回路を誤魔化しつつ、魔力量の調整という細かい作業がね……意外と難しくてね……いや、これに関しては自分のせいでもあったんだけど。
私の魔力神経回路は私の意思とは関係なく魔力を吸い寄せてしまうらしく。
しかも、どうやらその力が他の人に比べて強く、魔力量の調整をしたくても勝手に私の回路に流れ込んじゃうらしい。
どうしよう? 出来れば何度か練習したいけど日にちがなくなってきてる現状に不安しかない。
本番で一発勝負とかはしたくないんだよ!
だって、私はそういう勝負に向いてない。………絶対に何かをやらかす人なのよ、私。
はぁ〜、ほんとどうしよう? なんで私の回路は不思議ちゃんなの?
まるで掃除機じゃん。
………ん? 掃除機?? スイッチ切ったら吸引止まる???
読んでいただきありがとうございます。




